商品を買うのとは違って、リノベーションには一般に価格が付いていません。では、自分のやりたいリノベがいくらでできるのかを知るにはどうすればいいのでしょうか? そのためにまずはリノベ費用の相場をつかんでおきましょう。

マンションと一戸建てリノベ費用の相場を知る

マンションリノベと一戸建てリノベに分けて、工事の規模ごとに相場を紹介します。

マンションリノベの費用相場

60~80m²程度のマンションのリノベ費用をざっくりと3段階に分けてリノベの相場を紹介しましょう。

①水回り交換リノベの費用相場は200万~300万円

キッチン、バス、洗面室、トイレの水まわり機器を位置移動することなく、全部交換し、洗面室やトイレの内装費用も加えた場合の費用です。配管工事も既存配管との接続程度しか必要ではなく、リノベ費用はほぼ設備機器代が占めます。

②水回り交換+内装一新リノベの費用相場は300万~500万円

LDKや各個室の内装を替える工事は、専有面積60~80m²程度の規模のマンションで、100万~200万円程度。機器代と合わせて300万~500万円程度です。無垢材のフローリングなど自然素材を用いるとさらに費用は上がります。

③間取り変更も含む大規模リノベの相場は700万~1,000万円

マンションの場合、内部空間を解体するとコンクリートの躯体だけが残ります。それをスケルトンの状態と呼びます。

例えばLDKと隣室を解体して、一体の広い空間をつくりだす、さらにほかの部屋も解体して、つくりなおす、といったスケルトンリノベがよく行われています。

こうしたスケルトンリノベの場合、60~80m²程度の規模のマンションで、標準的な設備・建材を使用した場合のリノベ費用は700万~800万円が目安となります。施工面積が広くなったり、設備・建材のグレードを上げると費用がアップします。

一戸建てリノベの費用相場

①水回り交換リノベの費用相場は200万~300万円

キッチン交換など設備機器を取り替える工事は、位置移動がなければ、施工内容はマンションと変わらないので、リノベ費用も同じ程度です。

②水回り交換+内装一新リノベの費用相場は400万~700万円

内装工事は用いる材料が同じなら施工面積が多くなるにしたがって費用が増えます。延床面積が120m²程度の場合、60~80m²程度のマンションのざっと2 倍程度の200万~400万円が費用の相場。機器代も含めて400万~700万円程度です。

③間取り変更や性能向上も含む大規模リノベの相場は1,000万~2,000万円

一戸建ての場合、劣化した柱や土台など構造部の交換、耐震性がよくない場合の耐震補強、断熱性がよくない場合の断熱工事など構造がらみのリノベ工事が必要になることが多いです。築年数が古いほど構造がらみの工事は必要なケースが多くなります。

一戸建ては、マンションより施工面積が増えることに加えて、こうした構造がらみの工事をすることによって、マンションよりもリノベ費用が大きくアップすることが多いのです。

築年数が比較的新しく、構造がらみの工事が必要でなければ、間取り変更込みでも800万~1,000万円程度でできることも多いです。

リノベ費用が変わるポイント

リノベ費用がどこでアップ・ダウンするのか、そのポイントをまとめます。

①設備・建材のグレード変更

システムキッチンもシステムバスもさまざまなグレードの商品が揃っており、どれを選ぶかでリノベ費用が大きく変わります。オプションパーツを加えることも費用アップに影響します。またキッチンなどをオリジナルで造作するのも費用アップの原因になりがちです。

建材では例えば、床材を複合フローリングから無垢材に変えることで、床の張り替え費用が一気に2倍くらいになることもあります。ビニールクロスを珪藻土など塗り壁に変えても同様に費用がアップします。

逆に、リノベ費用の見積もりが予算を超えてしまった場合は、グレードを見直すことでダウンできます。

②水まわり設備機器の位置の移動

システムキッチンを例えば壁づけから対面に位置を移動すると、配管やダクト工事をやり直す必要があります。合わせて、腰壁の造作工事、内装工事や電気工事なども必要に。

それらの工事が加わるために、位置を変えない設備交換よりもかなりの費用アップとなります。標準的なグレードの機器を採用し、位置を変えないキッチン交換が70万~80万円程度だとすると、位置を移動すると150万~200万円程度になります。

③間取り変更の有無

リノベーションで間取り変更をすると費用がぐんとアップします。これは、既存の内部空間を解体・撤去する費用、新しく木工事、電気工事、内装工事、給排水工事、収納造作などの費用がすべてかかるためです。

もちろん新しい空間を設計する費用もかかります。

実際にかかる費用は見積もりをもらってわかる

リノベ費用の目安について述べてきましたが、個々のリノベは、施工面積もリノベに対する要望もそれぞれ異なります。したがって実際にかかるリノベ費用は、リノベ会社としっかり打ち合わせをして、見積もりをもらうことで初めてわかります。とはいえ目安を知ることで、資金計画の参考になるでしょう。

定額制リノベという選択肢も

一般のリノベとは違って、「定額制リノベ」は、リノベ会社があらかじめ仕様(設備・建材・間取り変更の範囲など)と価格を決めているリノベーションです。その仕様を逸脱しなければ、提示された金額でリノベができます。定額制リノベの場合は、仕様をすべて確認して選択することが大切です。