住宅市場動向調査を読み解く

2015年3月26日に国土交通省から発表された「平成26年度住宅市場動向調査」は、全386ページにわたり、平成25年度(2013年度)の住宅の建設、購入、リフォーム等の実態把握・分析を行っている。
レポートは今後の住宅政策の企画立案の基礎資料とすることを目的としているが、実は住まい探しを考える私たちにも役に立つ情報が多い。今後順次この調査レポートのポイントを紹介していくので、住宅市場動向のデータを見て、今後の住まい探しの際の参考にしてもらいたい。

住宅取得時に経済的要因はプラスになったのか?

これまで、本調査より住宅種別ごとの購入資金と自己資金比率や住み替え前の住宅の種類、住宅ごとの選択の理由などを取り上げてきた。
調査は平成25年度の住宅取得を対象としているが、国土交通省の住宅着工統計によると平成25年度は新設住宅着工戸数は98万7千戸となっており、前年89万3千戸から大幅に増加している。経済的要因は住宅取得にどんな影響を与えたのだろうか?今回は「住宅取得時に経済的要因が与えた影響度」を確認する。

「住宅取得時に経済的要因が与えた影響度」は景気の先行き感、家計収入の見通し、地価/住宅の価格相場、住宅取得時の税制等の行政施策、従前住宅の売却価格、金利動向からなる6要因による住宅取得への影響を指している。それぞれについて「大きなプラス影響」、「多少のプラス影響」、「影響なし」、「多少のマイナス影響」、「大きなマイナス影響」の5段階で評価した。
この5段階のそれぞれに1、0.75、0.5、0.25、0の点数を与え、点数を5段階評価の構成比で加重平均して各要因の影響を指標化した。影響度指標の平均は0.5となり、それを上回ればプラス影響、下回ればマイナスの影響があったことになる。
住宅の取得はその時の経済状況だけではなく、今後の長期的な展望も含めて検討することになるため、今後の経済の先行き感や家計収入の見通しが明るいと感じれば後押しされることになるし、逆にあまり経済状況に明るい兆しが無いと感じれば検討もより慎重になる。
まずは6要因について、住宅種別ごとに平成26年と平成25年の対比で確認してみる。

影響度指標の平均から見ると、今回の調査結果(平成26年※平成25年度中の取得)は0.53~0.54となりややプラスに影響していることがわかる。全ての住宅種別で共通して金利動向、地価/住宅の価格相場がプラス影響となった。
住宅種別ごとに見ても影響度指標に大きな差はなくすべての住宅においてプラス影響となったが、平成25年度の調査結果と比較すると影響度は若干縮小している。

住宅取得時に経済的要因はプラスになったのか?

6要因の住宅種別ごとの違いは

次に住宅種別ごとに6つの要因が与えた影響度の違いを見てみよう。
おおむね影響度の山に特別大きな差はないが、注文住宅取得者の住宅取得時の税利等の行政施策や金利動向のプラス影響が目立つ。
景気の先行き感が注文住宅で0.5を下回る0.48となってはいるが、平成22年度の0.44以降、0.42、0.44、0.49と推移しており、5年間を比較すると年々マイナス影響が減少傾向にある。
これはほかの住宅種別も同様で、分譲住宅では平成22年度の0.42以降、0.44、0.49、0.52、0.52。中古住宅では0.39、0.46、0.43、0.52、0.53となっており、どちらも平成25年度以降0.50を超えていることから、景気はさほど悪くないと経済状態を評価するユーザーが増えてきたようだ。

では、注文住宅、中古住宅取得者でマイナス影響となった従前住宅の売却価格について見てみよう。三大都市圏で見ると注文住宅は0.47、中古住宅も同様0.47となった。
三大都市圏をさらにエリア別に見てみると、注文住宅は首都圏・中京圏が0.50、近畿圏が0.33となっている。中古住宅では、首都圏0.50、中京圏0.46、近畿圏0.41となった。
首都圏ではどちらも0.50とマイナス影響とはなっていないようだが、注文住宅は近畿圏が、中古住宅では中京圏、近畿圏でマイナス影響となった。

全体的には経済的要因はプラスであるという結果となったが、エリアや要因ごとに見ると必ずしも全てプラスに作用しているわけではないことがうかがえる結果となったようだ。

※本調査の三大都市圏エリア
<1>首都圏:埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県
<2>中京圏:岐阜県、愛知県、三重県
<3>近畿圏:京都府、大阪府、兵庫県

国土交通省「平成26年度住宅市場動向調査」を参照し作成国土交通省「平成26年度住宅市場動向調査」を参照し作成

調査概要

調査実施:国土交通省
調査対象:平成25年4月~平成26年3月に住み替え・建替え・リフォームを行った世帯を対象とし、住宅の種類別に調査
調査方法:注文住宅は、建築物動態統計調査のうち「補正調査」の対象から抽出
     その他は調査地点を抽出し、調査員が該当の住宅を探し出し、
     訪問留め置き調査により実施

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2015年 11月20日 11時10分