なにもしないのに「士業成り」

物件の囲い込みをはじめとした「業界の常識は世間の非常識」といった慣習を放置しておきながら「宅地建物取引士」と名称だけ変更しても、意味がない物件の囲い込みをはじめとした「業界の常識は世間の非常識」といった慣習を放置しておきながら「宅地建物取引士」と名称だけ変更しても、意味がない

宅地建物取引主任者は2015年4月1日「宅地建物取引士」に名称変更された。
が、不動産仲介業において、一部を除く大手から中小までこぞって物件情報の囲い込み(「不動産仲介の物件囲い込み問題~宅建業法の改正を望む~」)を公然と行なっている現状での士業成りには、私は反対だ。こうした典型的な「業界の常識は世間の非常識」といった慣習を放置しておきながら名称だけ変更しても、意味がない。

情報の囲い込みについて、はたして本当に囲い込んでいるかどうかの事実確認を、外部から行うのは容易ではない。そのことから、厳しい罰則規定を設けるだけでは根絶できないという意見もある。

それでも、数ヶ月の営業停止処分程度の厳しい罰則は必要ではないか。表向きは皆「囲い込みなどはしていない」というのだから、どんなに厳しい罰則でも問題ないはずだ。

仲介手数料率を見直そう

さてこうした意見を述べると必ず「片手の仲介手数料ではやっていられない」といった意見があがる。
郊外や地方では物件価格が安く、3パーセント+6万円程度の手数料では割にあわないというわけである。それはごもっともだが、だからといってそれが情報の囲い込みをしてよいという理由にはなり得ない。

そもそも3パーセント+6万円といった仲介手数料上限の根拠は、1970年の建設省(当時)の告示による。私たちは45年前の規定を後生大事にしているというわけである。あれから物価は3倍以上、給与所得は4倍以上と、現在とは社会・経済事情も大きく変貌を遂げた。

仲介手数料はもう、自由化で良いのではないだろうか。
5パーセントでも10パーセントでも、ユーザーにきちんと説明した上であれば、必要な手数料は受け取るべきだ。自由化にはリスクがあると判断するなら、せめて上限を見直すべきだろう。

業界団体理事の「定年制」を

ところで私たち不動産業界は、古い慣行・慣習をどうして変えられないのであろうか。
業界の発展のためには、優秀な若手がこぞって不動産仲介エージェントを目指すといった土壌づくりが必要だが、売主にウソを付くのがあたりまえの、誇りを持って仕事ができない現状ではとうていおぼつかない。

そこでもうひとつ提案したいのは、業界団体理事など役職者の「定年制」である。
60歳を定年とし、以降は若手に任せ長老的な役割を担い、その経験や人脈で若手のサポートにまわる。地方に行くと業界団体理事があたかも名誉職のような扱いをされている現状が見受けられるが、このくらいの改革をしないと業界の明日は切り開けないだろう。

これまで業界を担ってきた諸先輩には心からの敬意を表するが、さすがにもう私たちの業界も変わる時だ。

業界団体理事など役職者は、60歳以降は若手に任せ長老的な役割を担い、</br>その経験や人脈で若手のサポートにまわる「60歳定年制」などの改革をしないと</br>業界の明日は変わらないだろう業界団体理事など役職者は、60歳以降は若手に任せ長老的な役割を担い、
その経験や人脈で若手のサポートにまわる「60歳定年制」などの改革をしないと
業界の明日は変わらないだろう

2015年 04月08日 10時55分