住宅市場動向調査を読み解く

2015年3月26日に国土交通省から発表された「平成26年度住宅市場動向調査」は、全386ページにわたり、平成25年度(2013年度)の住宅の建設、購入、リフォーム等の実態把握・分析を行っている。

レポート自体は今後の住宅政策の企画立案の基礎資料とすることを目的にしているが、住まい探しを考える私たちにも役に立つ情報が多い。

今後順次この調査レポートのポイントを紹介していくので、最新の住宅市場動向のデータを見て、今後の住まい探しの際の参考にしてもらいたい。

大震災以降デザイン的要素の優先度が低下

前回の記事では実際に購入した住宅と並行してどのような住宅を検討したかについてまとめた。今回はその住宅を選んだ理由は? という質問への回答についてまとめたい。

まず注文住宅を購入した世帯で最も多かった理由は「信頼できる住宅メーカーだったから」で48.7%だった。この理由は平成22年度調査から一貫して40%台でトップをキープしている。また「住宅のデザイン・広さ・設備等が良かったから」も同様に30%台で安定しているが、平成24年度調査以降、デザインや広さを上回ってきたのが、「一戸建てだから」「新築住宅だから」で、2位3位と続いている。

平成24年度調査とはつまり、平成23年度の実態。これは、東日本大震災直後の4月からの年度ということになる。デザイン系要素が相対的に優先順位が下がったのが印象的だ。

全国 平成26年度調査全国 平成26年度調査

分譲マンション選択の理由で、立地の優先度が上昇

続いては分譲マンションを購入した世帯の選択の理由で最も高かったのは、「住宅の立地環境が良かったから」で59.8%となった。この理由、平成22年度調査では35.1%の5位でしかない。ところが平成23年度以降50%以上をキープしており、平成24年度調査を除いて理由のトップに上がっている。

平成22年度調査・平成24年度調査で1位となった「新築住宅だから」という回答は、他の年度でも2位をキープして安定した理由となっている。

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中古マンションは価格や立地重視の姿勢が鮮明に

興味深いことに、中古マンションでも分譲マンションと同様に、立地を重視する人が増加している。

平成22年度調査で「住宅の立地環境が良かったから」と回答した世帯は40.9%だったが、平成23年度調査で53.6%、平成24年度調査で49.0%、平成25年度調査で51.4%、平成26年度調査で52.4%と、平成23年度調査以降明らかに1段階上がっていることがわかる。

またこの5年間の調査で継続して1位をキープしている「価格が適切だったから」も、平成22年度調査で62.7%だったところが平成26年度調査では81.1%にまで上昇しており、価格と立地をよく吟味するようになった姿が垣間見える。

平成23年度調査ということは、平成22年度実態ということで、民主党の鳩山政権~菅政権にあたる。前年度の欧州金融危機から抜け出せずデフレマインドがさらに深刻化してきた時期だ。「マンションだから」といったシンプルな理由が後退してゆき、価格そのものや、価値のバロメーターである立地に目が向きがちになってきたのではないだろうか。

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中古一戸建ては価格重視が続く

中古一戸建てでも、平成22年度調査でトップの理由だった「一戸建てだから」という理由が平成23年度調査以降2位に後退し、「価格が適切だったから」がその後1位をキープしている。

また興味深いのは「住宅の立地環境が良かったから」という理由で、平成22年度調査以降継続して3位をキープしてはいるものの、マンション購入世帯との傾向の違いが見える。概してマンションのほうが駅近な立地が多い傾向にあることから、立地という要件に差が出ているものと考えられる。

時代背景で言えば、今回発表の平成26年度調査は消費増税前までを範囲としている。来年発表の消費増税以降の消費者意識の変化は今から気になる点だ。


■調査概要
調査実施:国土交通省
調査対象:平成25年4月~平成26年3月に住み替え・建替え・リフォームを行った世帯を対象とし、住宅の種類別に調査
調査方法:注文住宅は、建築物動態統計調査のうち「補正調査」の対象から抽出
     その他は調査地点を抽出し、調査員が該当の住宅を探し出し、
     訪問留め置き調査により実施

※本記事はデータを元にしたHOME'S PRESS編集部データ担当による見解です


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2015年 07月09日 10時51分