地震大国といわれる日本では、多くの住宅で対策が強化されており、地震に強い賃貸物件も増えています。しかし、台風の被害を受けやすい地域では、風雨に対する安全性も気になるポイントです。
今回は免震構造の特徴と台風に対する有効性について触れたうえで、賃貸物件で行える台風対策を紹介していきます。
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「免震」「耐震」「制震」って何が違うの? 3つの構造の違い

地震に強い建物の構造としては「免震」「耐震」「制震」の3種類が主流となっています。ここでは、それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。
地震による揺れを吸収する「免震構造」
免震とは地震の揺れを吸収し、建物に伝わらないように設計されているものを指します。基礎と建物の間にゴム製アイソレーターやダンパーなどと呼ばれる免震装置を設置して、地震の揺れを吸収するのが基本的な構造です。
コストがかかりやすいため、賃貸物件の場合は家賃を引き上げる一因となる場合があるものの、現状の地震対策としては有効性の高い仕組みとされています。
地震の揺れに耐える「耐震構造」
耐震は建物を頑丈に組み立てることで、倒壊などの危険性を避ける構造を指します。耐震構造の大きな特徴はコストを安く抑えられる点にあり、2020年現在では地震対策の方法として広く使用されている仕組みです。
なお、1981年に建築基準法が改正され、耐震性についての基準が高まったため、それ以降に建てられた物件はより揺れに強い構造となっています。
地震の揺れを制御する「制震構造」
制震構造とは、建物の内部に制震部材を組み込み、揺れを抑えるつくりのことを指します。建物自体の揺れを抑えるという点で、免震構造との共通点が多く、家具や家電の転倒リスクを軽減できる点が大きなメリットです。
特に高層マンションなどでは、下層階より上層階のほうが揺れも大きくなってしまうため、制震構造が採用されているケースが多いといえます。
免震構造は台風には効果が発揮できない
建物自体の強度を高める耐震構造や、横揺れにも対応できる制震構造は、台風にも一定の効果が期待できます。
しかし、免震構造は「地面から伝わる揺れ」を吸収するのが目的であるため、横から吹きつける風に対しては効果を発揮することができません。
そのため、風を受けやすい立地などでは、そのほかの構造よりも強風による揺れを感じやすいといえます。ただ、建物の揺れを抑制できないからといって、家屋倒壊の危険性につながるわけではありません。
ただし、台風における家屋への被害としては、風そのものよりも、飛来物による窓の破損や大雨による浸水が多くを占めるため、実情に合わせた対策が必要です。
免震住宅・物件 鉄骨造の物件 耐震・免震・制震住宅の住宅カタログを探す賃貸物件でできる台風対策とは?

総務省統計局の資料によれば、日本全体に大きな影響をもたらした令和元年の台風19号において、被害原因の多くが強風ではなく、水害や土砂災害によるものとされています。
そのため、大型の台風においては、入居者それぞれが適切な形で避難を行うことが重要な前提です。そのうえで、ここでは物件の損壊を防ぐためにできることを紹介していきます。
強風の影響を避けるためにできること
強風の影響を最も強く受ける箇所は窓です。雨戸が付いている物件であれば、窓ガラスを保護するためにもきちんと雨戸をしめておきましょう。
また、マンションなどでは、下の階への落下被害を避けるために雨戸が付いていないこともあります。その場合には、窓に飛散防止フィルムや養生テープなどを貼り、補強しておくことが重要です。
ただ、あくまでもガラスの飛散を避けるための方法であり、飛来物による破損を防ぐわけではありません。
また、自らが近隣の家に迷惑をかけてしまわないためにも、風に飛ばされそうなものが室外にあるようなら、固定をしたり家の中へ収納したりしましょう。
室内への浸水を防ぐためにできること
低層階では、強風だけでなく浸水による被害を防ぐ工夫も大切となります。ベランダの排水口を掃除したり、下水道の側溝にゴミや枯れ葉が詰まっていないかチェックしたりして、事前に水はけをよくしておきましょう。
また、万が一に備えて、室外だけでなく室内の浸水対策も重要となります。キッチンやトイレの排水口に水のうを置き、排水管からの逆流を防ぐ方法が効果的です。
水のうを用意する際には、ビニール袋を2枚重ねて強度を保ち、全体の半分程度まで水を入れておくのがポイントとなります。
袋の中に空気がたまらないようにきつく縛り、排水口をふさぐようにして設置すれば、ある程度の逆流を防ぐことが可能です。
まとめ:免震構造の特徴と台風対策を正しく理解して万が一のときに備えよう
・免震構造は免震装置を利用して、地震による揺れを防ぐ仕組み
・現状の地震対策においては、とても有効性の高い構造とされている
・免震構造は地面からの揺れを抑えることが目的であるため、耐震構造や制震構造に比べると強風の影響を受けやすい
・強風対策としては、窓ガラスの保護と飛ばされやすいものの収納や固定が大切
・浸水対策は排水口の掃除と逆流防止がポイント
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