太陽光発電に高気密・高断熱…ますます注目が集まる省エネ住宅

住宅用の太陽光発電システムが東日本大震災の起こった2011年を境に急速に普及している。
また、国土交通省が行った注文住宅を建てた世帯を対象とした調査(※)によると、設備等が良かったと思う理由の50.8%が「高気密・高断熱だから」。太陽光発電に高気密・高断熱…エネルギー問題、環境問題が議論される中、省エネ住宅に対する関心は今後ますます高まるはずだ。

しかし上記のような設備設置やキャッチコピーだけを信じて省エネ住宅を選んでいないだろうか。省エネをうたう住宅の中でもレベルの違いがかなりある。実はこの違いは数値によって判別できるものなのだ。
※平成24年度 住宅市場動向調査(国土交通省)

太陽光発電システムの需要は年々伸びている(太陽光発電普及拡大センターのデータを基に作成)太陽光発電システムの需要は年々伸びている(太陽光発電普及拡大センターのデータを基に作成)

クルマの燃費は0.1リッター単位だが、何故か住宅の燃費はたった4段階評価

住宅の省エネ性能を見る一般的な指標としてQ値がある。これは住宅内部から外部へ逃げる熱量を床面積で割ったもので、低い値ほど断熱性能が高いといえる。

しかし、Q値だけを見るこの基準には問題がある。暖かさや涼しさは外皮(壁面など)の性能だけに左右されるものではない。庇の大きさによる陽光の取り入れ具合や換気設備の性能などをトータルに評価しなければ正確な性能はわからない。ずいぶんアバウトな指標なのである。

この指標でさえ多くの住宅会社では値を公表していない。代わりにQ値を用いて国が定めた次世代省エネルギー基準の最高等級をクリアすることで高断熱をアピールしている。この基準はQ値を4段階に等級分けしたものだ。つまり最高等級4をクリアしていればギリギリでも余裕でも市場からは同じように評価されているのだ。

これはクルマでいえば「リッター10㎞を超えたクルマはすべて低燃費なクルマです」言っているようなもの。これまたアバウトな基準である。

10月に改正された省エネルギー基準でも、まだ不十分

「だから省エネ基準が改正されたのではないか」
今年(2013年)10月に住宅の省エネルギー基準が改正されたことをご存じの人はそう思うかもしれない。

おもな改正点は、前述の断熱性能にプラスして一次エネルギー消費量(GJ・ギガジュールという単位で表す)を加えたことだ。一次エネルギーとは石油、石炭など自然から採取したままの状態のエネルギーのこと。改正省エネ基準では冷暖房や照明、給湯などで消費されるエネルギーを合計し、一次エネルギーに換算したものが指標となる。また、太陽光発電システムなどの創エネ設備を設置すると消費エネルギーから差し引くことができるので有利になる。

そもそも住宅の省エネとは断熱性能だけを見るのではなく、「どれだけ消費するエネルギーを減らせるか」が大事なので、この改正は大きな前進だろう。しかしまだ理想的とはいいがたい。前述の断熱性能の基準がほとんど変わっていないからだ。改正省エネ基準では従来と同じく4または5段階で評価する予定だ。これでは今までどおり具体的な省エネ性能はわからないままだ。

0.01単位で住宅の省エネ性能がわかる「建もの省エネ×健康マップ」

クルマのようにより実態に近い数値で省エネ性能を把握する方法としては、一般社団法人パッシブハウス・ジャパンの「建もの省エネ×健康マップ」がある。

建もの省エネ×健康マップ:http://tatemono-nenpi.com/map/

これは陽光の取り入れ具合など前述の細かな条件を考慮した独自のソフトを使って、住宅の省エネ性能を0.01単位で算出した結果だ。おもな住宅会社の標準仕様の性能がわかる。公表している指標は「年間一次エネルギー消費量」と「年間暖房負荷」だ。どちらも低いほど優秀で、後者はエアコンなどを使用せず、素の状態でのどれだけ暖かいかを表している。なぜこれを入れるかというと、断熱・気密性のないスカスカの住宅でも大きな太陽光発電システムなどでがんがん創エネすれば一次エネルギー消費量を減らすことができる。それでは本当の意味での省エネではないからだ。

中にはカタログなどでQ値を公表している会社も含まれるが、結果は必ずしも比例していないところがおもしろい。実は筆者が住む住宅会社もあるのだが、Q値の割に寒いと思っていたら案の定年間暖房負荷は低かった。このマップに載っていない会社の住宅でも個々のスペックを伝えれば有料で評価が可能だ。

おもな住宅会社の年間一次エネルギー消費量と年間暖房負荷がわかる(画像提供:パッシブハウス・ジャパン)おもな住宅会社の年間一次エネルギー消費量と年間暖房負荷がわかる(画像提供:パッシブハウス・ジャパン)

省エネ性能は等級ではなく、具体的数値で問うべき

ヨーロッパ諸国ではこのような詳細な省エネ性能の算出が当たり前に行われているそうだ。ちなみに日本のおもな住宅会社の平均的な年間暖房負荷は90kwh/㎡前後だが、欧州諸国では15kwh/㎡が2015年には義務化される。まだまだ遅れをとっているのだ。

住宅はクルマの5倍以上の価格。ならばその燃費はクルマ以上にこだわるべきではないだろうか。
日本の住宅がヨーロッパ諸国並みの省エネ性能を手に入れるには、まず消費者一人ひとりが等級ではなく、数値(GJやkwh/㎡など)の公表を求めることから始めるべきではないかと思う。

↓おもな住宅会社の一次エネルギー消費量と年間暖房負荷。どちら数値も低いほど優秀(パッシブハウス・ジャパン、「建もの省エネ×健康マップ」を基に作成)

住宅会社 年間一次エネルギー消費量(kwh/㎡) 年間暖房負荷(kwh/㎡)
スウェーデンハウス 133.30 41.50
セキスイハイム(木造) 141.41 52.17
ヘーベルハウス 150.93 63.13
三井ホーム 153.08 73.53
アイフルホーム 155.86 68.19
積水ハウス(木造) 157.96 86.85
エス・バイ・エル 161.08 84.60
ミサワホーム 163.51 86.85
タマホーム(標準仕様) 166.28 72.40
トヨタホーム 171.24 86.70
積水ハウス(鉄骨) 172.26 102.59