生活保護受給者の数は若干の増減を繰り返しながらも、その数は増加の傾向にあります。病気で働けなくなった方や最近では離婚による一人親世帯や高齢者世帯の多くも生活保護を受けています。
また若い世代で精神的な病気を患い仕事に就くことができず受給を受けている人も少なくありません。生活保護では様々な扶助が受けられますが、ここでは住宅扶助を利用して賃貸物件で住まいを見つける場合のプロセスを説明します。
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住宅扶助制度とは

住宅扶助制度とは?
生活保護受給世帯になると、定められた額の範囲で家賃分の金額を住宅扶助として支給されます。この額は日本全国を等級地別にして定められています。
いくつか例にあげてみましょう。
【東京都23区】
一人世帯…40,900円~53,700円
二人世帯…49,000円~64,000円
三人世帯…53,200円~69,800円
【大阪市】
一人世帯…40,000円
二人世帯…48,000円
三人世帯…52,000円
【福岡】
一人世帯…36,000円
二人世帯…43,000円
三人世帯…47,000円
いずれも都市部の例ですが、地方の場合これより1割から2割程度低くなります。
また、特別加算分が計上される場合もあります。母子家庭の場合や障害や病気などで特定の病院の近くに住む必要があるといった場合です。
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住宅扶助に含まれないもの
住宅扶助で実費支給されるのは「家賃」のみです。共益費や水道費などは対象となりません。
【例】
住宅扶助費最高47,000円の地域
家賃:42,000円
共益費:5,000円だと想定します。
受給できるのは42,000円だけです。共益費の5,000円は生活扶助を受ける分から補う必要があります。
もし扶助費額を超える賃貸物件に住んだとしても、それが理由で住宅扶助を受けられないこともありません。
50,000円の物件に住んでも47,000円は扶助を受けて3,000円分は生活費の扶助から支払うことになります。
しかし、あまりにも高額な賃貸物件に住むと、生活保護を受けることへの妥当性が問われます。転居指導を受けることもあるため注意が必要です。
住宅扶助を受ける場合の流れ

生活保護を受けることになった場合、現在の住居にそのまま住めなくなる場合がほとんどかもしれません。
家賃が高すぎて住宅扶助額の範囲でない場合や、差し押さえなどで持ち家を失う場合もあるでしょう。その場合は、ご自身で物件を探す前に、まずはケースワーカーに相談しアドバイスを受けるようにしてください。
ケースワーカーとは各自治体の生活保護の窓口を担当する相談員のことを言います。
都市部の役所だと一人のケースワーカーで約100人前後の生活保護受給者を担当しています。始めて受給する際の相談や既に受給している人の家を訪問して生活の状況を確認したりします。
まずは物件を探し出す前に費用の概算や状況をケースワーカーに相談します。
そこで了承を得られた範囲内で物件を探した場合には、敷金・引越し費用・仲介手数料・火災保険料などの家賃以外の費用も保護金として支給されます。
支給される額は自治体によって異なります。家賃が住宅扶助額の限度内である場合でのみ、家賃以外の費用の保護ができないという法律規定があるので注意が必要です。それをケースワーカーが確認します。
流れをまとめてみましょう。
- 物件を見つけたら不動産会社に初期費用の見積もりを出してもらう。
- ケースワーカーにそれを確認してらい了承をもらう
- ケースワーカー側で初期費用の準備を整う日を教えてもらい、不動産会社と契約の日程を決める。
- 初期費用を受け取りに行き、不動産会社で契約を済ませる。
- 契約書と費用に支払った領収書をケースワーカーに提出する
- 引越し費用の見積もりを何社かとり(最も安い引越し請負会社を選ぶことになります)ケースワーカーに提出する。
- 引越し費用をケースワーカーから受け取り、引越しを完了する。
- 引越し費用の領収書をケースワーカーに提出する。
このように何度も確認をして見積もりをとり、費用を支給してもらい支払いに行くという作業を繰り返すことになります。
先に立て替えることができないですし(生活保護受給資格には預貯金があっては受けられません)限度額を超えた契約をしてしまうと支給してもらえませんからこの流れに沿って手続きをすることになります。
引越し後、しばらくすると、どのような住居にどのように生活しているのか、ケースワーカーが自宅訪問をします。
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賃貸物件を探すことは簡単ではない
生活保護受給者の方が賃貸物件を探すことは容易くありません。家賃は住宅扶助として支給されるのになぜでしょうか…。理由は大きく分けると3つあげることができます。
1.不動産仲介会社が取り扱わない
実は家主に確認する前に、不動産会社の問い合わせ段階で断られてしまうケースが少なくありません。その原因は先ほどの複雑なプロセスです。
物件内覧から契約・入居までの間、生活保護受給者はすべてを事前にケースワーカーと相談して進めなければなりません。場合によっては契約までに1カ月以上を要してしまいます。
なるべく早く空室を埋めて売り上げにしたい不動産会社にとってはとても手間のかかる作業になってしまうのです。
2.家主から懸念される場合
もう一点は家主が受け入れを懸念している場合です。理由は室内で事故が起きてしまう可能性の不安感や住宅扶助金を家賃の支払いが滞ってしまうのではないかという懸念です。
3.保証人がつけられない。保証会社を探す
保証人を取り付けることができないと契約には持ち込めにくくなってしまいます。
その反面生活保護受給者でも身元のしっかりとした保証人がいると物件を紹介してもらえる可能性も広がります。もし無理な場合でも生活保護者が加入できる保証会社を探しましょう。
このような理由から不動産会社に問い合わせても門前払いになってしまうケースが少なくありません。しかし、生活保護受給者を受け入れている物件もありますので、探し方のコツを押さえてあきらめずに挑戦してみましょう。
生活保護者OKの賃貸物件の探し方

まずは不動産会社の規模です。地元の小さな不動産会社のほうが一見敷居が低い気がするかもしれませんが、実はそうとは言い切れません。
むしろ大手フランチャイズ系の不動産賃貸会社のほうが成約件数をこなせる体制が整っているので、物件を探すことにも時間的、人員的に余裕があります。
まずは聞き覚えのある不動産会社へ「生活保護を受けている」と伝えて物件を紹介してくれるかどうかを確認してみましょう。
次に、物件検索サイトで条件の箇所に「生活保護」と入力して探してみましょう。「生活保護の方OK」「生活保護の方相談可」という物件が登録されています。
必ずしもこれらの物件すべてに入居できるという保証はありませんが、家主への交渉が可能であったり、取り扱っている不動産会社が生活保護者の契約の流れをよく把握してくれている可能性が高いでしょう。
また、「高齢者」「外国人」「保証人不要」という項目でもチェックしてみましょう。生活保護受給者にとって交渉の余地がある物件の可能性があります。
生活保護者の方にとって、賃貸物件を探すことは決して容易なことではありません。
しかし「住宅セーフティネット制度」の制定予定もあり政府、家主、不動産会社ともに空室を住宅確保困難者に広く貸し出していこうという意識が高まっています。家主によっては、面談や電話で状況を確認してくれる人もいます。
住宅扶助できっちり家賃を納めてくれると判断して家主に信用してもらい入居している人も決して少なくありません。少し時間はかかるかもしれませんがこの記事を参考にぜひ物件を探してみてください。
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更新日: / 公開日:2017.06.29










