全ての圏域で、通勤目的の女性の乗車人員が増加

国土交通省第12回 大都市交通センサス調査<調査結果の詳細分析>を参照して作成<br>首都圏・中京圏・近畿圏の属性別利用者数の変化(定期券利用者)、男女別構成比国土交通省第12回 大都市交通センサス調査<調査結果の詳細分析>を参照して作成
首都圏・中京圏・近畿圏の属性別利用者数の変化(定期券利用者)、男女別構成比

2018年3月30日、国土交通省は大都市交通センサス調査の分析結果を発表した。大都市交通センサス調査は1960年以降、公共交通施策検討の参考とすることを目的に、5年ごとに実施されている。今回の発表は、2015年に実施された第12回調査結果を分析、取りまとめたものだ。分析結果から、いくつか特徴的な変化が見られたものを取り上げたい。

通勤目的での鉄道利用状況を見ると、2010年から2015年にかけて、乗車人員は首都圏、中京圏、近畿圏、全ての圏域で増加した。特に首都圏では629万人から682万人と大幅に増加した。一方で、平均乗車距離は全ての圏域で短くなった。

鉄道の定期券利用者を属性別に見ると、前回調査と比較して女性の乗車人員が全圏域で増加。男性の定期券利用者は首都圏、近畿圏で減少、中京圏では横ばいという結果となった。男女別で定期券利用者の構成比を見ると、調査ごとに女性の割合が増加している。2015年で女性の割合が首都圏43%、中京圏で47%、近畿圏が47%となっており、年々男女差が少なくなってきていることが分かる。

また、定期券利用者を年代・性別で見ると、女性は20歳代以上の全ての年代で増加。男性は20歳代や65歳以上で増加、30歳~64歳では減少した。

大規模開発の影響により輸送需要が増加

国土交通省第12回 大都市交通センサス調査<調査結果の詳細分析>を参照して作成<br>豊洲地区・東京スカイツリー地区・武蔵小杉地区(首都圏)の初乗り人員と最終降車人員国土交通省第12回 大都市交通センサス調査<調査結果の詳細分析>を参照して作成
豊洲地区・東京スカイツリー地区・武蔵小杉地区(首都圏)の初乗り人員と最終降車人員

マンションの建築や大規模な都市整備が行われたエリアでは、前回調査の2010年から2015年にかけて利用者の変化が見られた。

東京都江東区の豊洲地区では、豊洲市場の整備と併せ住宅や商業、文化、アミューズメント関連施設の導入によりにぎわいを創出する再開発計画が進められてきた。現在、三井不動産株式会社による「豊洲二丁目駅前地区第一種市街地再開発事業」が進行中、オフィスや商業施設、ホテルなどの複合施設が2020年完成予定だ。豊洲地区では、初乗り人員が前回調査の15,067人から14,840人とやや減少したものの、最終降車人員が35,887人から46,323人に約1.3倍増加した。

「押上・業平橋駅周辺地区地区計画」が進められ、観光地としての商業施設の整備、オフィスや住宅の開発が顕著である東京スカイツリー地区でも同様に、輸送需要の増加が見られた。初乗り人員は7,793人から9,858人に、最終降車人員は9,642人から11,835人とそれぞれ約1.2倍の増加となった。

また、5路線が乗り入れ、大規模マンションが急激に増加している川崎市の交通拠点・武蔵小杉地区では、初乗り人員が19,330人から34,670人と、約1.8倍の増加となった。

都心3区に鉄道通勤者が集中、ピークの時間帯は?

最後に、通勤時に鉄道を利用する人にとって気にかかる、ピークの時間帯について見てみよう。

始業時刻の分布は、首都圏では8:46~9:00が最も割合が大きく38.1%。次いで、8:16~8:30が19.4%、9:16~9:30が12.4%となった。この8:46~9:00の分布が最も大きいのは近畿圏、中京圏も同様である。目的地別で見ると、首都圏の千代田区、中央区、港区の「都心3区」の8:46~9:00の構成比が43.5%となっており、特定のエリア・時間帯に集中していることが分かる。

東京都では、満員電車の混雑緩和を促進する「時差Biz」を進めている。2017年7月11日~7月25日の時差Biz集中取り組み期間では、約320社の企業が参加した。時差Biz結果報告では、まとめとして「一部の駅では、混雑の分散が見られた」と振り返っている。時間差通勤は、一部の駅や時間帯への集中の緩和になるのか。今後の動きを見守りたい。

国土交通省第12回 大都市交通センサス調査<調査結果の詳細分析>より<br>目的地ブロック別にみた始業時刻分布、集中量(定期券利用者、通勤目的)、首都圏国土交通省第12回 大都市交通センサス調査<調査結果の詳細分析>より
目的地ブロック別にみた始業時刻分布、集中量(定期券利用者、通勤目的)、首都圏

2018年 06月10日 11時00分