ベルリンで最先端のプラス・エナジーハウスを見て思ったこと

2012年にドイツ国土交通省持続可能な建築部責任者の事務次官ハンス・ディーター=ヘグナー氏と再会をするため、ドイツ国土交通省などを訪問させてもらった。
もうひとつの目的は、ドイツの最先端技術のプラス・エナジーハウスを見学するためである。どちらも非常に興味深く楽しみにして、ドイツに赴いた。

下の写真はドイツ国土交通省のモデルハウスであるベルリンのプラス・エナジーハウス。
まずは、家そのものの圧倒的に美しいデザインが目を引く。大きなガラスで非常に先進的な建築物に僕は驚きを隠せなかった。しかもこの建築物は、真南に向いているのではなく、道路に対して平行に45度に振れて建築されている。パッシブデザインというのは自然の力を活用するのが基本。そんな中、基本は真南に大きな窓・開口部を設置するというのが本当だと思っていた。また、この家は大きな開口部が道路側と庭側がすべて大きな窓になっている。建築的な用語だが、この窓ガラスなんと6センチの幅がある3枚ガラスでU値は0.7w/㎡Kだ。これは一般的な日本で使われているペアガラスの窓でも3.4〜4.0w/㎡Kなので、熱が逃げる量を比べると、単純に日本の窓ガラスは5倍から6倍ほど熱が逃げていることになる(※それでは、必然的に窓際は「寒い」ということになる)。
写真の左側の透明感のある黒い外壁材…実は、これは太陽光発電ができる外壁材だ。ツルッとした質感が非常に高級感を醸し出している。また、屋根にも同様に太陽光発電パネルを搭載している。
この建築物は家族4人で暮らすエネルギーはもちろん、なんと1年間の2台の電気自動車、2台の電動アシスト付き自転車のエネルギーまで供給して「プラス」いわゆる地球に存在する化石燃料・枯渇型エネルギーに頼らずに暮らせるというもの。
正直、僕は驚きを隠せなかった。

ベルリンの「プラス・エナジーハウス」ベルリンの「プラス・エナジーハウス」

ドイツで重要視される建物のエネルギー効率化とその実力

1970年代に建てられたドイツ公団賃貸アパート。パッシブハウス基準を満たす改修が施されている1970年代に建てられたドイツ公団賃貸アパート。パッシブハウス基準を満たす改修が施されている

ドイツでは、「脱原発」を進める上でもまずはエネルギーの高効率化を重要視している。とくに建築物における「省エネ化」は補助金を投入してもそれ以上に効果がある、ということで国をあげての政策に取り組んでいる。
その「省エネ化」をはかる意味でも非常に重要だったのが、「建物の燃費の見える化」のツール「エネルギーパス」。ドイツは国をあげて発行し、一般の消費者の理解を促すため、今ではエネルギーパスの性能表示が義務づけられている。さらに2020年には、新築の建築物に関してCo2を全く出さずに生活できるレベルの住宅を義務づけようとしている。
※エネルギーパスに関しては別途、ほかの回で解説させてもらう。

この施策は、新築だけではない。
150戸近い1970年代に建てられた公団の賃貸アパートも数棟がこの考えで改修をされている。内外装を替えるだけの化粧直しの改修ではない。パッシブハウスレベルの断熱改修なのである。一昨年前には、外気温が−16度が1週間続いても全世帯でほとんど暖房エネルギーを使うことが無いという改修事例も出てきている。

「脱原発」…ドイツと日本のエネルギー政策における差

義務付けられている、エネルギーパス性能表示義務付けられている、エネルギーパス性能表示

東京都知事選挙で、いま「脱原発」が争点になっている。
ドイツでも確かに1986年のチェルノブイリ原発事故がきっかけで原発推進、反対で選挙を何度も行った過去がある。結果として、ドイツでは全電力の25%以上あった「原子力」での電力がいまでは11%まで低減した。
さらに2022年には全電力の中から原子力由来を「ゼロ」に、2050年にはもっと壮大な目標が掲げられている。なんと2050年までに「全電力の中で、再生可能エネルギーを80%にする」。これが確実に達成できるだろうというイメージになってきているのだ。(脱化石燃料)

どうしてなのか?ドイツと日本は、同じく第2次世界大戦で敗戦し、自国で化石燃料が少なくエネルギーを輸入しないといけない国である。2つの国には、なぜこのような違いが出てきたのだろうか? 

地球の空が壊れそうになっている(気候変動)…いまエネルギーの中心になっている化石燃料は高価になる(人口増大、燃料枯渇)…そんな環境の中で、ドイツは90%近いエネルギーを海外から輸入しないといけない資源の少ない国だ。2050年頃にエネルギー価格が高騰するのは必至な中で 海外依存ではいけない、そのためには「エネルギーを使わない社会づくり」「エネルギーを自然の力を活用した再生可能エネルギーで!」という意識で、この2つの政策に大きく舵をきってきたのである。

持続可能な国づくり…将来不安なく生活できる社会づくり…
そして、未来の子供たちのために

僕は、2007年からこのことを年に数回ドイツに学びにいっている。
今まで、いろんな会社を設立しながら、「普及啓蒙」してきた。
そして、2011年3月11日よりいま現在は、啓蒙から「実践」の会社を立ち上げている。
すべては、人が暮らす土台となる家を通じて、先には、持続可能な国づくり…将来不安なく生活できる社会づくり…そして、未来の子供たちのために、ということを考えて行動をし続けるつもりだ。

これからも時々この場を借りて、そんな活動や考えを伝えさせていただければ…と思っている。

2014年 01月30日 09時51分