中古マンションを選ぶ際の重要なチェック項目が修繕履歴と今後の長期修繕計画。周期的に行われる大規模修繕はマンションの耐久性に大きく影響し、資産価値の維持は大規模修繕にかかっているといっても過言ではありません。
大規模修繕はどんなことをどんな周期で行うものなのか、大規模修繕を実施しているかどうかのチェックはどうすればできるのかなどを解説しましょう。
マンションの耐久性は周期的なメンテナンスで決まる
一般にマンションの敷地や共用部分について、一定の周期で大規模修繕が行われることになっています。これは建物および設備を新築時と同等水準に維持するのが目的。
適切に大規模修繕が行われれば、そのマンションは長持ちします。
大規模修繕は12年くらいの周期で行われる
大規模修繕は十数年ごと(国土交通省の指針では12年ごと)に行なわれるものです。
修繕箇所について、どの時点でどのようなことを行うのか、適切なタイミングがあります。主な修繕箇所について、目安となる修繕周期を見ていきましょう。
・屋上防水/12年目に補修、24年目にやり直し
・床防水(バルコニー・開放廊下・階段)/12年ごとに補修
・外壁(塗装・タイル)/12年ごとに塗装は塗り直し、タイルは補修
・鉄部塗装/4年または6年ごとに塗り替え
・建具(窓・玄関ドア)/12年、24年目に点検・調整、36年目に取り替え
・給排水管/15年目に管の内部を樹脂でコーティング(ライニング)、30年目に取り替え
・エレベーター/15年目に補修、30年目に取り替え
・外構/24年目で補修または取り替え(塀など)
・共用部の照明器具/15年ごとに取り替え
・テレビアンテナなど/15年目で取り替え
(参考資料/国土交通省:長期修繕計画ガイドライン)
上記のように、大規模修繕の時期とは異なるときに修繕が必要になる箇所もあります。
また、大規模修繕の前には、修繕にあたる会社が点検・調査を行って、どこをどう修繕するかを検討します。
早くやり過ぎると不要な修繕となり、修繕積立金の無駄づかいとなりますし、遅すぎると劣化が進みすぎて、修繕費が余分にかかってしまいます。
いつ何をやるかを25年とか30年程度にわたって計画したものを長期修繕計画といいます。
大規模修繕を実施する主体は管理組合
長期修繕計画や実施内容を提案するのは、管理会社および工事の依頼を受けたメンテナンス会社ですが、計画の内容を吟味し、実施を決めるのはマンションの住民で構成される管理組合です。
したがって、大規模修繕がどのように行われるかは、住んでいる人の意識にかかわっています。管理組合が積極的に内容を検討し、意見を出すような雰囲気があれば、そのマンションの資産価値はきちんと維持されていくでしょう。
逆に建物の維持について管理組合の意識が低いと、修繕もおざなりになり、資産価値の低下を招きかねません。
購入前に大規模修繕の実施状況をチェック
マンションの修繕の状況は、仲介をしている不動産会社の営業担当者に依頼して、調べてもらえばわかります。 いつ大規模修繕を行ったのか、それ以外の時期に共用部についてどんな工事を行ったのか、修繕履歴を調べてもらいましょう。また、今後の修繕計画についても長期修繕計画書を入手してもらいましょう。
修繕積立金の収支もチェックしておく必要があります。修繕積立金が足りないと、一時金が発生する可能性があるので要注意です。
修繕積立金の目安は、専有面積1m2あたり約200円
住んでいる人が毎月支払う修繕積立金の額は、一般に新築時には低めに設定されていて、その後定期的に見直され、だんだん上がる傾向があります。
いくらぐらいが妥当なのかといえば、マンションの築年数や規模によって変わりますが、かつて国土交通省が発表した「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」(2011年)から引用をしておきます。
上記のガイドラインによると、15階建て未満のマンションで専有面積1m2あたり178円~218円です。マンションの規模が小さくなるほど額は上がります。また、機械式駐車場があるマンションではその修繕費も上記に加わります。
上記をざっくり200円/m2と見ると、例えば専有面積70m2の住戸だと、修繕積立金は月額1万4000円ということです。
なお20階建て以上のマンションについてガイドラインでは月額206円/m2となっています。
上記の修繕積立金の目安は、新築から30年までの修繕を想定した額で、それを超える築年数は考慮されていません。おそらく、築30年超になると、額は上記より上がると思われます。
まとめ
以上述べてきたように、定期的な修繕が資産価値の維持に影響するので、必ずしも築年数だけでは、マンションの善し悪しを判断できません。
長く住むことを考えると、きちんと修繕が実施されているマンションを選ぶのが、資産価値の面からも安心といえるでしょう。

