より空いている電車で通勤・通学したい
「通勤地獄」。もしかしたら平成生まれ以降の世代にはピンとこない言葉かもしれない。
昭和の大都市圏の通勤電車は、まさに地獄のようだった。発車時間になってもドアから常に3~4人があふれ、駅員さんに思いっきり押してもらってやっと乗車。車内では小柄な人ならば人と人の間に挟まれて、足が浮いてしまうような状態だった。乗客を詰め込みすぎて窓ガラスが割れたというニュースも頻繁に耳に入ったものだ。
しかし、現在は「時差出勤の導入」「在宅勤務の導入」「フレックスタイム制の導入」「車両を長くする」といった対策によって鉄道の混雑率はかなり緩和された。とはいえ、より空いている電車で通勤・通学したいという人がほとんどだろう。そこで国土交通省が公表した三大都市圏(東京圏、大阪圏、名古屋圏)の混雑率を確認したい。
コロナ禍によって混雑率が激減
まず、混雑率の定義から説明しよう。混雑率とは、ピーク時1時間の平均混雑度の割合だ。測定方法は各鉄道会社によって異なり、自動改札機や車両の重量センサーを利用する、目視するといったやり方がある。混雑率の目安は以下のようになっている。
100%:定員乗車(座席に着くか、吊革につかまるか、ドア付近の柱につかまることができる)
150%:新聞を広げて楽に読める
180%:折りたたむなど無理をすれば新聞を読める
200%:体が触れ合い相当圧迫感があるが、週刊誌程度なら何とか読める
250%:電車が揺れるたびに体が斜めになって身動きできず、手も動かせない
現在も区間によっては200%程度になることもあるが、過去には300%を超えることも珍しくなかった。しかしながら、前述のように「時差出勤の導入」「在宅勤務の導入」「フレックスタイム制の導入」「車両を長くする」といった対策で、混雑率は年々減少している。「都市鉄道の混雑率調査結果」(国土交通省)で東京圏(31区間)の平均混雑率を確認すると、1975年度では221%だったが1989年度には202%となり、2013年度には165%にまで減少。以降7年間横ばいだったが、2020年度からは110%を下回るまで激減した。これはコロナ禍によって時差出勤や在宅勤務が普及したことなどが影響しているようだ。
4割以上混雑が緩和した区間も
では、線区別にコロナ禍前(2019年度)からコロナ禍中(2021年度)で混雑率がどれくらい減少しているのか確認してみよう。各都市圏で、混雑率が減少した主要区間を紹介する。
東京圏
東京圏の調査対象31区間のうち、最も減少率が大きかったのはJR東海道線の川崎駅→品川駅で、2019年度の混雑率193%から、実に46.1%減の104%(2021年度)となっている。
次いで、JR横須賀線の武蔵小杉駅→西大井駅が43.6%減、東京メトロ銀座線の赤坂見附駅→溜池山王駅が42.5%減と続く。2019年度に最も混雑率が高かった東京メトロ東西線の木場駅→門前仲町駅は、199%から128%へと35.7%減となった。
2019年度には混雑率200%(相当圧迫感がある)に迫る状態だったが、100%近い(定員乗車)状態まで減少している区間もある。これだけの差があれば、明らかに「快適に乗れるようになった」と思えるだろう。
大阪圏・名古屋圏
大阪圏では調査対象20区間のうち、大阪メトロ四つ橋線の難波駅→四ツ橋駅が、113%(2019年度)から82%(2021年度)と27.4%の減少となり、阪神本線の出屋敷駅→尼崎駅(25.2%減)、阪急宝塚本線の三国駅→十三駅(24.0%減)が続く。
名古屋圏の調査対象8区間のなかでは、近鉄名古屋線の米野駅→名古屋駅が、137%(2019年度)から108%(2021年度)へと21.2%減少し、減少率が最も大きかった。
そのほか、混雑率の減少が大きかった区間を下表にまとめた。これらの路線を利用した都心部への通勤・通学は、かなりしやすくなったといえるだろう。
都市部でも座って通勤・通学できそうな区間はある
しかしながら、上記の線区では、まだまだ定員乗車を上回る区間も多い。できれば座って通勤・通学したいと考える人がほとんどだろう。そこで「都市部の路線における最混雑区間の混雑率(2021)」(国土交通省)のなかから、ピーク時間帯でも混雑率が70%以下(2021年度)の区間をピックアップしてみた。
東京圏
JR東日本中央線(緩行) 代々木駅→千駄ヶ谷駅 61%
小田急多摩線 五月台駅→新百合ヶ丘駅 63%
東京メトロ東西線 高田馬場駅→早稲田駅 66%
JR東日本根岸線 新杉田駅→磯子駅 68%
JR東日本青梅線 西立川駅→立川駅 70%
※1都3県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)のJR、地下鉄、大手民鉄を対象とした
大阪圏
大阪メトロ千日前線 日本橋駅→谷町九丁目駅 58%
大阪メトロ長堀鶴見緑地線 谷町六丁目駅→玉造駅 62%
阪神なんば線 千鳥橋駅→西九条駅 68%
大阪メトロ四つ橋線 西梅田駅→肥後橋駅 70%
※2府1県(大阪府、兵庫県、京都府)のJR、地下鉄、大手民鉄を対象とした
名古屋圏
名古屋圏(愛知県)のJR、地下鉄、大手私鉄では、最混雑区間におけるピーク時の混雑率が70%以下となる区間がなかったが、東海交通事業城北線の比良駅→小田井駅が29%、愛知環状鉄道線の新上挙母駅→三河豊田駅が40%、名古屋臨海高速鉄道西名古屋港線(あおなみ線)ささしまライブ駅→名古屋駅が57%などとなっている。
これらの区間を利用する沿線に住んでいれば、通勤・通学の際に座って行ける可能性が高いかもしれない。また、混雑率70%に届かないが100%を切る区間は、ほかにも複数ある。家探しの条件に「混んでいない路線を利用したい」がある人は、「都市部の路線における最混雑区間の混雑率(2021)」を参考にしてみてはいかがだろうか。





