気になる2022年の花粉飛散時期、飛散数は?

2022年は例年より早めに花粉飛散がはじまる。早めに準備したいものだ2022年は例年より早めに花粉飛散がはじまる。早めに準備したいものだ

例年、1月を過ぎると「今年の花粉はいつから飛び出すのだろう」「今年の飛散量は多いのだろうか…」とスギ花粉の状況が気になりだす人も多いだろう。春を少しでも穏やかに過ごしたい人にとっては、気になる情報だ。

花粉の飛散時期

2022年1月19日、東京都は花粉症対策検討委員会を開催。2022年春のスギ・ヒノキ花粉に関する飛散予測を検討し、結果を発表した。例年、過去10年の平均は飛散開始が2月16日ごろだったが、2022年は2月12日から16日ごろと予測されており、例年よりやや早くなる見込みだ。花粉症の人は早めに準備しておきたい。

花粉の飛散数

花粉の飛散数は、都内(12地点)では昨年の約1.5倍で、過去10年平均の約1.1倍程度となる見込みだ。区部の平均花粉数予測値は4,100~5,600個(※)と、昨年の3,599個と比較しても多く飛散しそうである。

地域別にみると、千代田区、葛飾区、杉並区、北区、大田区の5地点では昨年の約1.4倍ほどで例年(過去10年平均)の同等程度。しかし、八王子や町田などの多摩地域では約1.6倍、例年の約1.1倍程度と多くなる見込みだ。特に、多摩方面の木材はほとんどがスギとヒノキであることから、青梅は、平均花粉数予測値9,300個~12,600個とほかの地域と比較してかなり多くなっている。

花粉の飛散数が「多い」日も増加

花粉捕集器で捕集した花粉の数値が、1日あたり30個/平方センチメートル以上の日は、花粉の飛散数が「多い」日に分類される。花粉が多く飛散する日も、区部で32日程度と昨年の30日から増加し、多摩地域で38日程度と昨年の29日から増加すると予測されている。

令和3年度東京都花粉症対策検討委員会(第2回)検討結果
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2022/01/19/08.html

※花粉数の単位は、花粉飛散シーズン中に花粉捕集器(ダーラム型)のスライドグラス1平方センチメートル内に付着した花粉の個数で表す。

2022年は例年より早めに花粉飛散がはじまる。早めに準備したいものだ飛散花粉数の経年変化(都内12地点平均)
※3 スギ・ヒノキ飛散花粉数は、前年夏の日射量や秋のスギ花芽の着花状況などによって予測されている。予測値は、スギとヒノキの合計値
出典:東京都 飛散花粉の総数の予測

東京都のスギ花粉症推定有病率は?

花粉症の人も、いま症状がない人もできるだけ花粉を避けて過ごしたい。外出時のマスクやメガネの着用、帽子をかぶる、花粉が付きにくい素材の衣類を選ぶなどの対策が有効だ花粉症の人も、いま症状がない人もできるだけ花粉を避けて過ごしたい。外出時のマスクやメガネの着用、帽子をかぶる、花粉が付きにくい素材の衣類を選ぶなどの対策が有効だ

国民病ともいわれるほど、多くの人を悩ませている花粉症。東京都は、1983年から花粉症対策に着手。花粉観測や花粉予報、花粉症患者の調査などを実施している。2016年に東京都が実施した花粉症患者実態調査によれば、アレルギー性鼻炎の症状があると答えた人(最重症から軽症まで含む)の割合は、62.3%。あきる野市、調布市、大田区を対象にしたアンケート調査と、花粉症検診の結果から推計した東京都内のスギ花粉症推定有病率は48.8%だった。

「※各回の調査では有病判定の基準や推計方法に一部変更点があるため、推定有病率の変化を単純に比較することはできない。」と調査結果に付記がされているものの、この東京都内のスギ花粉症推定有病率は、調査を実施するごとに増加傾向にある。都全体の花粉症推定有病率は前回調査の2006年度には28.2%であり、2016年度の48.8%と比較してもかなり増えている。現在、花粉症の症状がない人も、花粉との接触が継続すると花粉症を発症する可能性がある。できるだけ花粉を避けて行動したいものだ。

花粉症患者実態調査 平成28(2016)年度調査
https://www.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/kj_kankyo/kafun/jittai/

花粉症の人も、いま症状がない人もできるだけ花粉を避けて過ごしたい。外出時のマスクやメガネの着用、帽子をかぶる、花粉が付きにくい素材の衣類を選ぶなどの対策が有効だ出典:東京都 花粉症患者実態調査(平成28年度) 概要版
調査対象区市及び都内のスギ花粉症推定有病率

関東のスギ林

東京都内に住んでいる人の約半数がスギ花粉症であると推定されているわけだが、関東地方にはどれくらいのスギ林があるのだろうか。関東地方は約35万ヘクタールのスギ林があり、増加はしていないものの、国産材の利用が低迷しており伐採は進んでいない。

スギは植えてから10年ほどで雄花ができはじめ、早くて25年、通常で30年くらいで本格的に花粉が飛散しはじめるといわれている。伐採が進んでいないこともあり、花粉を多く飛散させる樹齢30年以上のスギ林が増加傾向にあり、今後も年々飛散花粉数が増える懸念がある。

ちなみに、スギは全国で植栽されており、人工林面積が20万ヘクタール以上と比較的多いのは秋田県(36万6,665ヘクタール)、宮崎県(22万4,828ヘクタール)、岩手県(20万525ヘクタール)である。

林野庁 スギ・ヒノキ林に関するデータ
https://www.rinya.maff.go.jp/j/sin_riyou/kafun/data.html

林野庁 森林資源の現況
https://www.rinya.maff.go.jp/j/keikaku/genkyou/h29/index.html

スギ林スギ林
スギ林出典:林野庁 スギ・ヒノキ人工林齢級(森林の年齢)別面積

林野庁や東京都のスギ花粉症対策

間伐間伐

スギは日本固有の樹種で、全国に広く分布している。加工が容易なため、住宅や家具など、幅広い用途に利用されてきた。戦後、荒廃してしまった山への緑化活動や住宅に利用する林材の急激な需要の拡大により、幅広い用途に利用できるスギ林が進んで植林されてきた。現在、日本の森林の約4割が人工林で、人工林の約4割がスギ人工林となっている。

林野庁の花粉発生源対策

林野庁は花粉症による問題が顕在化してきたことを受け、1991(平成3)年に少花粉スギの開発に着手。5年後の1996(平成8)年に最初の少花粉スギの開発に成功している。以降、少花粉スギは142品種、無花粉スギも3品種開発されている。林野庁では花粉発生源対策として、花粉を大量に飛散させるスギ人工林の伐採・利用と植替えの促進、花粉症対策に資する苗木の供給拡大、花粉飛散抑制技術の開発を進めている。

林野庁 森林・林業とスギ・ヒノキ花粉に関するQ&A
https://www.rinya.maff.go.jp/j/sin_riyou/kafun/qanda.html

東京都のスギ花粉症対策

関東地方のスギ林の約6.5%が東京の多摩地域に分布している。東京都では、八王子市・青梅市・あきる野市・日の出町・奥多摩町・檜原村の手入れが遅れているスギ・ヒノキ人工林を対象に、山林所有者と協定を結び、その森林において、東京都が全額費用を負担して間伐を実施する「多摩の森林再生事業」を進めている。その森林再生事業(間伐)実施後、数年経過した森林の枝打ちを行い、花粉の量を削減する枝打ち事業を推進することで、10年後の事業実施効果を図るのが目的だ。

国や都によりさまざまな取組みが実施されてはいるものの、今後も花粉の飛散数は増加することが予想されており、一朝一夕で減少するものではないことは事実だ。今年も早めの花粉症対策をしておきたいものだ。

東京都環境局 花粉発生源対策
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/nature/natural_environment/reforestation/hay_fever.html

間伐できるだけ花粉を室内に入れないよう、洗濯は室内干しも検討したい。布団は布団乾燥機を利用する、もしくは外に干した後に掃除機で花粉を吸い取る方法もある

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