高齢者対応設備の整備状況は?

前回の記事では、2015年3月26日に国土交通省から発表された「平成26年度住宅市場動向調査」より、リフォームの時期や世帯主の年代、費用などについてとりあげ、リフォーム住宅の世帯主は60歳代以上が最も多いことなどをお届けした。
内閣府の「平成27年版高齢社会白書」によると、総人口に占める65歳以上人口の割合は26.0%であり、4人に1人は高齢者ということになる。
さらに2060年には2.5人に1人が65歳以上、4人に1人が75歳以上になると予測されている。

超高齢化社会を迎えようとしているが、住宅の状況はどうだろう。今回は、住宅の高齢者向け対応設備の整備状況と高齢者の住む住宅種別について見てみる。

なお、本調査における高齢者対応設備とは、高齢者が毎日の生活を支障なく行うことを目的として住宅に設置された、以下の設備である。

【1】手すり(便所、浴室、廊下など 2 ヵ所以上に設置されているもの)
【2】段差のない室内
【3】廊下などが車椅子で通行可能な幅(おおむね 80cm 以上であるもの)

注文住宅と分譲マンションで高齢者対応設備の整備率が高い

調査ではそれぞれの設備ごとの整備率や、住み替え前後の住宅の整備率の変化についても調査がされているが、ここでは、【1】~【3】の全ての設備の整備状況、高齢者が住んでいる・住んでいない世帯の比較で確認する。

住宅種別ごとの「全ての高齢者対応設備の整備率」

□注文住宅:
高齢者が住んでいる 44.5%、住んでいない 29.2%

□分譲一戸建て
高齢者が住んでいる13.0%、住んでいない住宅14.6%

□分譲集合住宅
高齢者が住んでいる54.8%、住んでいない住宅23.4%

□中古一戸建て
高齢者が住んでいる3.1%、住んでいない住宅7.1%

□中古集合住宅
高齢者が住んでいる14.3%、住んでいない住宅6.6%

□賃貸住宅
高齢者が住んでいる9.4%、住んでいない住宅3.0%

分譲一戸建て、中古一戸建ては高齢者が住んでいる世帯の方が整備率が低かったが、おおよその住宅で高齢者が住んでいる方が整備率が高かった。特に分譲集合住宅が54.8%、注文住宅が44.5%と整備率が高い。

高齢者が「住んでいない」住宅の整備率を見ると、「中古一戸建て」「中古集合住宅」「賃貸住宅」で10%以下と一様に低くなっている。
総人口が減少に転じたのが2005年であり、それ以降ずっと高齢化率は上昇し続け現在に至る。本調査で中古戸建住宅と中古マンションを取得した人の住宅の建築時期で最も多いのは「平成7年~平成16年」とあり、これが1995年~2004年あたりの時期に該当する。このころはまだ今ほど高齢化社会が問題にはなっておらず、高齢者向けの住宅について特段取組みがされていなかったことから整備率が低くなる傾向になったと思われる。

なお、2011年3月に見直しされた住生活基本計画(全国計画)では、高齢者への配慮として、高齢者の居住する住宅のバリアフリー化率を2020年には75%、高度のバリアフリー化を25%とすることを目標としている。それぞれの基準は下記の通りだ。

一定のバリアフリー化:2箇所以上の手すり設置又は屋内の段差解消に該当
高度のバリアフリー化:2箇所以上の手すり設置、屋内の段差解消及び車椅子で通行可能な廊下幅のいずれにも該当

本調査での高齢者対応設備を全て整備すると高度のバリアフリー化住宅となるが、現時点で25%の目標をクリアしているのは注文住宅と分譲集合住宅だけとなる。
住生活基本計画で目指す2020年まであと5年ほどだが、住宅種別によってはなかなか実現が難しそうなものが見受けられる。
住生活基本計画は5年ごとに見直しがされており、年内に最終的な案をまとめる予定とのこと。基本方針や目標に変更があるのかを今後注目したい。

高齢者のみの世帯の割合は民間賃貸住宅が最も多い

冒頭でリフォーム住宅の高齢者の割合が最も高いことはお伝えしたが、では「高齢者のみの世帯」が住む住宅はどうだろうか。
民間賃貸住宅で60.4%、中古マンション48.6%、分譲マンション41.9%と、世帯人員の小さい民間賃貸住宅の割合が一番多いようだ。
一戸建ては面積も広く、庭などの手入れや管理にも手間がかかるため、高齢者のみの場合はよりコンパクトな住居である民間住宅やマンションに住む傾向にあることが考えられる。

当サイトでも老後の住まいについては色々と取り上げてきたが、高齢者向け住宅は老人ホームだけではなく、サービス付き高齢者向け住宅やケアハウス、シニア向け分譲マンションなど様々ありそれぞれ特徴も異なる。

老後の住まいをどう選択するか?より充実した老後を過ごすために、今から情報収集をし基本的な知識を身に付けておきたい。

国土交通省「平成26年度住宅市場動向調査」を参照し作成国土交通省「平成26年度住宅市場動向調査」を参照し作成

調査概要

調査実施:国土交通省
調査対象:平成25年4月~平成26年3月に住み替え・建替え・リフォームを行った世帯を対象とし、住宅の種類別に調査
調査方法:注文住宅は、建築物動態統計調査のうち「補正調査」の対象から抽出
その他は調査地点を抽出し、調査員が該当の住宅を探し出し、訪問留め置き調査により実施

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2015年 11月28日 11時00分