コロナ禍で需要が高まっている網戸
室内に外気を取り込む際、虫の侵入を防いでくれる網戸。今回、愛知県名古屋市で網戸やサッシ、ガラス、錠などの販売、取り付けを行っている株式会社エスピーシーに取材にご協力いただいた。網戸の種類や選び方、張り替えを含むお手入れ方法までご紹介したい。
網戸は、日本の主な住宅には窓とセットで取り付けられているのかと思いきや、実はそうでもない。エスピーシーの杉本直人さんによると、「建て売り住宅の場合、網戸はオプション扱いになっていることが多いのです。コスト削減もあるのかもしれませんが、建て売りで購入されたお客さまから自宅の網戸を一式そろえたいという問合わせがけっこうあります」とのこと。
マンションの場合も、コストの関係や、高層階では虫の侵入の可能性が少ないこと、窓の外側に設置する網戸は風や取り外しの際などに落下すると危険性が高いことなどが理由で備え付けられていないことがある。
そんななか、最近では、コロナ禍において真夏で常時エアコンを使用しているときでも随時、窓を開けての換気が推奨されており、病院や学校などの公共施設を含めて、網戸の需要がかなり高まっているそうだ。
網戸の形状は、窓に合わせたものを
網戸の形状で多く見られるのが、引き違い網戸。引き違い窓用の網戸と同様、横にスライドするタイプだ。一戸建てやマンションのどちらにも設置され、例えば公団住宅によくあるガラス窓の枠に出っ張りがあるもの用など、形状が異なる種類がそろえられている。
主に装飾窓に適しているのが、チェーンコードで操作する巻き取り式のロール網戸や扉のように開け閉めできる開き網戸だ。
玄関や勝手口ドアには、使わないときには折りたたんで収納できるプリーツ形状のアコーディオン網戸や2つに折れ開閉する折り戸式網戸などが用いられる。
そのほか、ガラスルーバー窓用、上げ下げ窓用と、窓の形状に合わせた網戸がある。
虫対策からペット、花粉、景観と、さまざまな機能を持つ網
網戸の網(ネット)も、目の細かさや機能性など、種類が豊富だ。一般的な網はサランネットといわれるポリプロピレンでできている。
「目の細かさでは、昔から使われているのは18メッシュというもので、1インチ(2.54cm)当たりのマス目が18個あります。20メッシュ、24メッシュ、30メッシュと、数が大きくなるほど目が細かくなります」と杉本さん。
目が細かければ、虫の侵入も防ぎやすくなる。ただ、細かくなるほど、風抜けが悪くなるというデメリットも。「ざっくり言いますと、なにもない状況を100とすると、18メッシュの網戸を付けるだけで6割ほどまで風抜けの効果が落ちてしまうんです。24メッシュとなると半分以下になって、体感ではほとんど風が感じられないくらいになってしまいます」
そんななか、33メッシュながら1本1本の繊維の細さで、18メッシュと変わらない通気性を実現した商品もあるそうで、選択肢の幅は広まっている。
また花粉対策として、200メッシュの網がある。目が開いているのかも分からないくらいの細かさで、かなり柔らかい布のような手触りだ。これだけでは網戸に張ることはできないため、18メッシュのネットとの2枚張りになるが、ほとんどの花粉を通さなくなるそうだ。
そしてペットがいる住宅にぴったりの網も。ポリエステルやグラスファイバー繊維のネットの表面にコーティングを施し、強度を高め、ペットが引っ掻いても簡単には破れない。ただ、破れにくいという丈夫さの代わりに、猫などが網を登れてしまうのが難点だとか。その点は飼い主が注意するしかないだろう。
ほかに光触媒コーティングによって雨や水洗いで汚れが落ちやすいものや、ステンレス製の頑丈なものなどもある。
種類が豊富な網戸、どうやって選べばいい?
形状も網も豊富にそろっている網戸。形状は窓に合わせたもので限定されてしまうことがあるが、網は設置場所や土地の環境などに合わせて選べば、より快適な生活空間を実現できる。
「例えばペットを飼っているご家庭で、一般的な網だと爪とぎをされるなどして1年に1回くらい網を張り替えしなければならないかもしれませんが、ペットディフェンスの網であれば5年、10年と持つ可能性があります。各メーカーがいろいろ工夫して網を作っていらっしゃるので、自分の希望に合うものがあるかどうか調べてもらうと、きっといいものが見つかると思います」と杉本さん。
網の種類を知ることが、最適な選択ができる一歩になるというわけだ。
また、カラーは昔ながらのグレーに加え、黒と白があり、好みやサッシの色、外観の見映えなどに合わせて選べるようになっているが、注意点も。
「最近、黒色の網が主流になっているのですが、1枚ガラスの窓が多くなってきまして、景観をよくするため、網の存在を目立たせないようにするという理由があります。ただ、中から外が見えやすいということは、外からも中が見えやすいということ。そこで“銀黒”という、黒とシルバーのリバーシブルの網が登場しました。室内側が黒で、外がすっきりと見えます。外側のシルバーは光の反射によって見えにくくなるという効果で、室内のプライバシーを守ることができます」
網の張り替えタイミングは5年が目途
ほかの建材と同じように、網戸にも経年劣化は起きてしまう。
杉本さんは「網に使っている材質上、日射に弱いといいますか、どうしても5年くらいしてきますと、糸が1本くらいは切れたりするところが出てきます。そうすると、網自体の弾力がなくなってくるので、ちょっと手で押したりするとそこから裂けてしまったり、極端に弱くなっていくのが分かると思います。網の張り替えは、5年くらいが年数としては目安です」と言う。
最近は網の張り替えをDIYでする人も増えている。張り替えに必要な替えの網や網張り用のローラー、網押さえ用のゴムは、ホームセンターなどで手軽に購入できることも大きい。「枠の形によって張りやすい、張りにくいというのは僕らでもあるのですが、一般的なものであれば、ネットや動画サイトで詳しく紹介されていますから、参考にしていただければ」と杉本さんも語る。簡単に説明すると、枠の溝からゴムを外してから網を取り除き、新しい網を枠に当て、ローラーでゴムを溝に押し込んで固定していくという過程だ。
ただし、注意も必要。ゴムも網戸によってサイズがあるので、事前に確認してから購入しなければならない。また、DIYでも大丈夫だが、網がピンと張られた美しい仕上がりを望む場合は、専門の会社に依頼するのがおすすめとのこと。替えの網自体もホームセンターで手に入る市販品よりも、エスピーシーのような専門向け商品のほうが、耐久性などに優れていることが多く、費用対効果もいいそうだ。
網戸を長持ちさせたい……お手入れで大切なのは網だけじゃない!
日々のお手入れについても「業務の専門外ですが……」とひと言添えつつ、教えてくださった。
「網の材質として強いものではないので、強い洗剤を使うのはよくないです。中性洗剤を薄めて使うのがいいと思います。そして、あまりゴシゴシと強い力を入れてしまうと、ほつれの原因にも。網押さえのゴムが劣化して収縮してくると網を押さえる力が弱まっていくということもあります。柔らかいスポンジなどでやさしく掃除してもらうのが、網そのものは傷みにくいのではないでしょうか。また、表面の汚れは水洗いである程度落ちると思いますが、目の間に詰まったほこりは、掃除機を軽く当てて吸い取るのがいいですね」
というのが網の掃除になるのだが、杉本さんが業務を通して最も大切だと感じているお手入れポイントは別にあった!
「網戸のお手入れというと、網の部分に着目されることが多いのではと思いますが、肝となるのはレール部分。そこのお掃除をこまめにちゃんとやられているかで、網戸そのものの耐用年数が変わってきます。
弊社にお問合わせがくるとき、網戸の動きが悪いというところからスタートするのが多いのですが、まだ動くからということで無理やり網戸をガタガタと動かしていると、網戸の枠そのものが傷んでしまうんです。そうすると、部品交換だけでは済まず、全体を新調しなければならなくなります。
レールのお掃除は、年末など年に1~2回ではないでしょうか。大変に感じるとは思いますが、ほこりや髪の毛などの汚れがたまったままだと、網戸が動くたびにそれらを巻き込み、どんどん動きが悪くなります。
網の汚れが水で落ちるものであれば水を流して済ませることもあると思いますが、レールにたまってしまったゴミまでは排除できずに、どんどんゴテゴテに固まってたまってしまいます。僕らの経験からすると、レールのお掃除をしてもらうのが、網戸を長持ちさせる秘訣です」
窓は、一般住宅用とマンション・ビル用の2つに分かれる。一般住宅の窓もさまざまな形があるが、マンション・ビル用は同じように見えても種類がかなり異なるらしい。それに付随する網戸も種類が豊富になるのは必然で、15年ほど仕事に携わっている杉本さんでも初めて出合う形がまだあるというほどだ。網戸の新調をするとなると、サイズをきちんと図る必要もあるし、サッシ交換となれば網の張り替えよりもおおごとに。
せっかく暮らしを快適にしてくれる網戸を選んだのであれば、そのメリットを生かせるように適切なお手入れもしながら、大切にしていきたいものだ。
取材協力:株式会社エスピーシー
網戸コンビニ https://www.spc-amido.jp/
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