2024年の日本金融政策と住宅ローンの新たな視点

住宅ローン基準金利は2024年7月31日に行われた、日本銀行の金融政策決定会合によって引き上げられた住宅ローン基準金利は2024年7月31日に行われた、日本銀行の金融政策決定会合によって引き上げられた

2024年、日本の金融政策は「引き締めの年」とも言える重要な転換期を迎えた。日本銀行はマイナス金利政策の解除と長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)の終了を発表し、これにより長期金利は1.0%前後に上昇した。さらに、短期金利も0.25%に引き上げられ、住宅ローン金利への影響が注目されている。

しかし、金利上昇だけが住宅購入における判断基準ではない。現在、多くの金融機関が独自のサービスを展開しており、金利以外の視点で住宅ローンを選ぶメリットが注目されている。

その一例として、住信SBIネット銀行で返済期間を最長50年とするサービスが導入された。返済期間が最長50年になることで、月々の負担を抑えられるだけでなく、若年層が無理なくマイホームを購入できる環境を提供しているのが特徴的だ。

住宅ローン金利の上昇が進む中、金利だけでなく、これらの付加価値にも目を向けることが賢明な選択につながるといえる。次の章では、特徴的な住宅ローンサービスについて詳しく解説し、金利以外の観点からも選択肢を広げる方法を紹介していきたい。

住宅ローンの多様化~高額融資と手数料の新しい選択肢~

金融機関間ごとにサービスを展開金融機関間ごとにサービスを展開

・借入金額の上限上げ
住宅価格が高騰する中、借入金額の上限を引き上げる動きが増えている。例えば、東京きらぼしフィナンシャルグループ(FG)のUI銀行は、団体信用生命保険を組み合わせることで、借入可能額を最大4億円まで引き上げた。
通常、多くの銀行は1億円程度が上限だが、このような高額融資の選択肢が増えることで、富裕層や高額物件の購入を検討する方にも適した商品が増えている。

・手数料の固定化
借入金額に比例して事務手数料が増加するのが一般的な中、楽天銀行は手数料を定額の33万円(税込)に固定している。
例えば、5,000万円を借りる場合、通常の定率型手数料では約110万円(2.2%の場合)かかることになるが、定額型を選ぶことで大きな節約になる。特に高額融資を検討している方には見逃せないポイントだろう。

スピードと期間で差別化~迅速審査と返済期間の長期化~

特典内容そのものでなく、手続きや返済方法の点でも差別化が図られている特典内容そのものでなく、手続きや返済方法の点でも差別化が図られている

・審査時間の短縮
住宅ローンの審査に時間がかかると、購入したい物件を他の買主に取られるリスクがある。この点において、クレディセゾンは審査プロセスの迅速化を図り、事前審査を最短15分、本審査を最短1営業日で完了させるサービスを提供している。通常、事前審査には3営業日、本審査には1~2週間を要するため、従来と比較して大幅なスピードアップとなっている。

このサービス実施の背景には、固定金利型住宅ローンの需要が鈍化している現状がある。住宅金融支援機構によると、2024年4~6月期の「フラット35」の取扱額は前年同期比で3割減少している。金利の変動幅が小さい変動金利型のローンへ顧客が流れる中、セゾンはフラット35の利便性を強化することで顧客基盤の拡大を目指している。

また、セゾンは住宅ローンの手続きをオンラインで完結できるようにするため、自社システム「SAFLAT(サフラット)」を導入した。このシステムにより、顧客データを一元管理し、窓口業務を担う代理店と審査を担当する本社間の業務効率化を実現。与信方法そのものを変更せずに審査時間を短縮することで、リスクを抑えつつスピーディーな対応が可能となった。

このような迅速化は、購入希望者が早期に審査結果を得られるだけでなく、金融機関にとっても他行との差別化要因となる。

・返済期間の長期化
価格高騰への対応策として、住信SBIネット銀行では最長50年の住宅ローンを提供している。これにより、月々の返済負担が大幅に軽減され、特に若い世代にとって住宅購入へのハードルが下がる仕組みとなっている。例えば、4,000万円を30年で返済する場合の月額返済額と、50年返済の場合を比較すると、月々の負担が約40%も減少する。このような商品設計は、将来的な収入増加を見越して長期返済を選ぶ人々にとって大きなメリットをもたらすだろう。

ただし、完済年齢は80歳未満とされているため、利用できるのは最長返済期間を考慮して29歳以下の人に限られる。例えば、32歳であれば最長47年返済、40歳なら最長40年返済が可能だ。

住宅ローンの長期化は月々の支払額を抑えるというメリットがある一方で、金利による総返済額の増加や年齢制限といったデメリットも存在する。それらを考慮しながら、自身のライフプランや将来的な収入を見据えて選択することが重要である。

多様な特典~家電や野球、マイルまで~

試合観戦時の特典など、さまざまな特典が展開されている住宅ローン試合観戦時の特典など、さまざまな特典が展開されている住宅ローン

金融機関は特典を用意することで、消費者に魅力的な選択肢を提供している。以下の事例はその一例である。

・ヤマダNEOBANK住宅ローン
ヤマダファイナンスサービスを通じて提供される住宅ローンは、家電や家具の購入費用を含めることが可能。新居で必要な生活インフラをまとめて整えることができ、さらにヤマダデジタル会員特典として、ポイント還元や割引も受けられる。

・F NEO BANK
北海道日本ハムファイターズのファン向け商品では、成績に連動したキャッシュバックや試合観戦時の特典が付与される。スポーツファンにとって、楽しみながら利用できるユニークな特典が魅力だろう。

・ANAマイル付き住宅ローン
ソニー銀行が提供するこの商品は、住宅ローンの利用でANAマイルを貯めることが可能。借入金額に応じて付与されるマイルは旅行好きの方にとって大きなメリットといえるだろう。例えば、3,500万円を借り入れると17,500マイルが獲得可能で、フライトや買い物に活用できる。

金利上昇時代の住宅ローン選び、金利以外のサービスに注目しよう

住宅ローン金利が上昇している今、金利だけにとらわれず、サービス内容に注目することが重要だ。借入金額の上限上げや手数料の固定化、迅速な審査、返済期間の延長、さらには特典の充実など、各金融機関は消費者の多様なニーズに応えるための努力をしている。

これらのサービスをうまく活用することで、住宅購入後の負担を軽減し、満足度の高い住まい選びが可能になるだろう。ぜひ金利だけでなく、各金融機関が提供する特徴あるサービスを比較検討し、自分に合った住宅ローンを見つけていただきたい。

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