理想のリノベーションを叶えるためには、土台となる物件選びが肝心。しかし、数ある中古物件から、リノベーション向き物件をどうやって見つけたらいいのでしょうか。
判断するヒントのひとつは、「間取り図」。 情報がたくさん詰まった「間取り図」を読み解けば、物件探しはもっと楽になります。 今回は、「間取り図」の見方と、リノベ向きマンションのポイントについてまとめてみました。

間取り図を読み解くための「5つのキーワード」

中古マンションを探す際に、ネットや雑誌で参考にしている「間取り図」。平米数と部屋の配置だけを見て、なんとなくわかったつもりになっていませんか?

間取り図には、広さと部屋の配置だけではない情報も盛り込まれています。 そんな間取り図を読み解くためのキーワードを5つ、ご紹介します!

keyword① 広さの単位

間取り図でよく使われているのは、「m²(平米)」と「帖」です。 畳一枚分の広さを「帖(畳)」とよび、不動産業界では、「1帖=1.62m²」という基準があります。(帖と畳は基本的には同じ意味)

平米数は、部屋の長さと奥行きを掛けた面積。 この平米数を、1.62で割ると、帖数に換算することができます。

たとえば、30m²のマンションは、約19帖ということになります。畳19枚分の広さですね。

keyword② 「内法面積」と「壁芯面積」の違い

マンションの専有部分の面積を判断するとき、その面積が「内法面積」か「壁芯面積」かを理解しておく必要があります。

内法面積とは、柱で囲まれた内側で測定した建物の面積。壁芯面積とは、壁・柱の厚さの中心線で測定した建物の面積。つまり、同じ物件で比べた場合、壁芯面積の方が、内法面積よりも大きい数字になります。

不動産登記面積は、マンションの場合は内法面積になります。 しかし、マンション広告の間取り図に書かれている面積は、壁芯面積であることが多いため、注意が必要です!

壁芯面積と内法面積の差は一般的に5~6%と言われています。壁芯で51m²の物件は不動産登記面積(内法)では49平m²弱となります。

住宅ローン控除など、さまざまな税金優遇制度で、適用条件に占有面積の広さが条件として関わってきます。この面積の差が非常に重要ですので、押えておきましょう!

keyword③ 「間取りパターン」「窓」「バルコニー」をチェック

間取り図でぱっと目に入るのは、間取りパターンですね。 マンションの間取りパターンには、大きく3つがあります。

1)田の字型

いちばんポピュラーな形です。玄関を入ると、リビングに向かって廊下が伸び、左右に部屋、トイレ・お風呂がある間取りです。 概して南向きの部屋を中心に設計されているので、日当りが良い物件が多いのも特徴です。

共用廊下にも部屋が面することになるので、一部、プライバシーが気になる箇所もあることをおぼえておきましょう。

2)センターイン型

玄関が側面の中央に位置しており、左右に部屋がつくられているパターン。高級マンションによく使われる間取りです。

廊下面積が小さく済むため、リビングや各部屋の居室面積が広くなります。田の字型に比べると、複雑な間取りのため、建設費用が高く、物件価格・管理費も高めに設定されることが多いタイプです。

3)タワーマンション型

その名の通り、タワーマンションに多く見られる間取りです。バルコニー側の居室が広く取られ、開放感があって、日当り・風通しもいい部屋が多くできます。共用廊下が屋内にあるため、玄関側の風通し・日当りは条件が下がります。価格は高めです。

ほかにも、間取り図では、 ・窓、扉の数と開き勝手 ・バルコニー形状 ・家電・家具を置くスペースなどの情報 などを確認することができます。

間取り図を見たときには、まずは間取りパターンがどうなっているかを確認し、また、住戸の向き、方角をチェックしましょう。 メインになるリビングのバルコニーがどちら側に面しているか。また、その他の窓もどの部分にいくつあるかも見ておきます。 方角と窓の数、窓の位置で、だいたいの日当りと風通しが判断できます。

そして、窓や扉などの開口部には、たくさんの種類があります。 開き勝手や場所によっては、家具の置く場所なども限られてきますので、注意が必要です。

keyword④ 「RC造」「S造」「SRC造」とは

マンションの構造には、使用する材料別に、大きく3つに分類されています。

RC構造

鉄筋コンクリート造。一般的なマンションに多く採用されている構造です。鉄筋を組んだ型枠に、コンクリートを流し込んで固めたもので、鉄とコンクリートが互いの短所を補い合うことで、強度を高めます。建物の形も比較的自由につくることができるのも特徴の一つです。

S造

鉄骨造のこと。柱や梁に鉄骨を利用しています。RC造よりも建物自体が軽くなり、大きな空間をつくることができます。オフィスビルや工場、体育館などに採用されています。軽いため、地盤への負担は少なくなりますが、風や地震などによって揺れやすいという特徴があります。

SRC構造

鉄骨鉄筋コンクリート造。鉄筋コンクリート造の芯の部分に鉄骨を入れたもので、RC造とS造の長所を取り入れた構造です。7、8階建て以上の高層マンションに見られる構造で、RC構造よりも強度があり、建築コストは高めになります。

keywoed⑤ 「築年数」で耐震基準をチェック

場所にもよりますが、築年数が古ければ、値段も安くなるのが中古マンション。 古いものでは、平米数も広く、かなりお得に見えるものもありますが、どれでもリノベーション向きだと判断していいのでしょうか? 答えはNO。 理由は、耐震基準の違いです。

1981年6月に建築基準法が改正され、耐震強度の最低基準が引き上げられました。

「新耐震基準」...1981年6月1日以降に建築確認が申請された建物
「旧耐震基準」...新耐震基準よりも以前の建物

建物の強度、安心安全を考えるなら、新耐震基準の建物を選ぶほうがベターだといえます。

※注意...築年月の日付は建築確認が降りた日と同一ではありません。建築確認申請が1981年6月1日以前に行われた場合のマンションは、旧耐震基準で設計されている可能性があります。

ただし、旧耐震基準のマンションはすべて耐震強度が低いというわけではありません。いわゆるヴィンテージマンションといわれる物件などは建設時に費用をかけて作られ、管理修繕もしっかり行ってきており現在でも十分に耐震強度を保っている、という物件もあります。

他にもそういった旧耐震基準の時代のマンションは存在していますが、一般人に判断は非常に難しいため、気になる物件があればリノベーション会社の専門スタッフと一緒に内見にいくことをおすすめします。

今回は間取り図の見方と押えておきたいポイントをお伝えしました。次回はリノベーション向き物件を探すための具体的なポイントをご紹介します。

次回

【リノベーション向きマンションの探し方】リノベーション向き物件を探すためのポイント3つ