鉄骨造といっても、いくつかの種類があることはご存じでしょうか。

アパートやマンションの建物構造には、軽量鉄骨造や重量鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造などがあり、どれも同じと思われがちですが、それぞれ異なる特徴を持っています。

そこで今回は、鉄骨造のメリット・デメリットについて詳しく紹介します。
鉄骨造の物件鉄筋コンクリート造の物件

 

まずは、それぞれの違いについて簡単に確認しましょう。

 

3つの大きな違いは、建物の骨組みにあります。骨組みというとピンとこない方もいると思いますが、木造住宅でいう木の柱がそれにあたります。

 

この骨組みに鉄骨を用いて組み合わせた建築物を、鉄骨造(S造)と呼びます。

 

鉄筋コンクリート造(RC造)は、コンクリートの内部に鉄筋を入れた一体式の構造のこと。この鉄骨造と鉄筋コンクリート造を組み合わせた構造が、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)です。

 

では、鉄骨造の特徴、鉄骨鉄筋コンクリート造の特徴について見ていきましょう。

 

鉄骨には重量鉄骨と軽量鉄骨がありますが、その違いは、鋼材の厚さです。重量鉄骨は厚さが6mm以上あり、その名のとおり重量もあります。

 

反対に軽量鉄骨とは、厚さが6mm未満の鋼材のことを指し、重量鉄骨に比べて軽く、加工しやすいという特徴を持っています。

 

一般的に、大きなマンションやビルなどに使用されることが多いのが重量鉄骨です。これに対して、軽量鉄骨は主に住宅、コンビニやスーパーなどが入居する小規模なテナントで多く使用されています。

鉄骨造の物件 鉄筋コンクリート造の物件

 

厚さ6mm以上もある丈夫な鉄骨を使用することで得られるメリットはどのようなものがあるのでしょうか。デメリットも併せて見ていきましょう。

♢メリット

 

・部屋が広くなる

重量鉄骨造は、一つ一つの材料が厚く頑丈なため、軽量鉄骨造や木造住宅などと比較しても柱の本数を減らせます。その結果、建築可能な間取りパターンが増え、部屋を広くすることができます。

 

・高層階のビルの建築が可能

都心を歩いていると、高層階のビルやマンションをよく見かけますが、重量鉄骨造はこのような高層階の建物を建築する際に多く使用されています。

♢デメリット

 

重量鉄骨造のデメリットは、軽量鉄骨造や木造住宅に比べて建築コストが高い点です。重量鉄骨造は、使用する材料自体の重さがとても大きいため、重量に耐えられるような地盤の改良や基礎をつくらなければなりません。

 

重量鉄骨造に比べて薄くて軽い軽量鉄骨造のメリットは何が挙げられるのでしょうか。デメリットも併せて見ていきましょう。

♢メリット

 

・建築コストが安い

軽量鉄骨造は建築コストを抑えられます。先ほど、重量鉄骨造は重量がある分、地盤改良や、しっかりとした基礎をつくる必要があることなどから建築コストが高いと紹介しました。

 

しかし、軽量鉄骨造は、大規模な地盤改良や基礎をつくる必要がありません。また、軽量鉄骨造は高層ビルをつくる際には使用が難しいので「軽量鉄骨造=コストを抑えられる」と一般的にいわれています。

 

・工期短縮

もしかすると、コンビニが入る予定の小さめの店舗が新築されている現場を見かけたことがある方がいるかもしれません。見たことがある方の中には「数日前までは何もなかったのに、もう建物が立っている」と驚かれた方もいるのではないでしょうか。

 

軽量鉄骨造の建物の建築スピードはとても速く、骨組みだけであれば数日で建ってしまいます。建築スピードが速ければその分、人件費などのコストも削減できます。

♢デメリット

 

・火災に弱い

鉄骨の材料は文字どおり“鉄”です。鉄骨は一度燃えると耐力が落ちてしまうので、軽量鉄骨造の耐火性は強いとはいえません。鉄筋コンクリートや鉄骨鉄筋コンクリートと比べると火災に弱いです。

 

しかし、耐火被覆材という材料で覆うことにより、軽量鉄骨造の耐火性・耐久性を高めることができます。

 

・間取りの自由度が低い

重量鉄骨造に比べて柱の本数を多くしなければいけないため、間取りの自由度が劣るといわれています。

鉄骨造の物件 鉄筋コンクリート造の物件

 

鉄骨鉄筋コンクリート造は、SRC(Steel Reinforced Concrete)造とも呼ばれ、鉄骨・鉄筋それぞれのいいところをすべて使用しているため、非常に頑丈な建築物をつくれます。ただし、デメリットもあるので、併せて確認していきましょう。

♢メリット

 

・防音性、耐火性に優れている

鉄骨鉄筋コンクリートは、躯体がコンクリートで覆われているため、耐火性だけではなく、防音性も優れています。

♢デメリット

 

鉄骨鉄筋コンクリート造の一番のデメリットは、建設にかかる費用が鉄筋コンクリート造や鉄骨造に比べて高いという点です。

 

また、コンクリートは調湿性が低く、気密性が高いため、室内に結露が発生しやすいといわれています。

 

結露が発生しているにもかかわらず、そのまま放置してしまえばカビの原因にもなってしまうので、こまめに換気をし、窓は風を通しやすい位置にあるかなどを確認しておきましょう。

 

重量・軽量鉄骨造や鉄骨鉄筋コンクリート造は、それぞれにメリットとデメリットがあります。

 

構造の違いは、物件の外観からはよくわかりませんが、実際に住んでみるとその違いに気づくことがあるでしょう。

 

賃貸物件を選ぶ際には、これらメリット・デメリットを把握したうえで、自分の生活スタイルや希望を考えて選ぶようにしましょう。

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