出生数は下がってきているが、待機児童数が減らない現状

保育所に入れない……いわゆる「待機児童」の問題は、先の東京都知事選挙でも各候補の政策のポイントとなった。

国が「待機児童」の数をはじめて発表したのが、1995年。その時の数字は2万8,481人であった。
この「待機児童」の数であるが、途中定義が変わってきており、2001年までは認可保育所(※施設の広さや設備、保育者の資格や人数などについて、国の基準を満たして認可された保育所)に入れなかった人数であり、2001年以降は自治体が独自に助成する認可外保育施設を利用しながら待機している児童らを除いてよいという人数となった。2001年の待機児童数は、旧定義での数は3万5,144人、新定義では2万1,201人となっている。ちなみに2016年3月28日に厚生労働省が発表した「平成27年4月の保育園等の待機児童数とその後~平成27年10月時点の状況について」によると2015年10月時点での待機児童数は4万5,315人と前年の同月期比較で2,131人増加した。

その一方で出生数は下がってきており、1984年に148万9,780人であった出生数は2001年には117万662人、2013年には103万1,000人である。

出生数が下がってきているにもかかわらず、待機児童数が増えているのは、ひとえに「保育所の利用希望児童数」が増えたことによる。顕著に変化が見えたのが、1991年のバブル崩壊以降である。保育所の利用児童数は、1992年161万8,657人だったのが2014年には226万6,813人となっている。背景にあるのは、共働き世帯の増加がある。バブル崩壊以降、年功序列型賃金制度や終身雇用が変化したり、非正規雇用の増加など、両親とも働かなければならないということもあるだろう。また、女性の活躍が後押しされ、子どもが生まれてからも仕事を続けることが普通になりつつあることもある。「待機児童問題」は、子育て世代の問題だけでなく、ようは、「仕事」と「子育て」の問題として日本の経済と将来に深く関わる。

子育て世代の住まい方、暮らし方、働き方、子供の教育をどう考えるのか?
国と個人だけでなく、各所で様々な独自の取り組みもあるようだ。HOME'S PRESSで過去取り上げた、シングルマザーのシェアハウスや地域やまちでのサポート、また地域に愛される保育所などをまとめて紹介したい。

4月と10月の数字に差があるのは、例年、4月以降も、年度途中に育児休業明け等による保育の申込みが行われるが、保育の受け皿拡大はその多くが4月に向けて行われ、年度途中には少ないため、申込みに対して入園できない数は10月の数値では増加する。</br>厚生労働省「平成27年4月1日の待機児童に関する年度途中(10月1日)時点での状況」より4月と10月の数字に差があるのは、例年、4月以降も、年度途中に育児休業明け等による保育の申込みが行われるが、保育の受け皿拡大はその多くが4月に向けて行われ、年度途中には少ないため、申込みに対して入園できない数は10月の数値では増加する。
厚生労働省「平成27年4月1日の待機児童に関する年度途中(10月1日)時点での状況」より

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