その日は最高の展示場日和だった!

ベース君の新車で展示場にベース君の新車で展示場に

2009年に「マンガはじめて家を建てました!」(ダイヤモンド社)という、自分の体験談+家づくり情報を盛り込んだ本を描いた。
私の実家を二世帯住宅にしたときの、家づくりの基本的な知識と、すったもんだの体験を面白おかしく描いたマンガ書籍だ。
そこでこのコラムでは、今家づくりを考えているみなさんの役に立ったり立たなかったりする情報を、楽しくお伝えしていきたいと思う。

塩辛ホームの図面はとてもカッコよかった。4人家族の家の予定だが、ベランダが5つもある。
とってもムダな気もするが、見た目がカッコいいので気に入ってしまった。
そして、今月中に契約してくれれば、私たちの希望の金額まで、
家の値段を値引きしてくれるというではないか!

いいじゃん!すごいじゃん!!
じゃあ即決!!……というわけにはいかないぜ。
なぜかというと、私たちはこの塩辛ホームの実際の家をまだ一度も見たことがないのだ。
契約するには絶対見ておかないと!お見合い写真だけで結婚は決められないからね。

天気のいい祭日、塩辛ホームのベース君が車を運転して東京から2時間ほど離れたN市の住宅展示場に連れて行ってくれることになった。ベース君の車は4WDの新車だ。真っ赤な4WDだ。当時キムタクがCMをやっていたトヨタの4WDだ。いつも私たちには控えめっぽいベース君だが、普段のカレは真っ赤な4WDをブイブイいわせるタイプなのかも。そうなのか。

「かっこいいですね、新車!」
「お休みの日は、彼女とドライブとか?」
「いやあ、私はまだそんな…(笑)」

ブイブイいう4WDに乗せてもらって、私たち夫婦もテンションが上がってきた。なんたって、今日は塩辛ホームの実際のモデルハウスを初めて見るわけだし、気に入ったらもうきっと契約なわけだし。そりゃあ楽しい気持ちにもなるわ。さあそろそろN市へ降りる高速道路の出口が見えてきた。

いよいよ会えた!憧れのおウチ!

いよいよ会えた!けど…いよいよ会えた!けど…

着いた!N市の住宅展示場!展示場はとっても広くて大きい。やはり都内とは違うな。家のメーカーも都内では見たことのない会社がいくつもあった。そして、重厚な和風建築が多いみたいだ。逆にコンパクトな3階建て、という家は見かけない。そうか、きっとこちらの方のお宅は敷地が広いんだね。

そして、その展示場の奥に…
あった!
これだ!塩辛ホームのあの家!
いままでカタログでしか見たことのなかったあの家だ。
カタログの家にそっくり!と思ったら、
カタログに載っているのがこの展示場の家なのだそうだ。

前景の見える位置でしばし眺める私たち夫婦。
「………」

あれ?なんかへんだな。なんだろうこの違和感は。なんだか…見た目、プラモデルみたいというか…。妙に軽い感じに見えるというか…。なぜだろう?

もっと近づいて外側の壁を見てみる。う~む、よく見れば見るほどプラスチックっぽい。
「石のプリントのついたプラスチック」みたいだ。軽く叩いてみると「コテコテッ☆」とやっぱりプラスチックっぽい音がする。ライターの火を近づけたらチリチリ…と溶けてしまいそうだ。

プラスチックっぽいパネルの隙間に黒い目地が入っている。
が、よくみるとそれが浮いているみたいに見えるなあ?指でつまんで引っ張るとずるずると出てきてしまった。まずい!目地って引っ張ると取れるの!?このまま引っ張り続けると家の継ぎ目が全部取れてバラバラになってしまうかも。

あわてて元に戻した。何事もなかったように元通りに。それにしても、こういうものは接着していないとまずいのでは?(汗)

一気に下がるテンション

会話のなくなるわたしたち会話のなくなるわたしたち

展示場のモデルハウスを見せていただく。
「わあ、シンプルでステキですね」とか
「広いベランダがいいですね」とか
いろいろ言っていたが、私たち夫婦の盛り上がっていた気持ちはすっかり冷めてしまった。

最初に見た外観で、「なんか違う感」がはっきりしてしまった。そこにあるのはカタログやポスターとは全然違う、実際の家の質感。どっしりとした大きなモデルハウスなのだから、そんなことはあるはずないなのに、目の前にある家はカタログの紙みたいに軽く感じられた。

私とダンナさんは、口に出してはいなくてもお互いの
「これはないわ~」と思っている感覚をわかっていた。それは多分、塩辛ハウスのベースくんにもなんとなく伝わってしまっていたように思う。

だってだって、みるみるうちに会話がなくなってしまったから!!いや、でもベース君が悪いわけではないさ。お休みの日にわざわざ、新車の4WDに私たちを乗せて、ここまで案内してくれているんだもの。

そんな人に
「実際の家を見たらなんだかいやにペラッペラで軽く見えてしまったので契約の話はなかったことに!」
なんてことは言えないよ!(今日のところは)

会話のないまま展示場を出るとちょうどお昼時だった。
すぐ近くにお蕎麦屋さんがある。
「お昼、一緒にいかがですか?」と
ベース君が誘ってくれた。

次回、
気まずい空気につつまれた蕎麦屋ランチ。
ベース君はお蕎麦屋さんでちょっと謎の行動をする。
そして誰もいなくなった。
「家、つくれなくてもいいかもね」と私たち夫婦は思うのであった。