競売開始通知がきた後の流れと任意売却が可能な期限

競売開始通知がきた後の流れを整理しよう(画像はイメージ)競売開始通知がきた後の流れを整理しよう(画像はイメージ)

競売開始決定の通知は、債権者が競売の申立を行うとすぐに届くものである。競売開始決定通知がきたということは、債権者が競売の申立をしたことを意味することから、住宅ローンを滞納しはじめてから既に半年近く時間が過ぎていることが一般的である。

競売開始通知がきたからといってすぐに競売が実行されるものではない。まず、競売開始決定の通知がくると、1ヶ月後くらいに「不動産の現状調査について」の通知が届く。不動産の現状調査とは、裁判所から派遣された執行官と鑑定人による競売予定物件の調査のことを指す。

執行官は主に権利関係の調査を行い、鑑定人は価格の調査を行う。執行官や鑑定人の調査結果は最終的にはインターネットに公表され、競売の入札参加者の重要な判断材料となる。

「不動産の現状調査について」の通知が届いた後は、1ヶ月ほどすると「配当要求終期の公告」と呼ばれる手続きが行われる。配当要求終期の公告は、対象物件が競売されることを他の債権者へ知らせるために行う裁判所の手続きを指す。公告といっても、実際には家庭裁判所に資料が置かれ、誰でも閲覧できる状態になっているだけである。

配当要求終期の公告では、誰でも競売予定物件を見ることができるため、任意売却の会社も裁判所で情報収集していることが多い。そこで配当要求終期の公告が始まると、債務者(住宅ローン滞納者)の自宅に任意売却の会社が訪問営業に訪れることもある。中には着手金を要求するような怪しい営業もあるため、債務者にとっては警戒をしておきたい時期だ。任意売却をするために着手金などは必要ない。

配当要求終期の公告から2ヶ月ほど過ぎると、債務者に最低売却価格の通知が届く。さらに、2ヶ月ほど過ぎると執行官や鑑定人が調査した結果が、家庭裁判所が運営しているインターネット上の「不動産競売情報サイト(通称「BIT」)」に公開される。BITに情報が公開されると、その後、2週間後に入札が開始される。さらにその2週間後に開札だ。

競売は、開札期日の前日までなら申立者の単独意思のみで競売を取り下げることが可能となっている。開札が行われてからの取り下げは、買受人の同意を必要とするため、確実に取り下げができる期限は、開札期日の前日までとなる。そのため、競売開始決定の通知が届いてから6~7ヶ月以内であれば、競売を取り下げ任意売却に切り替えることはできる。

開札が行われた後は、1ヶ月後には裁判所から売却許可が下り、さらに1ヶ月後に引き渡しという流れになる。よって、競売開始決定通知がきてから競売が完了するまでの期間は、およそ9ヶ月程度と考えておけばいいだろう。

競売と任意売却の違い

競売も任意売却も、売却によってローン残債を一括で返済する方法である。その違いとは?競売も任意売却も、売却によってローン残債を一括で返済する方法である。その違いとは?

競売も任意売却も、売却によってローン残債を一括で返済する方法である。競売は裁判所が行う売却であるのに対し、任意売却は債権者の合意を得て任意で行う売却である。最大の違いは、競売は厳格なルールに基づいて行われる売却であるのに対し、任意売却は債権者と交渉しながら自由な売却ができるという点だ。

競売は入札方式による売却となるが、任意売却なら買受人(購入者のこと)を指定して売却することもできる。そのため、任意売却であればリースバックを使って売却後も今の家に住み続けることも可能だ。リースバックとは、住みながら家を売却し、買主から家をそのまま借り続けるという売却手法のことを指す。

債権者はローン残債が回収できればいいので、競売や任意売却にこだわっているわけではない。リースバックであったとしても債権者が納得できる価格で買受人に売却できるのであれば、リースバックも認めてくれる。競売だと、誰が購入者になるかわからないため、リースバックを行うことは難しい。任意売却ならあらかじめ買受人を指定できることから、リースバックを確実にできる点は任意売却のメリットといえる。

また、売却価格に関しては、競売よりも任意売却の方が高く売れると主張する人もいる。しかしながら、競売でも高く売れている物件も存在するため、売却価格についてはどちらが有利か断定することはできない。

むしろ、任意売却のメリットは売却価格ではなく、売却しても残ってしまった残債の返済について交渉できる点にある。競売も任意売却も、売却後に残ってしまった残債は返済しなければならない。競売では、売却後に残った残額を返済することになる。一方で、任意売却は残額を交渉で圧縮できる余地がある。返済方法に関しても、話し合いによって無理のない範囲で返済することも可能だ。

そのため、競売や任意売却によってローン残債が残ってしまうケースでは、残債を圧縮できる可能性がある任意売却のほうが有利といえる。任意売却はさまざまな点で柔軟性が高いため、一般的には任意売却を選択する人のほうが多くなっている。

対処法1.任意売却へ切り替える

任意売却に切り替えたい場合は、債権者の合意が必要となる任意売却に切り替えたい場合は、債権者の合意が必要となる

競売開始決定通知がきても、開札期日の前日までは競売の取り下げが可能であるため、それまでに任意売却へ切り替えることも対処法の一つである。ただし、任意売却をする場合は債権者の合意が必要であることを忘れてはならない。

債権者の合意を得る最大のポイントは、任意売却による売却額である。具体的には任意売却の専門会社に査定を依頼し、その査定額を債権者に提示して任意売却の合意を得ることになる。任意売却による売却先は、買取転売を行う不動産会社になることが多いため、売却価格は市場価格の80%程度となることが一般的である。

仮に売却によって返済しきれない残債が残ったとしても、残債の返済方法も含めて債権者と合意が取れれば、任意売却を選択できることになる。任意売却を選択したい場合には、債権者へ早めに相談することをおすすめする。

対処法2.自己破産を行う

一見すると競売にはメリットがないように見えるが、そのようなことはない。競売は手続きに時間がかかるため、引き渡しまで長く住めるというメリットがある。

自己破産を行う予定のある人は、少しでも長く住める競売を選択するという考え方もある。自己破産であれば債務はすべてなくなるため、競売後に残った残債については返済せずに済む。

そのため、自己破産の場合には、売却後の残債を圧縮できる任意売却のメリットが薄れることになる。自己破産予定の方であれば、競売に関してはそのままにしておき、自己破産の手続きを進めていくことも選択の一つだろう。

対処法3.親族に競落してもらう

とれる対処法からそれぞの特徴を踏まえて自分に合った対応を検討したいとれる対処法からそれぞの特徴を踏まえて自分に合った対応を検討したい

任意売却の合意が得られず、なおかつ、リースバックをしたい場合には、最終手段としては親族に競落してもらうという方法もある。親族が競落して、その後、親族から家を借りるケースは昔から散見される。

競売は入札形式の売却であるため、最終的に親族が本当に購入できるかどうかはわからない。しかしながら、資力がある親族がいるのであれば、その親族に競売に参加してもらい最後の望みをかけるのも一つの方法である。

競売は、BITに過去3年分の入札結果が公表されている。最低売却価格と実際の落札価格が開示されており、どの程度の金額を提示すれば落札できるかなんとなく推測することができる。最低売却価格が通知された段階で親族に相談し、過去の類似の物件と同程度の落札価格が出せそうであれば、入札に参加してもらうのがいいだろう。

いずれにしても、競売開始決定通知がきても半年近くは任意売却に切り替えられる時間がある。競売や任意売却の特徴を理解し、自分に合った対処法を選択していただきたい。

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