家を売った事がある人は、どんな理由で、どんな媒介契約を結んでいるのか?
2014年に総務省から公表された平成25年住宅・土地統計調査によると空き家率は全国平均13.5%と、10軒に1軒は空き家があるという現在の日本。戸数にすると、総住宅数は6,063万戸で空き家の数は820万戸だという。年々増加する空き家だが、問題の解決として国は中古住宅の流通を促している。中古住宅を購入してリノベーションをするなど「買う」側面での選択肢は広がっているが、実際「売る」側はどうなのだろうか?今回、実際に家を売ったことがある男女20~50代の480人を対象に家の売却の実態について、「HOME'S 不動産売却査定サービス」が調査したデータをもとに売却理由や不動産会社とどんな媒介契約を結んだかを見ていきたい。
住まいを売却することになった理由ランキング
まずそもそもどういった背景から、住まいの売却を考えるようになったのだろうか。結果は以下の通り。
住まいを売却することになった理由ランキング【複数回答可】(n=480)
1位 より良い住まいに住み替えるため 42.3%
2位 資金が必要となったため 12.9%
3位 今が売り時だと考えたため(税制改正などから)9.4%
4位 勤め先の転勤のため 7.9%
5位 住まいを相続した/することになったため 7.5%
離婚したため 6.0%
家族(親や子どもなど)と同居するため 5.0%
ご自身や子どもの通勤/通学のため 3.3%
家族やご自身の子育て/出産のため 2.9%
家族やご自身の介護のため 2.3%
子どもが独立したため 1.5%
結婚したため 0.8%
その他 10.0%
「より良い住まいに住み替えるため」(42.3%)が突出して高く、1位となった。転勤や同居人の変化からの必然による理由よりも、自分たちのより良い住環境を重視した売却タイミングを理由に挙げる人の方が多かったようだ。3位には、「今が売り時だと考えたため(税制改正などから)」(9.4%)が、5位には「住まいを相続した/することになったため」(7.5%)が挙がっており、相続税対策などを含む税制改正の影響がうかがえる。
気になるのが6位に入った「離婚したため」(6.0%)。「結婚」「出産」「介護」「家族との同居」以上に、「離婚」が多いのが現代の特徴といえそうだ。
次に売却理由と実際に売れた期間の関係性を見てみたい。下記は、売却した理由ごとに売却までにかかった期間を尋ねたものである。
サンプルが少ないため参考値となる理由もあるものの、売却の事情によって、かかった期間が異なる様子が読み取れる。「住まいを相続したため」「離婚したため」「今が売り時だと考えたため」といった事情を抱えていた人は、3ヶ月未満に売れた人がそれぞれ7割前後と多くを占める。しかしこれは単に保有する物件の買主が早く見つかったというだけでなく、早く売りたかったために売れたという人もいたのではないだろうか。
中でも特徴的なのが「離婚したため」である。「離婚」を理由に挙げた人は、29人中20人(69.0%)が3ヶ月で売れたと回答しているが、29人中13人(44.8%)は、成約価格が「下がった」と回答している。全体で下がった人が32.5%であることを踏まえると、多いといえるだろう。
なお上位3つのうち「下がった」と回答した人が占める割合は、「住まいを相続したため」においては16.7%、「今が売り時だと考えたため」は33.3%に留まる。このことからも、思い出の詰まったかつての配偶者との家を一刻も早く引き払いたかったという潔さが垣間見える。
売却の際の契約はどれが一番多いの?
売却時の悩みどころとして一般的によく言われるのが媒介契約。大きくは専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約の3つである。
●「専属専任媒介契約」 ほかの不動産会社との媒介契約は不可。自分で買主を見つけてもいけない。売り主に対して不動産会社は1週間に1回以上の業務状況の報告義務。レインズの登録義務あり(媒介契約日から5日以内)
●「専任媒介契約」 依頼した不動産会社以外のほかの会社との媒介契約は不可。ただし、自分で買主を見つけてもいい。売り主に対して不動産会社は2週間に1回以上の業務状況の報告義務。レインズの登録義務あり(媒介契約日から7日以内)
●「一般媒介契約」 ほかの不動産会社とも媒介契約ができる。自分で買主を見つけてもいい。レインズの登録義務なし
それぞれ一長一短あり、どれで契約するのが賢いのか、判断に迷うところだ。実際に売却にまで至った480人はどの契約を結んだのだろうか?結果は以下の通り。
3つの契約の中では「専属専任媒介」が多い。しかしいずれかの契約にのみ偏るということはなく、大きく「専属専任媒介契約」(42.7%)と「一般媒介契約」(35.8%)に分かれた。「専任媒介契約」も2割強存在しており、こちらも含めて “一般媒介”と“専任媒介”で比較するなら、総じて“専任媒介”を選ぶ人の方が多いといえる。
しかし保有する物件に応じて、選ぶ契約が異なる点も見られた。詳しく見ていきたい。
その契約を結んで実際どうだったか?
どうしてその契約を結ぶに至ったのだろうか。各契約ごとに理由を比較してみた。
まず回答者全体においては以下の順位となった。
契約を結んだ会社を選んだ理由【複数回答可】※複数契約した方は最終的に売却につながった会社
1位 地元の不動産事情に詳しかったから 30.0%
2位 担当者の対応が良かったから 28.8%
3位 知っている会社だったから 25.4%
4位 知名度のある会社だったから 17.9%
4位 対応/返答が早かったから 17.9%
6位 査定価格が高かった/適切だったから 14.6%
7位 会社の規模が大きかったから 12.9%
8位 その他 7.5%
これに対して、契約別に見ていくと、専任媒介契約は「担当者の対応が良かったから」(34.0%)がトップ。さらに「知名度のある会社だったから」「査定価格が高かった/適切だったから」という項目も高いという特徴が見られた。
実際のこの契約を結び、査定価格に比べて売却価格はどのようになったのだろうか。専属専任媒介契約、専任媒介契約の方が一般媒介契約に比べて、上がった人もいるが、下がった人も多く、二極化するという結果となった。一方、一般媒介は「変わらない」が7割。もし上がらなくてもいいけれどもどうしても下げたくない場合、一般媒介で粘るのも方法のひとつかもしれない。
実際に、査定価格よりも上がって売れた人 VS 下がってしまい売った人 の特徴について次の記事で
今回の調査から「どういう物件の場合にどういう契約を結んでいるのか」、「査定価格よりも高く売れた人や下がった人の特徴」の傾向も見えてきたので、詳しいことは次回の記事で説明したい。
<調査概要>
【調査実施サイト】「HOME'S 不動産売却査定サービス」
http://www.homes.co.jp/satei/
【調査実施期間】2015年1月23日~2015年1月24日
【調査対象者】事前調査で「住まいを売却したことがある」と回答した人
【調査方法】インターネット調査
【有効回答数】480サンプル
※データ使用や詳細データのお問い合わせはhomes-press@next-group.jpまで
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