新型コロナウイルスの影響を大きく受けた2020年の消費行動は?

総務省統計局の家計調査から、新型コロナウイルスの影響を受けた支出を振り返る総務省統計局の家計調査から、新型コロナウイルスの影響を受けた支出を振り返る

例年、12月になるとニュースなどで見聞きする流行語大賞。2020年は「3密」「アマビエ」などの新型コロナウイルス関連のワードが多く選ばれた。2020年を振り返ってみても、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況によって、仕事やプライベートになんらかの影響が出た・いまも出ているという人が多いだろう。

厚生労働省にクラスター対応チームが設置されたのが2020年2月、3月にはWHOがパンデミックを宣言。4月16日には全国で緊急事態宣言が発出され、5月25日には全国の緊急事態宣言が解除。7月からはGo Toトラベルキャンペーンがはじまったものの、12月には全国一時停止が決定…。と、1年の出来事を振り返ってみると、新型コロナウイルスに影響され、さまざまな業界の人たちが振り回された1年だったと感じる。

2020年はこれまで購入しなかったものを購入するようになったり、または購入していたものを購入しなくなったり…生活の変化により消費行動も大きく変化している。総務省統計局の家計調査を見ていこう。

3月以降、家計の消費支出の実質増減率は減少幅拡大

2020年10月の家計調査報告から、2人以上の世帯における1世帯当たりの消費支出の対前年同月実質増減率(物価の変動の影響を除いて見た場合の増減率)の推移を見ていく。

国内でも新型コロナウイルスの感染が増加傾向にあった2020年3月以降、消費支出の減少幅は拡大傾向にあり、特に、緊急事態宣言の影響により4月は-11.1%、5月は-16.2%と大きく減少した。その後、全国の緊急事態宣言が解除されたことにより6月には-1.2%と減少幅が縮小した。

7月~9月にはまた減少傾向に転ずるが、10月には1.9%の増加。10月の消費支出(2人以上の世帯)は、1世帯当たり28万3,508円だった。支出の実質増加は13ヶ月ぶりとなる。

10月の消費支出の内訳を見ると、酒類、肉類など「食料」が8ヶ月ぶりの実質増加、シャツ・セーター類、洋服などの「被服および履物」費目が13ヶ月ぶりに増加、教養娯楽用品などの「教養娯楽」費目が11ヶ月ぶりの実質増加となった。

減少したのは、「交通・通信」費目で13ヶ月連続の実質減少であった。コロナ禍においての在宅勤務の普及や、旅行や移動などの自粛・制限による交通費消費の減少が長期にわたり家計消費に影響を与えている。

出典:総務省統計局ホームページ<br>
家計調査報告2020年(令和2年)10月分 消費支出の推移より
<br>https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr.pdf出典:総務省統計局ホームページ
家計調査報告2020年(令和2年)10月分 消費支出の推移より
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr.pdf

「外食」の減少と連動する「肉類」「酒類」の増加

続いて、2020年の特徴的な傾向をいくつか見ていこう。
2020年は外食の機会が減って、これまで会社で開催されていた懇親会などはすべてオンライン飲み会になった、という人も多いだろう。2020年2月以降、「外食」の支出金額の対前年同月実質増減率の推移は大幅に減少。外出自粛や飲食店の営業時間短縮の影響もあり4月は-65.7%、-59.9%と大幅減。7月~9月も平均して-28.8%と減少傾向は続く。飲食店へのダメージはこの数字からもはかり知れないほどである。

一方、「肉類」は4月19.7%、5月21.8%、6月9.8%と増加しそれ以降も増加している。「酒類」は4月21%、5月25.6%、6月16.2%、酒類も同様に、7月以降も増加傾向にある。内食、自宅での飲酒が4月以降で各家庭で定着していったものと思われる。

出典:総務省統計局ホームページ<br>
家計ミニトピックス 家計における新型コロナウイルス感染症の影響より
「肉類」、「酒類」及び「外食」の支出金額の対前年同月実質増減率の推移(2020年1月~6月)のグラフ
<br>https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr.pdf出典:総務省統計局ホームページ
家計ミニトピックス 家計における新型コロナウイルス感染症の影響より 「肉類」、「酒類」及び「外食」の支出金額の対前年同月実質増減率の推移(2020年1月~6月)のグラフ
https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_mr.pdf

インターネットショッピングは「食料」「家電・家具」が増加

「食料」の消費支出が増えているのはインターネットショッピングも同様の傾向としてある。2020年10月発行の家計消費状況調査通信によれば、2人以上の世帯の2020年4~6月のネットショッピングの支出額は、1万5,916円と前年同期比で14.3%増加。2019年3月のネットショッピングの支出額に占める主な項目の支出割合で最も多かったのは「旅行関係費」23.8%だったが、2020年4~6月平均では3.7%と大幅減。最も消費割合が多かったのが「食料」で20.9%、次に「家電・家具」13.6%、「衣類・履物」12.5%と、多岐にわたるものをインターネットで購入していることが分かる。

なお、在宅勤務の推奨により急速にテレワークをする人が増えたと思われる2020年4月から5月にかけて机・いすの1世帯(2人以上の世帯)あたりの1ヶ月の支出金額が増加し、6月には256円と、2019年6月の120円の約2倍となった。自宅で在宅勤務をはじめてみたものの、机やいすが仕事に向いていない高さや広さだったりして、急いで購入し仕事環境を整えた人が多いのだろう。

出典:総務省統計局ホームページ<br>
家計消費状況調査通信2020年10月発行より<br>
ネットショッピングの支出額に占める主な項目の支出割合(2人以上の世帯 2020年4~6月期及び2019年平均)
<br>https://www.stat.go.jp/data/joukyou/pdf/news202010_2.pdf出典:総務省統計局ホームページ
家計消費状況調査通信2020年10月発行より
ネットショッピングの支出額に占める主な項目の支出割合(2人以上の世帯 2020年4~6月期及び2019年平均)
https://www.stat.go.jp/data/joukyou/pdf/news202010_2.pdf

新型コロナウイルスの影響により消費行動に大きな影響が見られたもの

2020年12月8日総務省統計局発表、「新型コロナウイルス感染症により消費行動に大きな影響が見られた主な品目など」から、在宅勤務や巣ごもり需要、外出自粛による影響がうかがえる消費行動の変化を見ていこう。

2020年10月の消費行動に大きな影響が見られた主な品目では、食料のうち特に即席麺が対前年同月実質増減率11.0%、チューハイ・カクテルが28.2%と大きく伸びている。マスクやガーゼを含む保健用消耗品は106.7%増加と、9月の42.3%増と比較しても増加幅が大きい。

減少幅が全体的に大きいのが交通・通信系の品目で、航空運賃は対前年同月実質増減率-89.8%、鉄道運賃が-37.1%、バス代-45.5%、タクシー代- 19.4%などとなっている。郵便料は交通・通信のなかでも19.0%と増加しており、会う機会が減ったため直接渡していたものを郵送したり、手紙やはがきで近況を伝えた人もいたのかもしれない。

教養娯楽系の消費も、パック旅行費-27.0%、映画・演劇等入場料-30.3%、遊園地入場・乗物代-46.1%などと9月から継続して減少傾向。マスクをする機会が増えたり、外出の機会が減ったりといった影響を受け、ファンデーションの消費は-17.3%、口紅-37.6%と、9月から継続して減少している。

新型コロナウイルスの影響を受け、大きく減少した消費品目である外食費や交通費・旅行費、演劇などの娯楽費の消費は、2021年には徐々に戻ってくるのだろうか。この状況が収まり、外出や遠方への移動、人と会うことの制限がなくなることを切に祈る。

出典:総務省統計局ホームページ<br>
新型コロナウイルス感染症により消費行動に大きな影響が見られた主な品目など
<br>http://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_rf1.pdf出典:総務省統計局ホームページ
新型コロナウイルス感染症により消費行動に大きな影響が見られた主な品目など
http://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_rf1.pdf

2021年 01月07日 11時05分