生活保護制度は、病気やケガで働けなかったり、経済的に困窮していたりする人を国が支援する仕組みです。生活保護を受給している世帯は、「住宅扶助」という家賃補助の支援が得られます。ただし受給金額には一定のルールが設けられており、無制限に支給されるわけではありません。生活保護の仕組みにおける家賃補助制度について、基本的な仕組みや手続きの流れを解説していきます。

生活保護費

生活保護制度は、憲法25条が規定する理念に基づいて、生活に困窮しているすべての人に最低限度の保障を行うことを目的としています。保障の内容には基本的な生活やその他の扶助が含まれており、住まいの確保も対象です。

 

では、生活保護で受けられる家賃補助について、詳しく見ていきましょう。

住まいの確保に必要な金額は、世帯の人数や住んでいる地域によって異なるため、等級地別に家賃補助の上限にも一定の違いがあります。たとえば、等級が最も高い東京都23区の場合では、単身世帯で床面積15平米超の場合5万3,700円、2人世帯で6万4,000円、3人世帯では6万9,800円です(2020年8月現在)。

出典:東京都福祉保健局

 

同じ東京都内でも特定市や島しょ部の場合は、賃料などが都市部より安いこともあり、等級が下がるのにしたがって金額の上限もここから1~2割程度下がります。

上限額は自治体により異なるうえ、見直されることがあるため、最新の情報を確認するようにしてください。

家賃補助の対象範囲は明確に決められており、住まいに関わる支出であっても対象外となる項目があるため注意が必要です。家賃補助の対象となるものとならないものについて、解説していきます。

家賃補助の対象範囲には月々の家賃とともに、敷金や礼金、契約更新料や住居維持費なども含まれています。敷金や礼金は転居の際に必要になるため、「一時扶助金」として受け取れます。

また、場合によっては引越し費用や仲介手数料・火災保険料なども補助の対象になるケースがあります。ただ、これらの費用については、あらかじめ決められた一時扶助金の範囲内に収めなければなりません。

 

注意が必要となるのは、管理費、共益費、水道光熱費などのお金です。これらの費用は家賃補助の対象とは区別されており、生活扶助で給付されたお金から自分で捻出する必要があるのです。

そのため、生活保護を受給している場合は、管理費や共益費まで含めた金額を念頭に物件を探すか、管理費や共益費がない物件を探すのがよいでしょう。

ケースワーカーとの面談

家賃補助を受けて賃貸物件を借りるときには、通常の流れとは異なる手続きが行われます。ここでは、家賃補助を受ける場合の一般的な流れについて説明していきます。

家賃補助を受けて物件を借りる場合には、まず不動産会社に初期費用の見積書を出してもらってから、ケースワーカーの了承をもらわなければなりません。契約のスケジュールが決まったら、初期費用を受け取って、不動産会社との契約を完了させます。

 

その後、契約書と領収書をケースワーカーに提出するのが一般的な流れです。家賃補助の範囲内で家賃が収まることをきちんと確かめる必要があるため、場合によっては何度もケースワーカーに相談しなければなりません。

 

そのため、やりとりに時間がかかることを念頭において、時間的な余裕をもって行動することが大切です。

賃貸物件を借りる際には、ほとんどのケースで保証人が必要であり、生活保護を受けていても例外ではありません。そこで、保証人が立てられない場合には、保証会社を利用するのが一般的です。

ここでは、保証会社の審査のポイントについて解説していきます。

生活保護を受けていると、家賃の滞納などが心配されることから、保証会社の審査は厳しくなりがちな部分があります。家主としても室内でのトラブルなどを気にして、あまり積極的ではないケースも少なくありません。

そのため、事前にケースワーカーに相談をして、生活保護を受けている人の仲介経験がある不動産会社の中から物件探しをするのもひとつの方法です。

 

LIFULL HOME’Sでは、生活保護受給者などが相談しやすい不動産会社を紹介する「FRIENDLY DOOR」プロジェクトを実施しています。ここから不動産会社を探してみるのもよいでしょう。

家賃補助費は、生活保護を受給している人に現金で支払われるのが一般的です。しかし、ときには家賃の払い忘れや高齢による管理能力の低下などにより、滞納トラブルが生まれてしまうこともあります。

 

代理納付はそうした問題を予防するために、福祉事務所から直接家主に住宅扶助費を支払う仕組みです。入金の安定化が図られるので、審査に通りやすくなる場合もあるようです。

 

ただ、代理納付の活用判断は、受給者側ではなく実施する機関に委ねられています。利用する本人の意思も尊重されるため、まずはケースワーカーに相談をしてみるといいでしょう。

家賃補助はあくまでも必要最低限の住まいを保障するための仕組みであり、上限が決められている以上は、家賃をきちんと範囲内に収める必要があります。ここでは、上限を超えてしまった場合について見ていきましょう。

家賃補助の上限を超えるかどうかは、契約の段階でケースワーカーから確認されるポイントであり、基本的に範囲を超えた物件に住むことはできません。もし家賃補助の上限を超えた物件の入居が認められたとしても、超過した部分は生活費から負担することとなります。

 

また、すでに住んでいる物件が上限額を超えてしまう場合には、やむを得ない事情がない限りは、ケースワーカーから転居を促されることとなります。

  • 家賃補助の上限は自治体別に決められている
  • 敷金・礼金・保険料などは家賃補助の対象になるものの、管理費、共益費、水道光熱費は含まれないことに注意
  • 代理納付によって保証会社の審査が通りやすくなる場合がある
  • 上限を超える物件には基本的に入居できない
  • 上限を超えた家に住んだまま新たに生活保護を受ける場合は、やむを得ない事情がない限り転居を促される

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