卒業制作を全国から集め、女子学生の№1を決定!

会場は、名古屋の「サーウィンストンホテル」。洗練されたインテリアに学生たちの作品が映え、“女子の決戦”らしい華やいだ展示空間となった。ファイナル審査は、3/26(水)に公開で行われた会場は、名古屋の「サーウィンストンホテル」。洗練されたインテリアに学生たちの作品が映え、“女子の決戦”らしい華やいだ展示空間となった。ファイナル審査は、3/26(水)に公開で行われた

今もっとも旬なのは【デザイン女子】!? 
デザイン業界で活躍する建築士・デザイナーの“原石”ともいうべき全国の女子学生の中から、ナンバー1を決める大会が3月26日、名古屋で開催。さっそく会場に駆け付けた。

その名も『デザイン女子№1決定戦2014NAGOYA』。
“都市・建築・インテリア・プロダクトなど、空間に関係するデザイン”をテーマに女子学生の卒業設計・制作を集め、【デザイン女子No.1】を決定する公開審査会だ。
3年目となる今回は、全国の大学・短大や専門学校などに在籍する女子学生から、94作品という昨年を上回るエントリーがあったとか。

そもそも、大会開催のきっかけとは? 

「2010年に『デザイン女子会議』というシンポジウムを開催した際、“女性の視点でのデザインとは?”という話題で盛り上がりました。
そこで、卒業設計・制作を一同に介することで、新たな視点を探ることになったのです」
(椙山女学園大学 生活科学部 生活環境デザイン学科 准教授、橋本雅好先生談)

インテリアはもちろん、建築やプロダクト業界でも、女性の活躍が目覚ましい昨今。
今大会では、未来を担う『女子』ならではの、自由でみずみずしい視点を生かした卒業設計・制作が集まった。さっそくご紹介しよう。

図書館×保育園、故人をしのぶ場…。“人とのつながり”がデザインにあふれる

左は、園庭の取れない都心のこども園の提案『さぎすぐるぐるびる-けんちくとあそぶ-』。スロープなどを設け、タテに遊び場が広がっている。右は、図書館と保育園を融合した『童話の記憶』。子どもと大人が自然に交流できる施設だ。このように、保育の場だけでもアイデアが柔軟だ左は、園庭の取れない都心のこども園の提案『さぎすぐるぐるびる-けんちくとあそぶ-』。スロープなどを設け、タテに遊び場が広がっている。右は、図書館と保育園を融合した『童話の記憶』。子どもと大人が自然に交流できる施設だ。このように、保育の場だけでもアイデアが柔軟だ

ネットの急速な普及もあり、人間関係が希薄だと言われて久しい。とくに若者は「リアルな人付き合いなんて面倒くさい」と考えているのではと思いきや…。
会場に展示された【デザイン女子】の一次審査通過作品47作を見て、驚いた。
多くの作品が、デザインの力で「人と、より強くより楽しくつながりたい」という想いにあふれているのだ!

写真で紹介した以外にも、「高齢者施設×図書館」であったり、「趣味を楽しむ土間」を設けて地域交流をはかるまち設計だったり―。プロダクト部門では、マイ箸ならぬマイ小皿をデザインすることで「シェアランチ」を楽しむ提案もあった。
“地域や人と、きちんとつながる”。これが、結婚や子育てを見据えた『女子の視点』の一つなのかもしれない。

また、葬儀の場や、精神の病から回復を目指す建築、死を裁く裁判所といった、
モノトーンの卒業制作も目に付いた。
楽しいばかりではなく、苦難や悲しみに向き合う場のデザイン作品からも、【デザイン女子】の才能の幅広さを実感することができた。

審査員からの厳しい試練に応える【デザイン女子】。ついに入賞作品が決定!

№2に選ばれた作品『曼荼羅楼船亭』。浅草の新しい寄席という、異色かつワクワクする物語に満ちたデザインが高い評価を得た№2に選ばれた作品『曼荼羅楼船亭』。浅草の新しい寄席という、異色かつワクワクする物語に満ちたデザインが高い評価を得た

一次審査と二次審査を経て、ファイナルに進んだのは8名。観客と審査員の前で7分間のプレゼンが行われ、その後、ファイナル進出者8名と審査員5名がステージに集まり、公開審査がスタートした。

審査員「この建築は独善的では? 地域の人にストレスを与えない?」
審査員「子どもの身体感覚を考えて設計していますか? 大人の目線なのでは?」

口調は柔らかではあるが歯に衣きせぬストレートな質問に、観客である筆者はドギマギしたが、デザイン女子たちは落ち着いて答えており、非常に感心した。実は「自分の言葉で答えること」も、重要な審査項目の一つなのだとか。

「公開審査の狙いとして、デザインの業界で活躍するためには、評価される部分と疑問を持たれる部分を、審査員とのやりとりからしっかりと感じてほしいということ。
そして、デザイン業界では公開審査は多くなっていて、経験を積むという面もあります」
(橋本先生談)

かくして、観客の面前での公正な投票により、【デザイン女子№1】の作品が決定。
建築や都市設計の作品をおさえて選ばれたのは―。
唯一のプロダクト作品であるノートカバー『Patan(パタン)』だ。

「私にできるもの」ではなく「私しかできないデザイン」を! 

1位の中間さんはプロによるヘアメイクが施され、純白のケープをまとって螺旋階段から登場する粋な演出も。左から、2位の宮城さん、1位の中間さん、3位の高木さん。みなさんキュートな笑顔!1位の中間さんはプロによるヘアメイクが施され、純白のケープをまとって螺旋階段から登場する粋な演出も。左から、2位の宮城さん、1位の中間さん、3位の高木さん。みなさんキュートな笑顔!

2014年【デザイン女子№1】の称号を手にしたのは、名古屋造形大学の中間彩乃さん。

昔のおもちゃ「パタパタ」の原理を利用し、ノートを閉じるだけで文房具が収納できる、革のノートカバー『Patan』は、文房具好きな女子の視点を存分に生かした作品だ。

「アイデアが出なくて悶々としていましたが、必死に手を動かすことで“自分の代表作”を完成できた。将来の夢は、自分のブランドの文房具を販売するお店を名古屋に開くこと」
と瞳を輝かせて語ってくれた。

№2は、『曼荼羅楼船亭』を設計した、工学院大学の宮城絢子さん。
ノートとペンを持って浅草をひたすら歩いて生み出した、レトロかつ“新しい寄席”が、審査員の心に響いた。「どうすれば評価されるか分からずに悩みもしましたが、自分のやりたいことをやりきることが、結果につながると実感できました」

№3は、図書館と保育園を複合させた、愛情あふれる建築『童話の記憶』で、芝浦工業大学の高木理菜さんが受賞した。

「試行錯誤を繰り返しつつも、シンプルかつ単純に見せてくるところに、
女性の粘り強さと頑固さを感じました」と総括してくれたのは
審査委員長の加茂紀和子さん(建築家・みかんぐみ共同代表)。


「自分本位ではなく、ユーザーやクライアントの意向を形にできるデザイナーを
目指したい」と、キラキラした笑顔で語ってくれた受賞者。
この言葉にも、“人をつなぐ、人とつながるデザイン”を大切にする想いが垣間見えた気がした。
頑固で愛にあふれた【デザイン女子】たちが、建築やプロダクト界に新たなムーブメントを起こしてくれるのは、きっとまもなく。自由な発想力と強い信念に、ぜひ期待したい。

2014年 04月10日 10時24分