
長屋は、その特有の構造や近隣との関係性などが売却に大きく影響する住宅です。そのため、売却する場合には、事前知識と余裕を持ったスケジュール管理が非常に重要です。
長屋を売却するためには、一定の条件も必要なため一般的な「一戸建て」や「マンション」と同様に考えていると、売却活動がスムーズに進まないおそれがあります。
この記事では、長屋が一般的に「売れない」といわれる理由について解説します。その上で、長屋を少しでも早く・高く売却するポイントについても紹介します。
この記事で分かること
- 長屋が売りづらいと言われる理由
- 長屋の主な売却方法
- 長屋を少しでも早く・高く売却するポイント
- 長屋の売却で起こりうるトラブル
- 家の売却ならホームズの一括査定がおすすめ
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そもそも長屋とは?

長屋とは、独立した住戸が水平方向に壁を接して連続する建物のことで、「連棟式建物」とも呼ばれます。
長屋というと時代劇のように古風な住宅をイメージする人が多いですが、現代の長屋も基本的に構造は同じで、壁がつながった状態で住宅が連続しています。
最近では、「テラスハウス」や「タウンハウス」といった呼称で業者がブランディングしているケースもあります。
ただし、全体的に見ると長屋は基本的に昭和に建てられた古い建物が多い傾向にあります。
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共同住宅(アパート・マンション)との違い
法律上、アパートやマンションは「共同住宅」と呼ばれますが、共同住宅と長屋には下表の違いがあります。
| 区分 | 出入り方法 | 敷地の接道条件 | 建築基準法上の分類 |
| 長屋 | 各戸が独立した玄関を持ち、外部から直接出入りする | 敷地が道路に2m以上接していること | 特殊建築物に該当しない |
| 共同住宅 | 共用の廊下を通じて各居室に出入りする | 敷地が道路に4m以上接していること | 特殊建築物に該当し、設計時にさまざまな制約が発生する |
長屋は、土地代を含めて安く建設できるのが特徴です。共同住宅と同様の性質を持ちつつ、敷地の接道条件が比較的緩いといえます。
長屋が売れない理由

ここでは、一般的に長屋が売れないと言われる理由を5つ紹介します。
- 経年劣化しているケースが多いから
- 住宅ローン審査に通らないケースがあるから
- 専有部分では接道義務を満たしていないことが多いから
- 借地権付き建物であることが多いから
- 物理的な切り離しが難しいから
自身が売却を検討している長屋物件の状態と照らし合わせながら、1つずつ確認しましょう。
経年劣化しているケースが多いから
長屋は法律の制限をクリアするために建てられた住宅が多く、古い建物が多い傾向にあります。中には、耐用年数を過ぎて資産価値がほとんどないものや、現行の耐震基準を満たしていない物件も少なくありません。
中古物件は、築年数によって資産価値や査定額が変わります。古い物件ほど補修や維持・管理が困難であり、補修費用も高額になります。
適切にメンテナンスされていても、築年数が古いと売却が難しくなるでしょう。
住宅ローン審査に通らないケースがあるから
住宅ローンでは、契約者の収入のほか住宅の担保価値も審査され、融資額が決定されます。 なぜなら、万が一返済が滞った場合に抵当権を実行して担保物件を売却し、返済に充てることを想定しているからです。
長屋の場合は売却や建て替え、リフォームの際に隣家との調整が必要であり、一戸建てに比べて手間がかかります。そのため、買手が付きにくく、担保価値も低くなる傾向があります。その結果、住宅ローン審査も通りづらくなるのです。
そのため、長屋を購入する人は、現金購入やノンバンク系の融資を利用することも多いと言われています。
専有部分では接道義務を満たしていないことが多いから
長屋の専有部分の土地が接道義務を満たしていない場合、買手が付きにくくなります。
前述したように、長屋の接道義務とは敷地が建築基準法上の道路に2メートル以上接していることを指します。満たしていない場合、新しい建物は原則建てられません。
長屋では、全体の土地が接道義務を満たしている一方で、専有部分については満たしていないケースが多くあります。購入希望者にとって、該当部分を切り離して単独の一戸建てにできるかどうかは、重要な判断基準です。
切り離して単独にできない土地は資産価値が低く、売却価格も相場より安くなる傾向があります。
借地権付き建物であることが多いから
自分の土地と建物を所有している場合、他の住人の同意を得れば長屋を売却することができます。
しかし、地主が所有する土地を借りて自分の資金で家を建てている「借地権」の場合、住民の同意だけでは売却できず、土地の所有者である地主と交渉をしなければなりません。
住人が変わらなければ安定した賃料収入が得られるため、オーナーは借地権の売却を敬遠しがちです。許可を得るために礼金を支払う必要があり、売却はさらに難しくなります。
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物理的な切り離しが難しいから
長屋の物理的な切り離しは、実行するまでのハードルが高い傾向にあります。事前に次の項目についてすべての住人に説明し、再建築の承諾を得る必要があります。
- 施工中の騒音や振動に配慮に関する説明
- 切り離し後に隣家の住宅強度を保つための補強方法に関する説明
すべての住人に納得してもらうまで、根気強い準備と説明が求められます。
長屋の主な売却方法

長屋の売却方法は、主に以下の2通りがあります。
- 不動産会社による直接買取
- 不動産会社の仲介による売却
不動産会社による直接買取
長屋の売却方法の1つとして、不動産会社による直接買取が挙げられます。長屋は扱いが複雑であるため、買手が付きにくい傾向にあります。
そこで、購入希望者を探さずに不動産会社に直接買取を依頼すれば、売主は物件をより早く手放せるだけでなく、仲介手数料も節約できます。
ただし、直接買取は仲介と比べて価格相場が7〜8割程度となります。そのため、少しでも高く売りたい人にとっては向いていない方法といえます。
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不動産会社の仲介による売却
長屋をより高く売却できる可能性がある方法として、不動産会社の仲介が挙げられます。
不動産会社は市場動向や地域の特性を熟知しており、適切な価格設定や効果的な広告活動を行うことで、買手を見つける手助けをしてくれます。
また、購入希望者との交渉や契約手続きなど、複雑なプロセスも専門的にサポートしてくれるため、売却がスムーズに進むでしょう。
特に、長屋のような特殊な物件では、プロのアドバイスが必須です。自分に合う、かつサポートが充実している不動産会社に依頼することで、安心して売却を進められるでしょう。
長屋を少しでも早く・高く売却するためのポイント

ここでは、長屋を少しでも早く・高く売却するためのポイント5つを解説します。
- 自分でも知識を蓄えておく
- スケジュールに余裕を持っておく
- 隣家の所有者に売却を提案する
- 他の部屋を買取してから売却する
- 仲介の場合は複数の不動産会社に査定を依頼する
自分でも知識を蓄えておく
長屋の売却を検討する際には、自分でも基本的な知識を蓄えておくことをおすすめします。
実際に一通りの流れを把握しておくことで、不動産会社に買取や仲介を依頼する際にスムーズに売却を進めることができます。
例えば、接道義務や再建築不可物件の取扱いをはじめ、不動産取引に関わる法律をおおよそでも把握しておくとよいでしょう。
また、市場価格の動向を把握することも大切です。類似物件の売却事例や、現在の市場価格などを調べ、適正な価格設定を行いましょう。不動産一括査定サイトを活用して、複数の不動産会社から査定を受けることで、市場価値を客観的に把握することができます。
スケジュールに余裕を持っておく
長屋の売却を成功させるためには、スケジュールに余裕をもって準備を進める必要があります。
長屋は一戸建てとは異なり、売却までの流れや手続きが複雑であり、計画的に進めることが求められます。
時間の余裕があれば物件の状態を確認し、必要な修繕や清掃を行うことで、物件の魅力を高めることも検討できます。並行して、必要書類の準備や不動産会社との打ち合わせも時間がかかるため、余裕を持ったスケジュールを設定しておきましょう。
長屋は一般的に買手が付きにくいため、広告活動やオープンハウスの開催など、多角的なアプローチが必要です。購入希望者が現れた後も、契約手続きや引き渡しまでには多くのステップを踏まなければなりません。
手続きは行政も関わることから、想定外の遅れが生じることもあるので、余裕を持ったスケジュールを組むことで、スムーズに進行できる可能性が高まります。
隣家の所有者に売却を提案する
長屋の売却を検討する際に、隣家の所有者に売却を提案することも選択肢の一つです。
長屋は隣接する住戸と密接な関係にあるため、隣家が買取を希望する場合、売却手続きがスムーズに進む可能性があります。
まずは、隣家の所有者に売却の意思を伝え、相手の購入意欲を確認します。買取価格の交渉を慎重に進め、双方にとって納得のいく条件を見つけることが重要です。
他の部屋を買取してから売却する
自らが長屋の他の部屋を買取して、全体の所有者になってから売却する方法もあります。 一棟丸ごと売却できるので、買手が見つかりやすくなり、高値での売却が期待できます。
しかし、自身で買取するため、当然ながら資金と時間が必要です。資金不足や、買取交渉が難航するリスクがあり、買取した部屋の維持費や管理費が発生するデメリットもあります。
費用対効果を見誤ってしまうと、結果的に損失を生む結果となってしまうため、余裕を持ったスケジュールと資金計画が必要です。
仲介の場合は複数の不動産会社に査定を依頼する
不動産会社に長屋売却の仲介を依頼するのであれば、複数社に査定を依頼しましょう。
なぜなら、不動産会社にはそれぞれ得意分野があり、長屋の売却に特化した会社選びが重要になるからです。また、1社のみに査定を依頼しただけでは、適正価格や根拠を見極められません。
少しでも早く・高く売却するためには、不動産一括査定サイトなどを利用しながら、複数社に査定を依頼することが重要だといえます。
長屋の売却に関するよくある質問
最後に、長屋の売却に関するよくある質問を紹介します。
- 長屋のメリット・デメリットは?
- 長屋の売却で起こりうるトラブルは?
- 相続した長屋を売却する場合の注意点は?
長屋のメリット・デメリットは?
長屋のメリット・デメリットをまとめると、以下の通りです。
| メリット | ● 土地の有効活用がしやすい ● 隣接する住戸とコストを分担できる ● 建設費や維持費が比較的抑えられる ● 地域社会とのつながりが強くなる |
| デメリット | ● プライバシーの確保が困難になる ● 騒音やにおいなどのトラブルが生じやすい ● リフォームや増改築が制約され自由度が低くなる |
これらのメリット・デメリットを理解した上で、売却に向けた準備を進めることが重要です。
長屋の売却で起こりうるトラブルは?
長屋の売却において起こりうるトラブルとして、以下が挙げられます。
| 想定トラブル | 起こりうる事象 |
| 境界線や共有部分の管理に関するトラブル | 隣家との境界線が不明確である場合や、共有部分の使用権について問題が生じる |
| 買手との価格交渉や契約内容に関するトラブル | メンテナンス費用や使用権に関する取り決めの問題や、引渡し後に不備が見つかるなどが生じる |
| 手続きや書類の不備に関するトラブル | 必要な書類に不備があり、手続きが滞り、売却が遅延する |
| 相続問題に関するトラブル | 相続登記が未完了であり、売却自体が進められなくなる |
上記のトラブルを未然に防ぐためには、事前に各専門家のアドバイスを受けることが大切です。
相続した長屋を売却する場合の注意点は?
前述した通り、相続した長屋を売却する場合は、まず相続登記漏れに注意しましょう。完了していない場合、売却手続き自体が進められないため、速やかに手続きする必要があります。あわせて、相続税の評価や納税義務についても確認しておきましょう。
また、相続人が複数いる場合には、該当者全員の同意も得なければなりません。同意を得られない場合、売却手続きが遅れるおそれがあります。
長屋を売却するなら知識と最適な手段の把握が重要
長屋の売却を成功させるためには、複雑な法律や売れにくい背景知識を理解したうえで、自分に合った選択肢を選ぶことが重要です。
仲介を依頼して、複数の不動産会社から査定を受取ると、より適正な価格を把握しやすくなります。また、プロと一緒に最適な売却戦略を立てられれば、より早く・高く売却できる可能性が高まります。
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記事執筆・監修
監修者:山口 貴弘(やまぐち たかひろ)
金融系に特化したライター。2級FP技能士として執筆業を中心に活動中。マーケティング会社でWebディレクターを経て、現職は生命保険会社。資産運用や不動産、保険の記事を中心に編集・監修も担当。