貯金ゼロで「フルローンで貸して」はあり得ない

田園調布のカフェの店長でもある菅井さん。初の著書が話題となり、マスコミに登場することもしばしば田園調布のカフェの店長でもある菅井さん。初の著書が話題となり、マスコミに登場することもしばしば

銀行が融資にあたって重視するのは安全性。健全な借り手を求めているわけで、そこでひとつの指標になるのがきちんと貯金が出来ている人かどうか。元メガバンク支店長の菅井敏之さんによると「平均年収が400万円としてそのうちの2割、年に80万円を貯めていたとすると在社10年、32歳で800万円は貯まっているはず。ちゃんと貯まっていれば家計を計画的にやりくりしてきた人であることは分かる。銀行は貯金からそこを見るのです」。

年収が高いから貯金ができているというわけではない。「年収が1000万円以上あっても貯金ゼロ、1300万円のゴルフ会員権を買いたいからフルローンで貸して欲しいという人と、そこまでの年収はなくても4000万円の住宅を購入するために、2000万円貯金はあるものの、足りない2000万円を貸して欲しいという人。どちらが貸先として安定しているかはすぐ分かるはず。銀行もそうした常識的な判断をします」。

貯金があってもそれを使いたくないという時もあるだろうが、その場合にはきちんと事情を説明すること。新築マンション購入では買った途端に価格が下がる。それを考えると銀行はフルローンでは貸したくない。最初から担保が貸した額よりも低いことになり、言ってみれば信用貸しになる。であれば信用してもらえるように、事情を説明する必要がある。「ローン支払いの安全性を考えれば頭金が必要であることは分かっていますが、家庭の事情でここ2年くらいでまとまった額が必要になるため、どうしても……など、相手、つまり銀行の立場に立った説明ができるかどうかがポイントです」。

複数のカードを所有、どこで何を借りているかを把握できていない人は危険

世の中にはモデルルームで試算、「買えますよ」と言われて舞い上がり、そのまま購入というパターンが多いが、家が欲しいと思ったらその前の準備も必要世の中にはモデルルームで試算、「買えますよ」と言われて舞い上がり、そのまま購入というパターンが多いが、家が欲しいと思ったらその前の準備も必要

カードローンなどで延滞があると、住宅ローンを借りられない可能性があることはよく知られているが、注意したいのは何枚ものカードを持っている人。「カードにキャッシング枠が付けられている場合、その枠が返済比率から引かれます。枠があるということは今使っていなくても、明日使う可能性もあるからです。もし、複数枚持っていて、それぞれに50万円の枠がついていたら、それだけで100万、200万円が借りられなくなります。ローンの申込前に使っていないカードは処分する、キャッシング枠を外すなど対処しておくべきでしょう」。

そもそも、複数枚のカードを所有している時点で生活が派手ではないか、お金にルーズではないかという目で見られることもある。勧められてつい作ってしまったカードはこの際、ばっさり減らそう。

また、申し込み時には他の借り入れを記載する必要があるが、ここでちゃんと全部書けるかどうかもポイント。車のローンなど、まとまった額を忘れることはほぼないはずだが、忘れがちなのがスマホ、携帯。分割払いで購入すると、それも借金ということになる。忘れがちなことは分かっているので、その程度で落とされることはないが、逆にこれがきちんと書かれていると、この人は堅実とプラスの評価になる。こんなものかなといい加減に書かず、ちゃんと調べた上で記載しよう。

乱暴な字を書く人、専門用語を使いたがる人、虚勢を張る人もマイナス評価

うまい、下手ではなく、丁寧かどうかが見られるうまい、下手ではなく、丁寧かどうかが見られる

書類に殴り書きのような乱暴な字を書く人もダメ。「上手な字がいいと言うわけではなく、下手でも丁寧に相手が読みやすいように書いてあればOK。雑な字はお金にもルーズなのではないかと思われ、損します。また、書類に空欄が多いのもマイナス。書く側としては調べるのが面倒くさいからいいやと思うのでしょうが、そうしたものにアバウトな人はお金にもアバウトなのではと思われやすいのです」。

ローン申し込み時の態度も見られている。「銀行はまず数字で相手を見ます。だから、そこで構える必要も、虚勢を張る必要もないのですが、時々、コンプレックスや変なプライドがあるのでしょうか、専門用語を使いたがったり、有名人や銀行内の上役を知っているなどと言って自分を大きく見せようとする人がいます。こうした態度はまったく無用。逆効果です」。

日本では長らくお客様は神様という考え方が主流だったため、銀行に対しても借りるほうが偉いと思う人もいるようだが、どちらが偉いという考え方自体が無意味。借りたいのであれば、銀行員が動きやすいように淡々と書類その他を用意すれば良いだけである。「住宅ローンの場合、要件が揃っていれば大体、誰にでも貸してもらえるはずですが、どうせなら良いお付き合いをしたほうが互いに気持ち良い。また、不動産投資や独立、リタイア後の起業などを考えているのであれば、銀行をうまく使えなければ成功しません。借りる能力が高いほど、成功しやすくなる。そう考えれば自ずと銀行との付き合い方も見えてくるはずです」。

2014年 07月29日 11時25分