日本シームレス地質図で土地ができた時代を知る

写真の現在地は武蔵野台地の中でも目黒台と呼ばれる場所写真の現在地は武蔵野台地の中でも目黒台と呼ばれる場所

その土地がいつできたか、土地の歴史のうちでも最も根源的なことを教えてくれるのが地質図である。そのうちでもお勧めは独立行政法人産業技術総合研究所が作っている日本シームレス地質図である。これは文字通り日本全国の地質をシームレスで見ることができ、しかも、パソコンだけでなく、携帯、スマホ、アイフォーンでも利用ができる。さらに素晴らしいのは携帯端末のGPS機能を使うと、現在自分が立っているその場所がいつできた土地かが分かるということである。

携帯端末で日本シームレス地質図を表示し、画面右下に出る円に矢印を組み合わたマークをタップしてみよう。すると、地図上の特定の場所にピンが表示されるが、そこが自分のいる現在地というわけである。ピンをさらにタップすると、その土地がいつ作られた土地かという表示が出る。写真の例でいくとここは「川沿いの低地に分布している約7万年前~1万8000年前に形成された段丘層」。いわゆる低地は大半が1万80000年前から現在までに形成されていることから、現在地はそれよりも古い、武蔵野台地上にあることが分かる。

周囲から見て低く、窪んだ土地になっていないかも歩いてチェック

このように、今いる土地の古さがすぐに分かる優れものの日本シームレス地質図だが、ひとつ、注意しなくてはいけないのは縮尺が20万分の1だという点。台地上であることは分かったとしても、台地上にも低くなったところがあり、そんな場所の地盤は弱い。だが、この縮尺ではそこまでは分からないのである。

そのため、この地質図で現在地を知ったら、その地点と周囲との高さの関係をチェックする必要がある。周囲のどの方向から歩いてみても坂を下った先にあるとしたら、そこは窪地であり、周囲よりは弱い場所である。あるいは坂の途中だとしたら、その上の土地よりは弱い可能性があるし、造成されているとしたら造成法をチェックする必要が出てくる。あるいは、台地と下町の境界線上にピンがあったとしたら、現地で実際の境界がどこになっているのかを歩いて確認、住みたい場所がどちら側にあるのかを調べる必要もあるだろう。標高を調べながら歩くなら、マピオンの地図が参考になる。

そうしたちょっとした手間は必要だが、無料でここまで調べられるのは価値大。災害に関心がある人なら必須と言ってもよいと思う。

過去の土地利用を旧版地図から手元で知る、東京時層地図

巣鴨駅近く、写真に写る道はかつて川だった巣鴨駅近く、写真に写る道はかつて川だった

災害危険度は昔の土地利用を知ることでも分かる。過去に沼や池だった土地や水田として利用されていた場所は災害時に揺れやすく危険だし、水路も今は分かりにくい。

そうした情報を手元で、時代を切り替えて見せてくれるのが日本地図センターで作っている東京時層地図。古地図で見られるのは文明開化期(明治9年~19年)、明治のおわり(明治39年~42年)、関東大震災直前(大正5~10年)、昭和戦前期(昭和3年~11年)、高度成長前夜(昭和30年~35年)、バブル期(昭和59年~平成2年)で、現代の地図、航空写真なども合わせ、10種類の地図が見られる。残念ながら有料(月額1900円)で利用できる端末はアイフォーン、アイパッドなど。横浜バージョン(月額1200円)もある。

ちなみに土地の改変を知るために有効なのは昭和30年代以前の地図と現在の地図を比較すること。日本で全国的に土地の改変が行われたのは高度経済成長期以降。それ以前の土地利用は基本的には土地の高低に合わせた自然なものだったと考えられるが、以降は技術にモノを言わせてきたところがある。災害が起こりやすいのは、そうした強引な改変が行われた場所である。崖を削った場所であれば、造成方法によって斜面崩落の危険があるし、穴埋め型の盛土、埋め立てが行われた場所には液状化の危険がある。どのように改変されたか、注意が必要である。

●災害危険度を知るために役立つアプリ一覧
→ 日本シームレス地質図
  https://gbank.gsj.jp/seamless/
  手元で日本全国の土地が作られた時代を解説とともに知ることができる

→ 東京時層地図
  http://www.jmc.or.jp/app/iphone/tokyo/
  東京の旧版地図を切り替えながら見ることができる。やや高いのが難…

→ 横浜時層地図
  http://www.jmc.or.jp/app/iphone/yokohama/
  東京同様の機能のある横浜時層地図。地図好きなら両方欲しいところ