中古物件は築年数も劣化状態もまちまち。しかし、判断する基準が不明確で、どうやって選んでよいのかわからないという人も多いでしょう。

そこで中古物件を安心して購入し、リノベーションするために、物件を見極める参考となる指標を紹介しましょう。

中古物件を安心して購入できるようにと国や業界団体などが指針を設けた制度が増えています。主な制度について、以下に説明しましょう。

耐震基準を満たし、インスペクション済みの「安心R住宅」

「安心R住宅」は、国土交通省が創設し、2017年12月に施行された制度です。一定の要件を満たす中古物件に「安心R」のマークが付けられ、広告などに表示されます。

安心R住宅の主な要件は以下のとおりで、耐震性が担保されていることや不具合などがないこと、マンションの場合は管理規約や長期修繕計画も作成されていることなどが必要とされています。

安心R住宅の主な要件

・新耐震基準を満たすか耐震診断で安全性が確認されている
・専門家の検査で構造上の不具合・雨漏りが認められない
・マンションの管理規約および長期修繕計画があり、その内容を開示できる
・リフォーム済み、リフォームしていない場合は費用のわかるプランを提案する
・修繕履歴(マンションは共用部の大規模修繕も)や建築時の設計図、保険や保証などの情報が開示される

上記の要件を満たす住宅が「安心R住宅」として市場に出ています。一定の検査を経て、安心できる中古物件であると認められたものなので、買う人にとっては安心の目安のひとつとなります。

不動産のポータルサイトで検索するか、不動産会社に相談して物件を紹介してもらい、予算や立地などが条件に合うかどうかを判断して購入の検討をしましょう。

性能の目安になり、一定期間金利の引き下げもある「フラット35S」

「フラット35」は住宅金融支援機構と民間金融機関の提携による全期間固定金利の住宅ローンです。同機構が定める技術基準を満たす住宅が融資の対象で、面積要件などのほか、耐火性や耐久性、耐震性、マンションの管理・長期修繕計画などについて定めています。

この基準をベースにさらに性能要件を加えたのが「フラット35S」。省エネ性、耐震性、バリアフリー性、耐久性・可変性のうちいずれか1つ以上の基準を満たす住宅であることがその要件となります。「フラット35S」の要件を満たすと、性能によって当初5年間または10年間の金利が0.25%引き下げになります(2020年3月31日までの融資申込受付分に適用。予算金額に達した場合はその時点で受付を終了)。

性能の高さが検査によって認められており、金利も安くなり、買いやすくなるのが「フラット35S」です。

配管・配線などを検査し、必要な改修を行った「適合リノベーション住宅」

「適合リノベーション住宅(適合R住宅)」は、リノベーション協議会が定める基準に沿ったリノベーションが施された住宅のことです。マンションの住戸については、給排水管、ガス配管、電気配線、浴室防水、内装下地など重要なインフラ13項目について検査基準を設けています。

基準に則して検査をした上で、必要な改修を施し、その記録を履歴情報として保管します。また、検査した部分について2年以上の保証も付いています。一戸建てについては、必要な場合に耐震補強を行い新耐震基準に適合させることが条件となっています。

リノベーション済といっても、配管の状況など外から見えない部分がどうなっているのかについて不安をもつ人も多いでしょう。その点「適合リノベーション住宅」は、外からは見えない部分の不具合をチェックし、改修されて売りに出されているのが特徴で、安心できる物件といえるでしょう。

最長5年まで保険期間がある「既存住宅売買かし保険」

中古物件の売主(個人または宅地建物取引業者)が国土交通大臣指定の保険法人または検査機関に申し込んで加入する、検査と保証がセットになった保険です。最長で5年間の保証があり、購入後に不具合が見つかったら、修理費用などに対して保険金が支払われます。

保険加入済と明記された物件は、すでに検査済、あるいは保険に加入するために必要な補修を済ませているということで、安心して購入できる物件といえるでしょう。

第三者機関が住宅検査を行う「ホームインスペクション」

2018年4月の宅地建物取引業法改正により、ホームインスペクションについて不動産会社が媒介契約時にインスペクション事業者斡旋の可否を示し、売主が希望すれば斡旋することが義務づけられました。インスペクションが行われたときは、結果を書面にして買主に説明しなければなりません。

「ホームインスペクション済」物件は、インスペクションの結果を見て購入を検討できます。問題がないことを確認して、購入の判断材料としましょう。

検査済み物件と内容がわかる「LIFULL HOME'S 住宅評価」

ここまで安心して購入できる中古物件について述べてきましたが、共通しているのは専門家による建物検査を受けていることです。

不動産ポータルサイトのLIFULL HOME'Sでは、建物の専門家による建物検査の報告書(住宅評価書)が付いた中古物件を探せるサービス「LIFULL HOME'S 住宅評価」を実施。検査結果を見比べて物件を検討できるよう、わかりやすい住宅評価書もつけています。

また、一定の基準を満たしている物件は「LIFULL HOME'S認定物件」として評価しているので、参考にしてみるのもよいでしょう。