家を借りる時や買う時に、必ずと言っていいほどチェックするのが間取り図です。しかし、住まいを探すためだけではなく、間取り図を見ることを楽しみとしている人たちがいるのを知っていますか?
さまざまな間取り図を眺めると、時に「なんでここに玄関があるの?」「なんでこんな形なの?」など、不思議な物件、変わった物件が見つかります。
今回は日本各地で間取り図について語るイベントを開催する森岡友樹さんにお話を伺い、間取り図の魅力だけでなく、実際に住む場合の注意点などについても解説していきます。
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「変な間取り」の魅力とは?

これまでさまざまな物件を眺めてきた森岡さんに、まず間取り図を眺める楽しさはどんなところにあるのか聞きました。
「変わった間取りに限らず、間取り図を眺める楽しさは、まず“想像すること”です。『もし自分がこの家に住んだらどんな生活をするのか?』『どこで食事をして、どこで寝るのか?』『この小さいスペースは何に使おうか?』など、さまざまな想像を広げることができます。子どもの頃にままごと遊びをしたように、脳内で生活のシミュレーションをするのです」(森岡さん)
また、よりディープな楽しみ方としては、変わった間取りを見つけて「どうしてこういう間取りになったんだろう?」と推測してみることだそうです。
「増改築の順序や時代背景、大家さんの思いや地域性、建物の構造などさまざまな要素が関わってくるので、建築が好きな人はもちろん、歴史や文化が好きな人も楽しめるはずです」(森岡さん)
実在する変な間取り図を紹介!
それでは、過去にLIFULL HOME’Sに実際に掲載された、“変な間取り”の図面を見ながら、森岡さんに間取り図を楽しむポイントを解説していただきます。
形が変わっている
住宅は長方形や正方形に近い形が一般的ですが、中には三角形やコの字形など少し変わった形の物件もあります。たとえば、こちらはきれいな円形の部屋です。

「最近では珍しくなりましたが、建物全体が円形をしている建物や、都合扇形に近いになる間取りなんかは、おしゃれで新しさハイカラさもあり一時は人気を博しました。その移動効率などから集合住宅だけでなく学校、病院などにも用いられました」(森岡さん)
また、平面図だけでは分かりませんが、実はこちらの住宅はドーム型の建物になっています。ドーム型の建物は形がユニークなだけではなく、強度の面でも優れているそうです。
「ドーム型は、無柱でも十分な強度を出しやすく、その形状の面白さもありログハウスでたまに見かけます。中でも特に発泡スチロール製のものは、軽く、断熱性も高く比較的容易に建てることができ、緊急避難住宅にも適しているとあって震災以降比較的人気です」(森岡さん)
配置が変わっている
たとえば一人暮らしなら、玄関に入るとまずキッチンがあってその奥に洋室があるなど、“よくある間取り”のパターンはありますが、そうした一般的なイメージとは少しズレている配置の物件にも面白さがあります。
たとえば、こちらはキッチンが家の中央にあり、その両側に個室があります。玄関とお風呂は片方の洋室側にあり、キッチンを挟んで、奥にも一部屋あるという間取りです。

「玄関側の洋室はオフィスとして使い、奥側の洋室を生活スペースにするなどSOHO(オフィスを兼ねた住まい)的に使うのに都合が良さそうかな? とも思うわけですが……。さて、どのように部屋を使い分けるかは、使う人次第です」(森岡さん)
隠し部屋がある
住宅の中にキッチン、浴室などあらかじめ使い方が決まっているスペースだけではなく、“どう使うと魅力を生かせるか考えさせられるスペース”がある物件も、想像が膨らみます。
こちらの物件は、鉤(かぎ)形のような、変わった形をしています。ポイントは、東側にある6畳の洋室です。

「一般的な一人暮らしであれば、玄関からキッチン、ダイニングまでのスペースだけでも十分に生活ができるはずです。その前提のうえでこそ成り立つのですが、ダイニング側の東側6畳の洋室へ通じる扉の前を可動式の収納やカーテンで『ここは収納なんだよね』と上手に覆ってしまえばその奥にまさか部屋があると気づく人はいないでしょう。たまに訪れるくらいの恋人でさえ気づかれないかもしれません。そんな隠せる東側6畳の洋室を、たとえば超プライベートな空間として趣味の物でいっぱいにする秘密の部屋にしてみませんか? そう考えるとわくわくしませんか? この間が細長い廊下でつながっているのも秘密感、特別感を演出してくれていると思うのですよ。さあ、あなたならこの誰にも知られない(かもしれない)“隠し部屋”をどういう風に使いますか?」(森岡さん)
2つの部屋を1つにつなげた
もともと2部屋あったのをつなげて1部屋にするなど、リフォームによって変わった物件が生まれることもよくあります。こちらの物件もそういった事例です。
賃貸マンションで、中央の階段を挟んで、両側に部屋があります。おそらく、以前は東側のLDKと西側の和室は別々の物件だったのではないかと思われますが、現在は合わせて1LDKの物件として借りられるようになっています。

「2つを1つとして貸し出す“ニコイチ”のスタイルですね。部屋を行き来するには、それぞれの玄関を出入りし一度階段ホールを通らなければいけないので、たとえば和室での就寝時にトイレに起きた時でも、寝ぼけ眼で靴を履いて鍵を開け閉めしてLDK側に渡らざるをえない。“ハナレ”感覚ですよね。鍵も2つ持たないといけないので、急いでトイレに行きたい時は鍵の挿し間違いに要注意ですね」(森岡さん)
一方で、居住空間が2つに分かれていることにはメリットもあるそうです。目的によって、部屋の使い方を完全に分けることができるからです。
「最近はテレワークも普及してきましたが、この物件であればLDKは仕事場、和室側は生活空間として分けて使うことができます。LDKは複数人で働くにも十分な広さがありますし、来客があっても自宅の一部には見えないでしょう。人が訪ねて来てもここが自宅の一部だとは思わないでしょうね。そしてひょっとしたらですが、もともとは建物全体で事業用物件だったのかもしれませんね。そういう風に考えるのもまた面白いと思いませんか?」(森岡さん)
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変な間取りの住宅が生まれる背景とは?
ここまで紹介してきたような、変わった間取りの物件が生まれる理由には、どのようなものがあるのでしょうか。
「まず考えられるのは、住宅を建てる土地の事情です。狭い土地や変わった形の土地で、少しでもスペースを有効に使えるように工夫した結果、変わった間取りが生まれることがあります。あるいは、最初はスタンダードな間取りであっても、増改築を重ねる中で、当時の流行や住んだ人の希望などを反映し、変わった間取りに変化していったというケースもあります。先ほど紹介した2つの物件を1つにする例をはじめ、事務所として使用していた物件を住宅に変えるなど、使用用途を変更するようなリノベーションも特殊な間取りを生む一因です」(森岡さん)

変な間取りの物件に住むメリット・デメリットは?

それでは、変わった間取りの物件は住みやすいのでしょうか。実際に住む場合のメリット・デメリットを森岡さんにお聞きしました。
「メリットとしては、一般的な物件とは一味違うので、愛着が湧きやすいこと。さらに、そうした癖のある物件はあまり人気が出ないことも多いので、その分家賃が安くなっていることもあります。一方デメリットとしては、部屋の使い方が難しかったり、既製の家具が置きにくいことがあったりすることです。逆に、変わった物件に住むのに向いている人は、そうしたデメリットになりかねない部分をネガティブに受け取らず、フラットかもしくはポジティブに受け入れられる人です。たとえば、『部屋は狭いのに、長い廊下がついている』という物件があった場合、その廊下に本棚を置いたり、アート作品を飾ったりといった楽しみ方が考えられます。変わった間取りをどのように生かすか前向きに考えられる人には、むしろ楽しむことができる住まいと言えるでしょう」(森岡さん)
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変な間取りの物件に住む場合の工夫や注意点は?

最後に、実際に変わった間取りの物件に住む場合、工夫できることや注意点などのアドバイスを森岡さんからいただきました。
「変わった物件といってもさまざまなパターンがあるので、その住宅の間取りによって工夫の仕方は異なりますが、一つ言えるのは、なるべく背の低い小さめの家具を選ぶようにすることです。大きな家具や家電は、置けるスペースが限られてきて、変わった形の物件だと合わない場合がありますが、小さめのアイテムであれば、どんな物件でも対応しやすくなります。大きなタンスや本棚を置く代わりに、カラーボックスのように、コンパクトで並べ替えや組み替えがしやすいものを活用するのもおすすめです。さらには、なるべく物を減らすことも大切です。持ち物が少なければ、収納スペースが確保できるかどうかをあまり気にしなくてもいいので、どんな間取りでも選びやすくなります」(森岡さん)
また、物件を選ぶ際のポイントとしては、自分は物件の何を気にするか・気にしないかをよく考えることが重要だそうです。
「少し形が変わっていたり、設備が古かったりしても気にならないという人もたくさんいます。自分にとって重視したいポイントは何か、しっかり検討して選びましょう。変わった間取りに住む場合や住もうとする場合、『廊下が細いと使いにくいか?』『部屋が丸いと不自由か?』など、住まいについて、これまでと違った観点から考えることになります。それによって“自分自身の住宅に関しての趣味嗜好”や、“暮らしで重要視する点”などにも考えを巡らせる機会が増えるでしょう。そういう意味では、変わった間取りに触れることは暮らしについて深く考えることにつながります」(森岡さん)
まとめ
変わった間取りを眺める楽しさは、その物件でどう生活するかを想像したり、そのような間取りが出来上がった理由を想像したりすることにあります。住み替えを検討しているときだけではなく、楽しみの一つとして、さまざまな物件を眺めてみてはいかがでしょうか。

更新日: / 公開日:2020.12.11










