賃貸物件に住んでいると、「画びょうやくぎなどを使って壁に穴をあけてもいいのだろうか」と迷うものです。ポスターを貼る、棚を設置するなど、壁に穴をあけてしまうかもしれないシチュエーションはたくさんあります。

今回は、賃貸物件の壁に穴をあけても大丈夫なのか、また、壁に穴を目立たないようにあける方法などを紹介していきます。

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壁の穴

 

結論からいうと、賃貸物件の壁に穴をあけてしまった場合、その穴の大きさによって修繕費がかかるのか、かからないのかが変わってきます。

 

賃貸住宅における原状回復の費用負担について、一般的な基準がまとめられた国土交通省のガイドライン(※)に沿って、代表的な穴の大きさ3種類のケースを解説していきましょう。

 

(※)国土交通省住宅局「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン

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国土交通省が定めているガイドラインでは、画びょうやピンなどによる穴は、通常の生活においてできてしまうものであり、修繕費は賃貸人、つまり大家さんが負担することになっています。

 

壁にカレンダーを貼り付けるなど誰でも行うことが予想される行動の際に、画びょうやピンを使って壁に穴をあけても、入居者が修繕費を支払う必要は基本的にありません。

事前に賃貸借契約書をよく確認しておくこと

 

ただし、大家さんとの間で交わす「賃貸借契約書」に、画びょうやピンの使用可否について明記されている場合がありますので、契約時にサインをする前に確認するようにしてください。

 

実は、国土交通省によるガイドラインには法的規制がなく、あくまでも一般的な目安という位置づけですので、賃貸借契約書の記載内容が最も強い効力を持っているとされています。つまり、物件のオーナーの許容範囲がどこまでなのかに尽きるわけです。

 

部屋の壁にくぎやネジを使ってあいた穴は、そのサイズと深さが通常の使用による損耗を超えるので、修繕費は賃借人、つまり入居者が負担することになります。

 

画びょうやピンによる穴の大きさと大差ないとつい思いがちですが、くぎやネジによる穴は一般的に修繕費を支払う必要があるため覚えておきましょう。

 

壁紙の後ろには石こうボードという部材が使われていますが、この石こうボードに深く穴をあけ、貫通させている場合は、修繕費が割高になる可能性があるでしょう。

 

くぎはまだしもネジを使った場合は、石こうボードが削れた粉が落ちてきますので、見た目にも穴が目立つものです。

 

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寝ぼけて思いっきり頭をぶつけるなど、自らの不注意により壁にこぶし大の穴をあけてしまったとなると、修繕費用は当然ながら入居者の負担となりますのでご注意ください。

 

ここまで大きなサイズの穴があくということは、石こうボードまで割れている可能性が高いです。このケースでは石こうボードの穴をパテで埋めるだけでは済みません。

 

石こうボードにあいた大きな穴をふさぐためのリペアパッチや壁紙が必要になったり、最悪のパターンでは石こうボードごと交換となったりすることもあるでしょう。くぎやネジサイズの穴をあけた場合よりも、修繕費が割高になる可能性が高くなります。

 

賃貸物件において、誤ってあけてしまった壁の穴の補修費用として、火災保険が適用されることがあります。賃貸物件でのこのような火災保険の使い方を認識している人は少ないかもしれません。

 

この場合の火災保険とは、賃貸借契約を結ぶ際に加入する保険のことです。部屋の壁に穴をあけてしまった場合、補修に火災保険が適用される条件は以下のとおりです。

 

  • 穴あけ事象の原因が故意によるものではない
  • 借家人賠償責任補償特約が付加されている

 

また、損耗の具合や保険会社によっては免責金額(自己負担分)が発生することもあります。

 

いざというときに慌てないためにも、できれば賃貸借契約を結ぶ前に、加入する火災保険の内容についてもきちんと確認しておくといいでしょう。

マンションの壁

 

借りている部屋の壁に何かを貼り付けたいときに、目立たない程度のサイズの穴で済ませるアイテムがあることをご存じでしょうか。

 

次に紹介する2つのアイテムは、どちらとも高価なものではなく、すぐに手に入るものなので、ぜひご活用ください。

 

画びょうによる穴よりも目立たない穴にできるピンが市販されているので、利用してみましょう。

 

たとえば、針の部分が“V字”になっているピンがあります。真ん中に溝があり、通常の針よりも1本あたりの体積が少ないため、穴が必然的に小さくなるのが特徴です。

 

また、注射針のごとく、針自体がとても細いタイプのピンも売られています。このようなピンを使えば、針を刺した跡がより目立ちにくくなります。

 

ホチキスは、どこの家にも1つはある道具ではないでしょうか。ホチキスは物を挟みこんでまとめられるだけでなく、紙類を室内の壁に掲示する際にも便利なアイテムです。

 

ホチキスの針をあらためて観察してみると、画びょうの針よりも細いことが分かります。

 

壁に使う際には、ホチキスを180度に開いて針が格納されている側を壁に押し付けるだけです。賃貸物件の壁には、ホチキスは意外にもぴったりの道具だといえます。

 

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マスキングテープ

 

部屋の壁に何かを飾りたい場合、穴をあけずにすむアイテムを使うという方法もあります。「できれば穴をあけたくない」という人に紹介したいのは、以下の2つのアイテムです。

 

ポスターや写真など軽い紙類であれば、マスキングテープで壁に貼ることが可能です。マスキングテープは100円ショップでも購入でき、柄や幅も豊富なので選ぶ楽しみもあります。

 

壁に写真などを飾る際にホチキスでは味気ないと感じる場合には、自身の存在を主張するマスキングテープで貼ってみるのも一案です。

 

マスキングテープを使えば、壁に小さい穴をあけることもなく、退去時の心配をする必要もないでしょう。

 

コルクボードは「ホームセンターでよく見かけるけれども買ったことはない」という人が多いかもしれません。

 

壁に穴をあけて何かを飾るということから少し意識を変え、写真などを飾ったコルクボードを棚の上に置いたり、フローリングの上に直接置いて壁に立て掛けたりするというアイデアです。

 

自分で購入したコルクボードであれば、気兼ねなく画びょうを使えます。また、洋風の雰囲気となり、部屋の中もおしゃれになるので、インテリアとしても楽しめそうです。

 

賃貸の部屋で壁に何かを飾りたい場合、アイテムを使ってあけた穴のサイズが画びょう程度で、数もそれほど多くなければ、入居者が修繕費を支払う必要はないと考えて大丈夫です。

 

まずは、目立たない穴で済むアイテムを使う、穴をあけないアイテムを利用するなど工夫して、気兼ねなく賃貸生活を送りましょう。

 

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更新日: / 公開日:2020.05.29