非常時のために備蓄すべきものとは

今後30年以内の発生可能性が70%と言われる大地震。首都圏や東南海など、各地で警戒されている。地震への備えは、家具の固定や建物の耐震化だけではなく避難の際に必要となる懐中電灯やバケツ、カセットガスコンロのほか、非常食も含まれる。これらの道具や食品は非常用持出袋にまとめ、すぐ取り出せるような場所に保管しておく。そしてその情報を家族で共有しておくと良いだろう。

しかし非常用の水などはスペースを取りがちだし、「いざというとき、食品類が傷んでいてはいけないから」と多目にストックしようとすれば、なおさらだ。倉庫や床下の収納スペースなら、大量の非常用品を長期間保管しておいても気にならないが、いざというとき運び出せなくては意味がない。また、非常用品を置いた部屋が倒壊してしまっては取り出せないから、普段の生活スペースから近い、部屋の大きさに対して柱の多い部屋にストックしておくのがベターだろう。
生活スペースに大量の非常用品を置くと邪魔になってしまうから、必要最小限を買いそろえておき、定期的に取り換えるようにしたい。非常用の道具にも使用期限があるからだ。とはいえ、懐中電灯は電池2つで使用できるものがほとんどだし、カセットガスも一本あれば非常時は乗り切れるから、使用期限が切れたとしても、買い替えるのはそれほど大事ではない。さらに、電池の使用期限は2~3年程度なので、1年ごとに保管する電池を取り換えて、古いものから使っていけば無駄な廃棄物を出さずに済む。カセットガスも使用期限は6~7年とさらに長いから、3年ごとの取り換えでも十分だろう。
問題は、賞味期限の短い水や非常食だ。

非常食の管理の問題点

乾パンなどの非常食は、被災後に食べると特に味気なく感じてしまうと言われる乾パンなどの非常食は、被災後に食べると特に味気なく感じてしまうと言われる

家族が多ければ、備蓄すべき非常食は大量になる。内閣府が推奨する備蓄量は3日分だから、家族5人だと、なんと45食分。毎日同じものを食べれば飽きてしまうからと変化をつけようと複数種類用意すれば大変な量になってしまう。しかも、缶詰の賞味期限は約3年と長いが、レトルトパウチのものは3ヶ月~1年程度と短いものも少なくない。フリーズドライの食品は賞味期限が20年強とかなり長期だが、お湯がないと食べられないので、水が不足した場合や、カセットコンロがない場合を考えると、フリーズドライ食品だけで非常食を構成するのは危険だろう。バリエーションを考えても、さまざまなタイプの保存食をそろえておきたい。

しかし、賞味期限の違う食品を備蓄していると、管理が大変だ。また量も少なくはないため、うっかり賞味期限を過ぎてしまうと大量に廃棄しなければならず、無駄が多い。もし賞味期限ギリギリに気づいて、廃棄せずに消費しようとすれば、毎日非常食で過ごすことになるかもしれない。最近の非常食は味の良いものも多いが、カンパンやおかゆなどは、毎日食べると飽きてしまうだろう。
そこで推奨されているのが、ローリングストック法だ。

ローリングストック法とは

ローリングストック法とは、非常食を日常的に食べ、新しいものを補充するというシステムだ。月に一度か二度、非常食消費の日を決めて、賞味期限の近いものから順に食べていく。もちろんそれまでに新しい非常食を補充しておくのを忘れずに。非常食を食べてしまった日の晩に天災が起きる可能性もあるから、消費する前の補充が鉄則だ。

ローリングストック法の意義は、非常食の味に慣れるという点にもある。最近では様々な商品が発売され改良されているが、多くの非常食は味が単調だ。被災後に自分の好みでない味を食べ続けると、気持ちが滅入ってしまいかねない。しかし日常から非常食の味に慣れておくと、ダメージが小さいと考えられるのだ。味の問題だけでなく、フリーズドライのものなどは、普段から作る習慣をつけておけば、いざというときに調理の仕方を迷わずにも済む。
また、補充するたびに、どんな非常食が販売されているか発見できるし、味見もできるので、なるべく自分好みの味でそろえることもできるわけだ。

非常食は3日分の備蓄が推奨されているから、一人につき9食分。食品一つの賞味期限が1年であると仮定すれば、1年間で9食分を消費すれば良いので、1ヶ月に1日非常食消費の日を作れば、賞味期限切れを起こすことなく、循環していける計算になる。
賞味期限が短いレトルトパウチを入れたい場合でも「非常食の日」にチェックして、賞味期限の一番短いものを選ぶようにルールを作っておけば傷む恐れはないが、賞味期限の短い食品が多ければ、それを食べる頻度が高くなってしまい、「さまざまな非常食の味に慣れておく」という意義には反してしまうから、気を付けたい。
賞味期限が1年以内のものは、一人1~3食程度に抑えておく方が無難だろう。

ローリングストック法で用意しておきたい食事以外の備蓄品

鍋料理などに使われるカセットコンロは、有事には重宝する鍋料理などに使われるカセットコンロは、有事には重宝する

ローリングストック法を実施する場合、一緒に使いたいのが、ガスコンロだ。カンパンやおかゆなどは冷たいままでも食べられるが、フリーズドライやレトルトパウチの食品は、温めないと食べられない。また、災害が起きたのが冬であれば、温かいだけでご馳走に感じるものだ。そこで、非常食消費の日には、毎回ガスコンロを使って調理するようにする。そうすれば調理の予行演習になるし、カセットガスの使用期限切れを回避できる。ただし、予備のカセットコンロを1本用意するのを忘れずに。
また、水も非常用のものを使い、循環させよう。

その他、非常食消費の日に実践しておきたいのは、どこにでもあるもので食器を作ること。有事には食器がすべて壊れてしまっていたり、食器棚が倒れて中身が取り出せなかったりする可能性がある。そんな場合でも、簡易食器があれば食事ができる。そこで、普段から簡易食器を作る練習をしておくのだ。材料は新聞紙とポリ袋だけ。新聞紙などの紙なら、調達しやすいし加工しやすい。まずは新聞紙を正方形に切り、折り紙の「コップ」や「箱」を作る。そこにポリ袋をかければ十分食器の代用になる。しかし、折り紙でコップの作り方を知らない人は多いだろう。だからこそ、普段から作る練習をしておくのだ。この積み重ねにより、非常時にもすぐ対応できる。

天災の際に、備蓄しておくと心強い非常食だからこそ、賞味期限を切らさないよう気を付けて、万全に備えたい。
いつ起きるかわからない大災害だが、ただおびえていても仕方ない。一日も早く、具体的な災害対策を始めてみよう。

2015年 07月08日 11時07分