「クルマのまち」から「環境先進都市」へ。
人と環境と技術が融合する『ハイブリッド・シティ』を目指す豊田市

「トヨタ」と聞けば、多くの方が「クルマ」を思い浮かべるのではないだろうか。
実際、自動車産業が盛んな愛知県豊田市は「クルマのまち」として国内外に広く知られている。
だが、同市の特徴はクルマだけでは決してない。
「未来の暮らしはこんなカンジ?!」との予感をさせる街づくりが進んでいるのだ。

本題に入る前に、豊田市について少し説明すると・・・

愛知県の18%という県内一番の広さを誇る豊田市は、産業都市と自然豊かな中山間地が共存する、自然にも恵まれたまち。市内の森林面積は62.644haで、総面積における割合は68.2%(平成23年度)。その豊かな森を活かした取り組みが様々に進められている点も特徴の一つとなっている。もちろん「クルマのまち」だからこその強みも大きく、次世代自動車普及を含む交通への取り組みや、ものづくりの現場におけるエコな取り組みも積極的に推進。

“地球温暖化問題に対して高い目標を掲げ、低炭素社会の実現に向けて先駆的な取り組みに挑戦する都市”として平成21年には『環境モデル都市』の認定を受けた他、翌年には『次世代エネルギー・社会システム実証地域』として全国4地域の一つに国から選定。さらにその翌年には、地域活性化総合特区『次世代エネルギー・モビリティ創造特区』の指定も受け、環境産業に関する取り組みが加速している。

次世代環境技術を楽しく体感できるまち【とよたエコフルタウン】

エコな未来の暮らしや、企業が持つ最新の環境技術を体験できる、全国初の地区【とよたエコフルタウン】/イラストエコな未来の暮らしや、企業が持つ最新の環境技術を体験できる、全国初の地区【とよたエコフルタウン】/イラスト

そんな「環境先進都市」を目指す豊田市の中央部に、平成24年5月、注目の“まち”が登場した。
次世代の環境技術などを集約し、低炭素社会に向けた取り組みを“見える化”した、低炭素社会モデル地区【とよたエコフルタウン】だ。

現在、第1期(0.7ha)を公開中の同地区は、豊田市の環境情報発信拠点でもあり、市の取り組みや様々な先端環境技術を6つのコーナーに分けて展示・紹介している「パビリオン」をはじめ、スマートシティ・スマートライフ・スマートプロダクツを肌で感じ、時にはゲーム感覚で楽しめる体感施設が用意されている。

例えば・・・ ITSや水素ステーション

パビリオンでは、ITSの「デマンドバスシステム」も体感できる。<br />玄関前にバス停があり、乗車希望者は、モニターに表示されたバス位置情報を確認し、とよたおいでんバス(中心市街地玄関口バス)をボタン一つで呼び出すことができる。呼び出しがない場合は、バスは地区への進入もしないパビリオンでは、ITSの「デマンドバスシステム」も体感できる。
玄関前にバス停があり、乗車希望者は、モニターに表示されたバス位置情報を確認し、とよたおいでんバス(中心市街地玄関口バス)をボタン一つで呼び出すことができる。呼び出しがない場合は、バスは地区への進入もしない

では、実際にどんな施設があるのかと言うと、
住宅ライターとしては、家庭内のエネルギー利用を最適化する仕組みを展示した『スマートハウス』に目がいくが、これは次回に詳しく紹介するとして・・・

例えば、『ITS(高度道路交通システム)』。
基幹バスとして市内を運行している「とよたおいでんバス」の呼び出しや歩行者感知など、次世代の交通システム体験ができ、近い将来のスマートなITS技術を見ることができる。

また、次世代自動車の一つである燃料電池自動車の普及に先駆けた『水素ステーション』もある。ここは、全国3カ所にある商用ステーションの1カ所となっている実証施設で、2015年に市販が予定される燃料電池自動車への水素供給や、燃料電池のPR施設としても活用されている。

例えば・・・ スマートモビリティパーク

ガイドツアー参加者は、1人乗り電気自転車(要普通免許)や電動アシスト自転車の試乗体験も可能。<br />会員制度も始まっており、市内25カ所ある他のステーションへも自由に行き来ができるガイドツアー参加者は、1人乗り電気自転車(要普通免許)や電動アシスト自転車の試乗体験も可能。
会員制度も始まっており、市内25カ所ある他のステーションへも自由に行き来ができる

『スマートモビリティパーク』も未来にある姿だろう。
ここは、“主要駅からの端末交通手段”となる超小型電気自動車や電動バイク、電動アシスト自転車を共同利用するための貸出拠点。公共交通と組み合わせることで、より便利で快適なエコ移動を進めている。

その他にも、充電スタンドの無料開放や、市内産木材で建設されたカフェレストランで地元の農産物や特産品をPRする『地産地消ハウス』、壁面緑化や保水・透水・遮熱などの特殊舗装などもあり、地区内の至る所で一歩先を行く環境技術に触れることができる。
そして、「生活者が無理なく、無駄なく、生活の質を落とすことなく、快適なエコライフを送る」ことの様々なヒントを受け取ることもできるのだ。

ちなみに、このような最新技術は日進月歩ゆえに、豊田市は同地区のインフラのみ創っている。
ベースとなる共用部は市、上物となる各施設については各企業が担うことで、市は必要以上に税金を使うことがなく、各企業は土地代の費用をかけずに来場者へ環境技術のPRが可能に。このように企業と協同で事業を展開していることも興味深かった。

“低炭素な未来の暮らし”はすぐそこに!?

「交通」「産業」「森林」の得意分野に、毎日を進化させる「生活」を加えた取り組みを進める豊田市。『ミライのフツーを目指そう』のキャッチコピーも響く「交通」「産業」「森林」の得意分野に、毎日を進化させる「生活」を加えた取り組みを進める豊田市。『ミライのフツーを目指そう』のキャッチコピーも響く

先進環境技術を駆使したまちは、理解を深めるほどに驚きや楽しさが増し、未来の暮らしへの期待も膨らむもの。
パビリオンのコンシェルジュが地区内を説明してくれる約1時間のガイドツアー(予約制)も好評で、平成26年1月末現在の来場者数は7万人を達成。多くは一般市民だが、うち3割は企業・行政・大学・各種団体で、そこには海外約70カ国からの視察も含まれており、国内外から注目を集めていることが分かる。

豊田市役所環境モデル都市推進課の方によると、
「市の取り組みや企業の最新技術を発信し、それを今後の街づくりへ活かすのはもちろん、訪れた来場者が何かを感じ、エコを考えるきっかけとなること」が同地区の役割なのだとか。

【とよたエコフルタウン】は、現在、平成26年春のリニューアルオープン(1.55haの全面供用)を目指して整備中。更なる充実を図り、新築&リフォームのスマートハウスや、壁面緑化システムを用いた次世代農業モデル、ツリークライミング体験エリア、イベント等もできる芝生広場他が登場予定だ。完成した際には、“低炭素な未来の暮らし”のイメージを更に膨らませに再訪してみたいと思う。

さて、次回は【とよたエコフルタウン】内にある、スマートハウスのモデル棟に注目してみよう。

【とよたエコフルタウン】HP
http://toyota-ecofultown.com/

豊田市 環境モデル都市推進課(取材協力)
http://www.city.toyota.aichi.jp/division/an00/an06/index.html

2014年 02月16日 10時38分