はじめに

2026年2月18日、LIFULL HOME’Sより「住みたい街ランキング2026」が公表された。同ランキングでは、「買って住みたい」「借りて住みたい」という2つのアプローチから、エリアの需要や人気を測る指標を示している。

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本記事では、これらのランキングを住宅購入層や賃貸層とは別の、不動産投資家の視点から検証したい。本ランキングは、不動産投資における立地選定の判断基準として、どこまで有効に活用ができるのだろうか。首都圏・近畿圏の最新ランキングの結果や特徴を踏まえながら、ランキングと投資判断の相関性について解説を加える。

まずはじめに、最新のランキングを整理してみよう。なお、街のランキングの詳細についてはLIFULL HOME’S「住みたい街ランキング2026」で詳しく解説しているため、ここでは全体の傾向を俯瞰する。

「首都圏」住みたい街ランキング2026の概要

首都圏「買って住みたい街」ランキング

購入希望者の志向の二極化が進んでいる。1位「湯河原」、2位「八王子」、3位「八街」と郊外エリアが上位3位を独占した他、6位「大宮」、7位「川越」、8位「本厚木」など、ほどよい利便性のある郊外エリアが多くランクインした。都市部の住宅価格の高騰が続く中、比較的割安感があることに加え、コロナ禍での在宅ワークの広がりもこの傾向を後押ししており、上位10のうち6つを郊外の街が占めた。

一方で「田町」「品川」といった湾岸エリアやターミナル駅の周辺など、都心部で開発が進むエリアも引き続き支持を集めている。

「首都圏」住みたい街ランキング2026の概要

首都圏「借りて住みたい街」ランキング

「借りて住みたい街」は、都心からやや外側の近接エリアの街が増えている。郊外型は「八王子」など3つに留まる一方、2年連続1位の「葛西」のほか、「高円寺」「荻窪」「北千住」「三軒茶屋」など、都心へのアクセスが良い街の割合が高い。

その要因には、都心部では、分譲用物件の供給と比較して賃貸物件の供給が少ないこともあるが、賃料が高騰している都心部から比較的手ごろな家賃で入居できるエリアに需要が流れていることも大きな要因だろう。

「首都圏」住みたい街ランキング2026の概要

「近畿圏」住みたい街ランキング2026の概要

近畿圏「買って住みたい街」ランキング

近畿圏においても首都圏と同様、二極化の傾向が固まってきている。1位「谷町六丁目」や3位「京橋」、4位「大阪」といった都心エリアの人気が高い一方、前年まで3年連続1位だった「姫路」や、「あびこ」などの価格が比較的手ごろなエリアも上位に入っている。

「近畿圏」住みたい街ランキング2026の概要

近畿圏「借りて住みたい街」ランキング

「江坂」「出町柳」「新大阪」「北大路」「三ノ宮」「今出川」などは安定して上位にランクインしている。一方、「草津」「南草津」といった家賃が手ごろな郊外の街も上位に顔を出してきている。

「近畿圏」住みたい街ランキング2026の概要

不動産投資の視点で見る「借りて」「買って」住みたい街ランキングの違い

不動産投資の視点でランキングをみると、より親和性が高いのは「借りて住みたい街ランキング」だろう。

本ランキングは、2025年にLIFULL HOME'Sに掲載された物件への問合せ数を基に算出されている。もちろん、人気が高い街が問合せも多いのは事実だが、特に「買って住みたい街」のランキングは、供給物件数の影響を強く受ける。タワーマンションなど大型分譲が多く行われると問合せも増加しやすい。反対に、現在は上位にランクインしている街も、供給が一段落すると、ランクが急落するケースもある。

一方で、「借りて住みたい街」は、入居希望者の希望が反映されやすい。つまり、問合せ数の多い街は、実際に入居希望者が通勤・通学の利便性、生活環境、家賃水準などを検討しながら「借りて住む」ことを前提にしているエリアにあるということになる。
本来、不動産投資は、収益物件を取得し、賃貸することによりインカムゲインを得ることが大きな目的の1つである。このことからも、「いま、そこに住むのが最も便利」であるエリアは高い入居率に結びつくため、不動産投資の立地選択の基準と一致する。

「借りて住みたい街」の上位は、強い入居需要の要因(大学や勤務先への通学・通勤の利便性、生活環境など)があり、継続的に維持されている街が多い。
実際に、「借りて住みたい街」は「買って住みたい街」よりも上位の顔ぶれが安定している。首都圏では、「葛西」「八王子」「大宮」「本厚木」「川崎」「三鷹」「北千住」の7つの街が、近畿圏では、「江坂」「出町柳」「新大阪」「北大路」「三ノ宮」「東三国」「今出川」「上新庄」の8つもの街が3年連続でトップ10にランクインしている。

一方で「買って住みたい街ランキング」で3年連続トップ10にランクインしているのは、首都圏の場合、「八王子」「八街」「大宮」「本厚木」の4つの街のみ、近畿圏においては「姫路」のみである。例えば、首都圏で6年連続1位を誇っていた「勝どき」が今回のランキングではいきなり34位まで急落していることで明らかなように、大規模なタワーマンションの分譲が一段落し、供給が減少するとランク(問合せ数)も一気に下降する現象が起きやすい。

借りて住みたい人たちは、「いま」最も住みたいエリアで物件探しをする。例えば、大きな工場や大学などがあり「いま」は高い入居ニーズがあっても、将来撤退や移転をしてしまうと、入居需要が一気に減少する可能性がある。よって投資の視点では、現在の入居ニーズを満たしている要因が、今後も長期にわたり継続し維持できるかが立地選択の重要なポイントになる。

利回り・キャピタルゲインで見る視点


都心部は安定した入居需要が見込める一方で、取得価格が高いため利回りは低下しやすい。そのため、一般的には都心部よりも準郊外、郊外の街のほうが利回りは高くなる傾向にある。

また、キャピタルゲインに主眼をおく投資家も存在する。再開発エリアは短期的な値上がり期待が織り込まれやすい。ただし、すでに価格が上昇している場合、将来の価格上昇余地は限定的となり、下落の可能性もある。重要なのは、再開発の規模、完成時期、供給戸数など具体的データを確認し、需給バランスを冷静に分析することである。「買って住みたい街」で上位にランキングされている街や急上昇エリアは、その要因を比較的容易に調べることができるため必ず確認しておきたい。

【首都圏】再開発で人気上昇が期待される街5選+番外編。未来の「住みたい街ランキング」上位候補を占う
【近畿圏】再開発で人気上昇が期待される街4選。未来の「住みたい街ランキング」上位候補を占う

「八王子」「大宮」「本厚木」など両ランキングで上位の街は注目

ランキングを見ると「買いたい」「借りたい」の両方で上位にランクインしている街がある。
首都圏では、「八王子(買って住みたい=2位・借りて住みたい=2位)」、「大宮(買って住みたい=6位・借りて住みたい=3位)」「本厚木(買って住みたい=8位・借りて住みたい=4位)」などである。

人は気に入った環境、住み慣れた環境に住み続けたいという心理が働くことが多い。そのため、「借りて住みたい」人がその街を気に入れば、その後「買って住みたい」につながる可能性は高くなる。したがって、「借りて住みたい」「買って住みたい」両方が上位にランキングされているエリアは、投資家にとっても長期的な安定経営の示唆となる。

【LIFULL HOME'S】八王子駅周辺の投資用不動産を探す
【LIFULL HOME'S】大宮周辺の投資用不動産を探す
【LIFULL HOME'S】本厚木駅周辺の投資用不動産を探す

ランキングと投資判断の相関性

ランキングはあくまで人気指標である。したがって、不動産投資の判断の際には、以下のポイントについても確認をしたい。
・人口動態
・世帯数の増減・世帯構成
・エリアの入居ターゲット
・新築住宅の供給戸数と価格水準
・中古住宅の価格水準
・想定利回り

利回り面でとらえると、人気が高い街は、すなわち物件価格も高い街という構図も珍しくない。しかし、買いたいエリアとして人気があっても、賃貸ニーズは高くないために家賃も安い、というケースも少なくなく、この場合、投資利回りは低下する。不動産投資においては、「人気があるか」だけではなく、期待する想定利回りの水準に達しているかどうかという視点も不可欠である。

また、ランキングの急上昇エリアは注目度が高まる一方で、特に都市部を中心に海外からの投資マネーが流入しやすく価格上昇が先行する場合もある。流行だけを追うのではなく、人気の背景にある構造的要因や、実需があるかどうかについて精査することが重要である。

まとめ ランキングは「入口情報」

「住みたい街ランキング」は。エリアの需要動向を俯瞰するうえで有効な情報の1つである。
しかし、それ自体が投資判断の決定打になるわけではない。

ランキングはあくまで「入口情報」であり、その先にある価格水準・需給バランス・将来人口・賃貸市場の動向などを総合的に分析することで、はじめて投資戦略に活用できる。

ランキングの変化を「市場心理のシグナル」として捉え、冷静なデータ分析と組み合わせることが、不動産投資戦略において重要になるだろう。

ホームズ君

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