自宅での花粉症の症状、対策についての調査

花粉症に悩まされている人は多い。外出先はもちろん、自宅でのくつろぎの時間を過ごす中で症状が続くと苦しいものだ。特に、コロナ禍においては、在宅勤務も一般化し、自宅で過ごす時間が増えた人も多くみられる。

株式会社一条工務店では、花粉症と診断されている、または花粉症だと自覚している人を対象に、自宅における花粉症の症状やその対策について調査した。興味深いデータをご紹介しよう。

9割以上が自宅で症状がでる。多いのは、窓を開けた時、起床時など

調査によると、「自宅でどんな花粉症の症状が出るか」という問いに対して、およそ8割が「鼻水(81.7%)」、「くしゃみ(79.6%)」、「目のかゆみ(77.7%)」の症状が出ると答えている。「症状は出ない」と答えたのは2.4%で、9割以上の人が自宅で花粉症の症状が出ていることがわかる。

また、自宅で花粉症の症状が出るのはどんな時かというと、最も多かったのは「窓を開けた後 (54.4%) 」。次いで、「起床時(48.4%)」「洗濯物を取り込む時(48.1%)」「掃除をしている時(43.2%)」と4割以上、「就寝時」「帰宅した直後」も約3割の人が症状がでると答えている。

(上)[自宅で出る花粉症の症状]  n=2597
(下)[自宅で花粉症の症状が出るとき]  n=2597
(上)[自宅で出る花粉症の症状]  n=2597 (下)[自宅で花粉症の症状が出るとき]  n=2597

症状が出ると仕事等のモチベーションは低下

花粉症の症状が出ると集中力も無くなり、何もしたくない、と感じてしまうことも多いものだ。調査では、「起床時」に症状がでると答えた人に、「起床時に症状がでると、当日の仕事等のモチベーションは何%低下するか」と質問。93.7%の人が10%以上モチベーションが下がると答えている。「50%低下」と答えた人が最も多く、「100%低下」と答えた人も5.1%いる。

また、「就寝時」と答えた人には、「就寝時に症状がでると、翌日の仕事等のモチベーションは何%低下するか」と聞いたところ、88.9%の人が10%以上モチベーションが下がると回答。起床時と同様、「50%低下」と答えた人が最も多く、5.6%の人は「100%低下」と回答した。

この数値は、仕事へのモチベーションだけでなく、家事などへのモチベーションも同様ではないだろうか。花粉症の症状の有無は、日々の暮らしに大きく影響することがわかる。

(上)[起床時に花粉症の症状が出たときのモチベーション低下率] n=1256
(下)[就寝時に花粉症の症状が出たときのモチベーション低下率] n=791
(上)[起床時に花粉症の症状が出たときのモチベーション低下率] n=1256 (下)[就寝時に花粉症の症状が出たときのモチベーション低下率] n=791

自宅にいる時間が長くなっても自宅の花粉症対策は強化せず

在宅ワークが増えれば、自宅にいる時間も長くなる。「新型コロナウイルス感染拡大の影響により、在宅時間が増えたことで自宅での花粉症対策を強化したか」という問いに対して、約7割が強化していないと回答。自宅で症状が出ており、ライフスタイルが変化しても、自宅の対策まで意識が及ばないのかもしれない。

では、「花粉の侵入を防ぐ家が実現できるなら、いくらまで支払っても良いと思うか」という質問には、「1万円以上5万円未満」が31.5 %と最多となっており、4割以上の人が5万円以上と回答している。10万円以上との回答も2割を超え、20万円以上と考えている人も約1割いるという結果だ。

花粉症治療の第一人者である日本医科大学大学院 医学研究科頭頸部・感覚器科学教授 同付属病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科部長の大久保公裕さんは、「家での花粉症ケアに関しては家の中での症状の緩和がリモートでのお仕事、家事などの時には重要になります。花粉を室内に入れないためには、換気の際に網戸やレースのカーテンを閉めておくだけでも一定の効果がありますが、家の中に持ち込まないようなしっかりとした除去も求められます」と話す。

(上)[新型コロナウイルス感染拡大の影響による在宅時間増加で花粉症対策を強化したか]n=2597
(下)[花粉の侵入を防ぐ家が実現できるなら支払っても良い金額] n=2597
(上)[新型コロナウイルス感染拡大の影響による在宅時間増加で花粉症対策を強化したか]n=2597 (下)[花粉の侵入を防ぐ家が実現できるなら支払っても良い金額] n=2597

花粉を「持ち込まない」が基本

自宅にいる時も症状に悩まされる花粉症。在宅時間が増える中、家の中での花粉症対策も重要になってきているようだ。調査では、なかなか対策を強化することができない、という結果がでているが、どのような対策が考えられるのだろうか。

基本は「家の中に入れないこと」。たとえば、換気をする際には、網戸やカーテンは閉めておく。洗濯物は、屋外ではなく室内干しとしたり、乾燥機を用いる。最近では、花粉の季節だけでなく、日常的に室内干しとするご家庭もみられ、あらかじめ室内干しスペースを確保したプランも注目されている。

帰宅時は、玄関に入る前、家の中に入る花粉を抑えるため衣類や髪に付着した花粉を払い落とすことが大切だ。玄関につながるウォークインタイプの収納スペースを設ければ、コートなどをすぐにしまうことができ、花粉をリビングなどに持ち込むのを抑えることができるだろう。

コロナ禍、在宅時間が長くなる中、さまざまなストレスを感じている人も多いのではないだろうか。花粉症に関してもストレスを感じるひとつかもしれない。従来とは異なるライフスタイルの中、花粉症への意識、仕事へのモチベーションの関係など、気になる調査報告をみていく。(上)タイル目地部分の8つの吹き出し口から、強力噴射のエアシャワーで花粉を取り除く。(下)「花粉ジェット」を使った実験。特殊なカメラで撮影して確認すると、強力噴射によって、衣類に付着した花粉大の粒子が取り除かれていることが分かる。[花粉ジェット] 価格:110,000円(税込) ※建築地・建物タイプ、間取りプランにより、設置対応できない場合もある。

また、一条工務店では、屋内に花粉を持ち込まない「花粉ジェット」の提案もしている。玄関の外壁タイルの目地部分にある吹き出し口からの強力な風(エアシャワー)で、家に入る前に、衣類に付いた花粉を97%除去(フリース、パーカー、ウインドブレーカー、スーツ、トレンチコートの平均除去率)するというもの。前出の大久保教授は、「花粉ジェットのような清潔な空気での花粉除去は安全で、花粉症対策としてはとても有用です。花粉は(鼻や目に)入れない、(くしゃみなど)出さない、(家に)持ち込まない。この防御の基本を心がけて生活しましょう」とアドバイスする。

花粉症の症状は人によってそれぞれだが、家づくりやリフォームの際には、ライフスタイルに適した、住まいでできる基本的な対策を施し、少しでも快適な時間を過ごすことができるように工夫をしたい。


協力  株式会社一条工務店

【調査概要】 調査手法:オンラインアンケート / 調査期間:2021年2月13日(土)~2月22日(月) / 調査対象:花粉症と診断されているまたは花粉症だと自覚している10代以上の男女 / 有効回答数:2,597サンプル / 回答者:男性878名、女性1,719名(10代15名、20代509名、30代1,297名、40代477名、50代230名、60代61名、70代以上8名)※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても100にならない場合がある。

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