ハロウィンとは

ハロウィンは日本にもすっかり定着したハロウィンは日本にもすっかり定着した

近年すっかり日本でも定着した感のあるハロウィン。かぼちゃの提灯を作ったり、子供たちがお化けの仮装をして、お菓子をもらいに行ったりする日だという認識は広まったが、ではいったいなんの日なのかと問われたら、答えられる人はあまりいないだろう。
キリスト教では「万聖節」とも呼ばれ、聖人や殉教した人を記念する日とされている。しかしそんな日に、なぜカボチャの提灯を作ったり、お化けの仮装をしたりするのか説明がつかない。実はハロウィンの起源は、キリスト教よりずっと古く、古代ケルトのお祭だと考えられているのだ。

キリスト教の宣教師は、布教するためにその地の人々が信仰してきた土着の神々を悪魔に仕立てあげてきた。たとえば山羊の悪魔を「バフォメット」と呼ぶのはその典型だろう。バフォメットの神殿はモスクだというから、明らかにマホメットを意識している。また魔術書などにもよく登場する強力な悪魔「アスタロト」も、メソポタミアで豊穣の女神として人気のあったイシュタロトを醜悪にしたものだ。このように、宣教師たちは神々を悪魔としたが、人気のある祭は排さず、キリスト教の祭として取り込んだ。クリスマスも本来はキリスト教の祭ではなく、ゲルマン民族のユールと呼ばれる冬至祭であったと言われている。ハロウィンも同じ事情で、キリスト教の祭と同一視されるようになったのだ。

ケルトに限らず、古代において冬至を一年の初め、あるいは区切りと考える地域は珍しくない。そして、新年の前日には死者がこの世に戻ってくるという思想も、特別なものではなかったようだ。日本でも、お正月を前にした大晦日には、先祖が「歳神様」として家に戻ってくると考えていたから、日本人にも馴染みやすい考えだろう。この、死者が帰ってくる日をケルトではサムハイン(Samhain)と呼び、それがキリスト教に取り入れられてハロウィンになったと考えられている。つまりハロウィンとは、古代ケルト人にとっては日本のお盆のようなものだったわけだ。
また古代ローマでも、同じ時期に果樹を司るポーモーナの祭が祝われており、ハロウィンに習合したと考えられている。

サムハインとは

サムハインの祭がどのようなものだったか、詳細な記録が残っているわけではないが、冬至、つまり太陽の力がもっとも衰える日は、悪霊の跋扈(ばっこ)する日であると考えられていた。そして冬至は、この日を境に太陽の力が復活する日でもあり、復活祭の意味もある。さらにまたこの時期にはさまざまな穀物や果物が熟することから、収穫祭の時期でもあるというように、とても大切な日であると考えられていた。
ケルトでは、ドルイドと呼ばれる司祭が祭を取り仕切っており、この日には聖なる火を各家に分け与えたとされる。人々はそれを玄関に飾ることにより、悪霊が家に入り込まないようにしたわけだ。
この日に人々がお化けの仮装をするのは、悪霊に対抗するための手段として始まったものなのだろう。

ジャック・オー・ランタン

では、カボチャで作った提灯を飾るのはなぜだろう。この提灯は「ジャック・オー・ランタン」と呼ばれるが、その起源はアイルランドやスコットランドにある。
この地域では、生前正しい行いをしてこなかった人間は、死後の世界に入れてもらえず、いつまでもこの世をうろつかねばならないと考えられてきた。

その霊魂が憑依したのがカブだ。死霊は、顔をカブに替えて眼から鬼火を散らしながら彷徨っているとも、地獄の火を入れたカブの提灯を手にして逍遥しているのだとも言われる。カブがカボチャに替わったのはアメリカでのことで、理由は単純にカブよりカボチャの方が入手しやすかったからのようだ。
つまり、ジャック・オー・ランタンとは、カボチャ提灯そのもののことではなく、カボチャ提灯を持ってうろつく霊魂のことを指しており、これを持てばそれだけで、お化けの仮装が完了していることになるわけだ。

かぼちゃをくりぬいた提灯は「ジャック・オー・ランタン」という名前があるかぼちゃをくりぬいた提灯は「ジャック・オー・ランタン」という名前がある

日本におけるハロウィン

日本でハロウィンを最初に取り扱ったのはキディランドであると言われている。1970年代にはハロウィンの関連グッズが店頭に並べられたようだが、定着したのはそう古いことではない。10月になれば、洋菓子専門店などでカボチャケーキやカボチャプリンを見かけるようになった後も、ハロウィンの仮装をする子どもはさほどいなかった。
1990年代後半以降、アメリカ発祥の大規模テーマパークがハロウィンイベントをするようになり、日本人にとっても馴染みの深い行事となってきた。
ハロウィンイベントを開催している地域では、子どもたちはそれぞれに仮装をして近所の家庭を周る。その際、子どもたちの訪問に困惑する家庭もあるので、前もって訪問可能な家庭がどこであるか周知されることが多いようだ。そして家庭を訪問したら「trick or treat(いたずらされたくなかったらもてなして)」と問いかけて、お菓子をもらう。

直接は関係ないが、実は日本にも似たような伝統行事が存在している。たとえば北海道では「ロウソクもらいの日」がある。七夕や月遅れの七夕(8月7日)に各家庭を訪問し、歌を歌ってその返礼にロウソクやお菓子をもらう行事が江戸時代から伝わっている。七夕がお盆と深い関連があることを考えると、面白い偶然だろう。また、愛媛県などでは、旧暦10月の最初の亥の日(亥の子の日)に、子どもたちが「亥の子石」と呼ばれる大きな石を持って各家庭を周り、歌を歌ってお菓子をもらう行事がある。

日本にもハロウィンに似た行事があること、またお盆と同じで先祖の帰ってくる日であると知れば、楽しんでみたいと思う方も多いだろう。
近所を周ってお菓子をもらうのは、地域でシステムが作られていなければ難しいが、仮装をしたり、カボチャの提灯を飾ってカボチャ料理を食べたりするだけでもハロウィンらしい雰囲気が楽しめるものだ。

今年のハロウィンの晩御飯はカボチャ料理にしてみてはいかがだろう?

2015年 09月29日 11時05分