こちらの記事で、間取り図間取り図の見方と、確認しておきたいキーワードについて見てきました。 ここからは、リノベーション向き物件を探すための具体的なポイントを3つご紹介します。

point ① 「壁式構造」と「ラーメン構造」

一般的なRC構造のマンションには、「壁式構造」と「ラーメン構造」の2種類があります。 それぞれの構造にメリット・デメリットがあり、リノベーションの工事に大きく関わってきます。 理想のリノベーションのかたちがあるなら、どちらが向いているかは、この構造の違いからすぐにわかることもあります。

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ラーメン構造

ラーメンは、ドイツ語で「枠」の意味。建物を柱と梁で支える構造です。中高層以上の背の高いマンションに多くつかわれている構造です。

メリット

柱で建物を支えているので、柱と柱の間にある壁のほとんどを撤去できます。よって、間取りを大きく変更するようなリノベーションがしやすいです。

築古のマンションによくあるのは、3LDKなど部屋数が多い間取り。最近流行りの広々1LDKや1Rにしたいなら、ラーメン構造がおすすめですね。

(マンションによっては、室内に一部撤去できないコンクリート壁があったりします。ラーメン構造だからといってすべての壁が取り払えるとは限らないことを留意しておきましょう。)

デメリット

室内に柱や梁の出っ張りがあることが多いので、家具の配置がしづらい場合も。

壁式構造

壁で建物を支える構造のこと。5階建て以下の低層のマンションにつかわれていることが多いです。

室内の壁には2種類あり、構造を支える壁(耐力壁)と構造を支える上で必要のない壁(内装壁)です。構造を支える壁は撤去することはできませんが、内装壁は撤去可能です。

メリット

がっちりと壁でふんばって揺れに耐えるため、築年数が古いマンションでも耐震強度が強いものが多い。室内に柱や梁の出っ張りがないため、家具の配置もしやすい。

また、既存の壁をうまく活かしてリノベーションすれば、費用を抑えることもできます。

デメリット

耐力壁は撤去できないので、間取り変更の自由度は下がります。また、間取り図を見ただけでは、耐久壁か内装壁かの判断がしづらいです。

物件購入前にリノベーション会社の方と一緒に見に行き、判断してもらったほうが良いでしょう。

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壁式構造か、ラーメン構造かを見分けるには

物件資料には、マンションの構造についてはほとんど記載されていません。 しかし、簡単な見分け方がありますので、参考にしてみてください。

※詳細については、各マンションの不動産会社に問合せて確認をしましょう。

①間取り図で見分ける

壁式構造の場合は、角の出っ張りがなく、ラーメン構造は部屋の四隅が出っ張って描かれていることが多いです。

②建物の階数で見分ける

低層マンション(多くは5階以下)で採用されやすいのが壁式構造。高層マンションの場合は、ラーメン構造が多いとおぼえておきましょう。

point② 自由に変えられる? 「水回り」の位置

明るい窓側の部屋にキッチンを移動させたい。トイレの位置を変えたい。水回りの移動はどこまで出来るのでしょうか?

水回りの位置を左右するポイントは、「PS」です!「PS」とは、「パイプスペース」の略字で、上階から外階にまで繋がっている配管スペースのことを指します。間取り図に記載してあることが多いので、注意して見てみましょう。(PSとは記載がなく、黒く塗りつぶされて表示されている場合も。)

キッチンやお風呂といった水回りからそれぞれ床の下に給水管・排水管が通り、その管がさらにPSにつながって排水や給水がされます。特に排水は、勾配を利用して高いところから低いところに流れるようになっています。

よって、床下の高さがある場合は、水回りの位置を比較的自由に移動させることができます。床下が低ければ、移動は難しくなります。

また、築年数の古いマンションによく見られるタイプとして、階下の天井裏を排水管が通っている場合は、配水管が動かせないため、移動は難しいです。

しかし、一見移動が難しそうな場合でも、床を上げる勾配を確保する、ポンプをつけて水を送るなどの方法もあります。希望の物件が見つかった場合は、リノベーション会社など専門家に相談してみましょう。

point③ 窓や玄関の位置は変えられない

マンションの窓、バルコニー、玄関の表側などは、専有部分ではなく、共有部分です。 位置を変える・窓を増やすなどの共有部分に関わる工事は基本的に認められないので、そうしたリノベーションはできません。

つまり、ほしいところに窓がない、玄関の位置が気に入らないなどの懸案事項がある場合は、自分がリノベーションをして暮らすには適さない物件ということです。

共有部分についても納得できる物件を選ぶことが、長く快適に暮らすためのポイントだといえるでしょう。

まとめ

中古マンションの情報は、ネットにも、雑誌にも、不動産会社の店頭にも溢れています。山のようにある物件の中から、自分の理想のリノベーションを叶える部屋を探すのはなかなか大変。

しかし、間取り図を見て、構造などもチェックしていけば、ある程度はふるいにかけることができますよ。

ただし、マンションの管理規約・共有部分の情報など、間取り図や資料には記載されていないことや、見ておくべきポイントはまだまだあります。

自分の力だけで頑張りすぎず、信頼できるリノベーション会社の担当者を見つけ、相談しながら物件を探すことをおすすめします。