住まいの価値を高めるリモデルの優れた事例が全国から集まる「TDYリモデルデザインアワード2025」。
主催するTOTO、DAIKEN、YKK APの3社が連携して開催するこのコンテストは、今回で41回を迎え、暮らし方に寄りそった空間提案やデザイン性、機能性を備えたリモデル事例を広く紹介する場として知られています。
同アワードは、「テーマ別部門」と「部位別部門」の2つの部門で構成されているのも特徴です。暮らし方やコンセプトに着目した提案を評価するテーマ別部門と、キッチンや浴室、内装など住まいの特定の部位に焦点を当てた部位別部門が設けられており、リモデルの多様なアプローチを幅広く募集しています。審査員は建築家と不動産情報サイトの編集者の3名が務めています。
前回はさまざまな設計の工夫や空間づくりを総合的に行った「全国最優秀賞」と、テーマごとに選ばれた「テーマ別最優秀賞」の事例を紹介しました。
この記事では、主催するTOTO、DAIKEN、YKK APの3社の商品を存分に生かした「TDY商品空間提案賞」や、リフォームの王道ともいえる「部位別最優秀賞」の事例を紹介します。
小さなスペースにおいてもキラリと生きるリモデルのアイデアをご覧ください。

株式会社仲建築設計スタジオ
共同代表

古谷デザイン
建築設計事務所・
みどりの空間工作所 代表
京都芸術大学
環境デザイン学科 客員教授

LIFULL HOME’S PRESS
編集長
兼 LIFULL HOME’S 総研
研究員
【TDY商品空間提案賞】娘さんのやさしさが包み込む、ご両親と過ごすあたたかな暮らしのリフォーム(e-life 三和商事株式会社)

明るい和モダンのリビングに生まれ変わりました
TDY商品空間提案賞に輝いたのは、e-life 三和商事株式会社の築65年の一戸建て住宅のリノベーション。
病気を患った高齢のご両親を支えたいという娘さんの願いから始まったこのプロジェクト。以前の住まいが抱えていた寒さや暗さといった課題を、対面式キッチンや断熱性能の向上によって解消し、家族が自然に集う開放的な空間へと再生させました。
設計のポイントとして、ご両親が安心できるように和のテイストを生かしたデザインや、家事や暮らしやすさを考えた機能的な動線にもこだわりました。施工後のお施主さまは「家族の心のゆとりや明るさ、日々の暮らしが前向きになりました」とコメントされています。
家族の絆を深める優しさに満ちた住まいづくりとして、丁寧なプロセスを経たリノベーション事例です。
◆リモデル前の課題・要望
・ 寝室からトイレまでの距離が離れているなど介助や移動に伴う身体的・精神的負担がある
・ 閉塞感や孤立感を生む間取りになっており、暗い雰囲気の居間だった
・ 老朽化によるすきま風があり、冬はとても寒く苦痛な環境だった

【Before】閉塞感があり、昼間でも暗く寒さを感じる居間や、孤立した独立型のキッチン。また、寝室からトイレまで距離があり、生活動線にも不安がありました。
◆リモデルのポイント
・ 居間とDKの間にあった隔たりを開閉戸に変更し、会話が弾む開放的なLDK空間へ一新
・ ご両親の負担や介助の負担を考慮して、生活動線をコンパクトにした家族3人の寝室
・ 断熱性能を大幅に改善し、内部は心安らぐ明るい和モダンな空間に
◆審査員からの総評
病気を患うご両親の介護という状況のなか、住環境の改善に寄り添った事例です。高齢者には環境変化が大きなストレスになるため、あえてデザインを際立たせないよう配慮し、転倒時の緩衝材となる畳を採用するなども優しさが表れています。この空間の明るさが日々介護に向き合う娘さんの気持ちをも晴れやかにする「救いとなるリモデル事例」でした。
兵庫県豊岡市正法寺628
住まいの箇所にフォーカスした「部位別部門」の最優秀賞作品4作品
TDYリモデルデザインアワード「部位別部門」は、キッチンや浴室、洗面、トイレ、リビング、外装・窓まわりなど、“暮らしを構成するひとつの空間”に焦点を当てて評価する部門です。
それぞれの部位において、使いやすさや快適性の向上はもちろん、デザイン性や空間提案力、そしてリモデルならではの工夫がどのように実現されているかを審査。限られた範囲であっても、暮らしの質を大きく高めるアイデアが評価されます。
部分リフォームの積み重ねが日々の暮らしの質の向上につながるリモデルの可能性を感じられる部門といえるでしょう。
【部位:窓・玄関・外まわり 最優秀賞作品】玄関と和室は、わが家のセカンドリビングへ~趣味と団らんをかなえた多機能空間~(株式会社マエダハウジング 府中店)

拡張した玄関スペースにはキャンプ用具も収納できるように
窓・玄関・外まわりの部位別リモデルの最優秀賞作品は、株式会社マエダハウジング 府中店の築12年の一戸建て住宅の玄関と半間の和室スペースのリノベーションが選ばれました。
家族構成や生活スタイルが変わっていく中、新築時にはこだわれなかったスペースを有効に活用したいという要望と収納の課題も解決したリモデル事例です。
◆リモデル前の課題・要望
・ 家族の趣味であるキャンプのグッズを玄関に置きたい・収納したい
・ 外に置いている自転車2台を玄関に置けるスペースが欲しい
・ 使い方に困っている和室を活用したい

【Before】キャンプ用品や自転車などを置くスペースがなく、隣接する和室も使い道が限定されており、空間をうまく活用できていませんでした。
◆リモデルのポイント
・ 使うことの少ない和室スペースを使って玄関スペースを拡張し、収納たっぷりの土間に
・ 小さくなった和室は多目的に使えるスペースにリモデル
・ 長期優良住宅認定の建物の改修
◆審査員からの総評
玄関土間と和室を一体的に再編することで、用途が限定されがちだった空間に、多様な使い方と広がりをもたらした点を高く評価。用途をあえて定めない中間領域としたことで、家族それぞれの使い方を引き出す余白が生まれている点も魅力的です。約300万円というコストの中で、空間の価値を大きく転換した優れたリモデル提案です。
広島県安芸郡府中町鶴江1-22-6
【部位:トイレ 最優秀賞作品】双景~くつろぎと利便性(株式会社ゆい・リビング)

高級旅館のような一坪半あるぜいたくなトイレ空間
トイレの部位別リモデルの最優秀賞作品は、株式会社ゆい・リビングの築54年の一戸建て住宅の2つのトイレのリノベーションが受賞しました。
中古住宅を購入されたお施主さま。設備が古く節水機能や快適性の面で課題のあるトイレでした。1階のトイレには扉がなく、カーテンで目隠しをしている状態だったといいます。
たんなる用を足す場所ではなく、自慢できるくつろぎの空間へリモデルされました。
◆リモデル前の課題・要望
・ 男性も座って用が足せる掃除がしやすいトイレにしたい
・ 来客や家族みんなが使いやすいトイレにしたい
・ 来客が多いので自慢できるトイレにしたい

【Before】設備が古く、お手入れが大変だった以前のトイレ。1階は扉の代わりにカーテンで仕切られているだけなど、快適性やプライバシー面でも課題がありました。
◆リモデルのポイント
・ お施主さまの真のニーズから生まれたくつろぎと利便性のある2つのトイレ
「家族の思い出を刻む日本地図や思い出の品を並べた1坪半の広々くつろぎトイレ」
「玄関から靴のまま入れる遊び心をプラスしたライブラリー付き土間トイレ」
・ ただ用を足す場所ではなく、清潔かつ快適に使える居心地の良いトイレ空間へ
◆審査員からの総評
2つの個性的なトイレはどちらも面白いアイデア。玄関近くの「土間トイレ」は、帰宅後すぐに入れる動線の良さに加え、土間空間に本棚を置くという組み合わせが魅力的です。さらに、担当者が手書きした壁面の日本地図や、お土産を飾る棚などの遊び心あふれる工夫の広々としたトイレも個性的。「トイレ空間の概念の拡張」を感じさせ2つのトイレに別々の特色を持たせた提案力の高さを評価したいリモデルプランです。
愛知県西尾市住崎1-97-1
【部位:キッチン・リビング 最優秀賞作品】父と暮らす家、再び動き出す。-親子だから、ちょうどいい距離感。(株式会社マエダハウジング 東広島店)

リビングとダイニングキッチンは建具を開けるとつながる広々空間に。思い出の柱や長押も活用
キッチン・リビング部門の最優秀賞には株式会社マエダハウジング 東広島店の築50年の一戸建て住宅のリノベーション事例が選ばれました。
広い一軒家に一人暮らしだったお父さま。娘さんが同居を考えるにあたり、段差の大きい玄関や個々にわかれた部屋をつなぐ廊下が寒いなど、さまざまな課題がありました。
「お互い気を遣いすぎず、安心して暮らせる“程よい距離感”」を実現するリノベーションを目指したといいます。
◆リモデル前の課題・要望
・ 寒さを解消し、家族が自然と集まる暖かなリビングが欲しい
・ 高齢のお父さまが安全に暮らせるよう段差をなくしたい
・ 憧れのリゾートホテルのような上質な空間にしたい

【Before】部屋が細かく分かれていて生活動線が悪く、冬の厳しい寒さや家の中にある大きな段差も、高齢のお父さまにとって大きな不安要素でした。
◆リモデルのポイント
・ 元の広縁・廊下・和室を一体化し、広々としたLDKに。耐震補強と断熱工事を実施
・ 回遊動線と透明ガラスの活用で程よい距離感と見守りができるプランに
・ 段差のある玄関は周り階段にし、段差解消や手すりも設置し安全に暮らせる住まいに
◆審査員からの総評
細かく分かれていた空間を一つに統合しつつ、巧みなゾーン分けによって多世代が程よい距離感を保ちながら見守りができる間取りにした点を評価。特に、玄関にガラスを用いて光を取り入れる工夫や、既存の柱を生かしたセンスの良いインテリアデザインが、家全体を明るく居心地の良い空間にしている点がよく考えられたリモデル事例だと思います。
広島県東広島市西条町助実1564-1
【部位:バス・洗面所 最優秀賞作品】受け継がれる家で、極上の時間を Kominka×TOTO SYNLA(株式会社河原工房 西宮店)

格のある高級感のある浴槽。家族がのぞんだくつろぎの浴室に
バス・洗面所の部位別リモデルの最優秀賞作品は、株式会社河原工房 西宮店の築165年という古民家のリノベーション事例が選ばれました。
立派な古民家にはお施主さまだけでなく、親戚も含めて多くの思い出がありました。建て替えではなくリノベーションを選ばれたのも、そういった経緯からです。
ただ、古民家ならではの「寒さ」は特に浴室では深刻でした。築165年の家にふさわしい格と家族が心地よく過ごせる水回りを目指しました。
◆リモデル前の課題・要望
・ 玄関からすぐのところに洗面室があり、来客時にはプライバシーが気になる
・ 元のお風呂は窓も大きく、寒さも深刻で家族での入浴も困難
・ 洗面も古く、上質感に欠けていた。古民家での統一感を出したい

【Before】古民家特有の底冷えが浴室にも及び、冬場の入浴が困難でした。また、洗面室は玄関から丸見えで、来客時のプライバシーや収納不足にも悩まされていました。
◆リモデルのポイント
・ 清掃性・断熱性の工夫と最高級グレードの大型浴槽を設置
・ ホテルライクなデザインとオリジナルの造作洗面台で統一感を演出
・ ランドリールームを設置し、動線の改善と室内干しも可能に
◆審査員からの総評
築165年の古民家の雰囲気にマッチした、施主のこだわりが詰まった上質なデザイン。特に、浴室や洗面所の2ボウル、見えない収納、断熱性の向上など、家族の生活に寄り添った細やかな配慮と使い勝手の改善がみられます。また、家事動線についても改善されており、来客も使用する洗面所を「外向き」、ランドリールームを「内向き」として機能的に分離している点も評価のポイントです。
兵庫県西宮市松原町9-1
「TDYリモデルデザインアワード2025」部位別部門最優秀賞からみるリノベーションの傾向
「部分最適」を超えた「暮らしの再編集」
「TDYリモデルデザインアワード2025」の部位別部門最優秀賞から見えてくるのは、「部分最適」を超えて「暮らしの再編集」を実現するリノベーションの流れです。
キッチン・リビング、浴室、トイレ、玄関といった各部位の受賞作品においては、単なる設備更新ではなく、家族関係や暮らし方の変化に応答する空間提案が共通して見えます。
たとえば、LDKでは“適度な距離感”を生む構成、玄関では土間と居室をつなぐことで多用途化するなど、空間の役割を拡張する提案が見えました。
また、水回りにおいても快適性や高級感の向上にとどまらず、「過ごす時間の質」を高める居場所化が進んでいる点が特徴となっています。
各部位のリモデルが単体だけで完結するのではなく、暮らし全体の価値を底上げするものとして工夫されていました。
限られた改修範囲の中で機能・デザイン・関係性を同時に更新し「部位のリモデルで、暮らし全体を考え豊かにさせていく」というリノベーションの進化が見える「TDYリモデルデザインアワード2025」でした。
全国最優秀賞・テーマ別最優秀賞のページはこちら

「TDYリモデルデザインアワード」を主催するTDYアライアンス

TDYアライアンスは、それぞれの専門領域をリードするTOTO(水回り)、DAIKEN(床材・内装ドア・収納)、YKK AP(窓・玄関ドア・エクステリア)の3社が、お客さまの暮らしの価値向上を目指し、2002年からリモデル分野で連携する取組みです。
リフォーム検討から実施までお客さまに寄り添い、暮らしの中に笑顔が生まれるリモデル実現をお手伝いします。
健康・快適、安全・安心、環境に配慮した「グリーンリモデル」の考え方をベースに、さまざまな暮らしの思いをかなえるライフスタイル提案「十人十家」を発信しています。
各社の専門性を生かしたリモデルに役立つ情報提供や、全国で「TDYコラボレーションショールーム」を展開するなど、快適な住まいづくりをサポートしています。
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