一人暮らしの高齢者が狙われやすい理由とその実態
特殊詐欺や空き巣・居空きの最新の被害状況を公的データで確認しながら、なぜ高齢者が標的になりやすいのかを整理します。数字を知ることは、漠然とした不安を具体的な対策に変える第一歩です。
今日から実践できる防犯対策と、見落としがちな弱点
施錠の徹底や防犯カメラの設置といった基本対策に加え、多くの人が気づいていない「意外な弱点」も具体的に紹介します。まずは今住んでいる部屋の防犯設備を確認したいという方は、▶ LIFULL HOME'Sでシニア・高齢者歓迎の物件を見てみるのもひとつの方法です。
物件選び・内見時に使える防犯チェックリスト
セキュリティ設備の種類ごとの効果とコスト感を比較表で整理し、内見時にその場で確認できるチェックリストを用意しました。物件選びの判断に自信が持てるようになります。

「うちは大丈夫」「そんなにお金を持っていないから狙われない」そう感じている方ほど、実は注意が必要かもしれません。

一人暮らしの高齢者は年々増加しています。内閣府の「令和7年版高齢社会白書」によると、65歳以上の一人暮らしの者の割合は令和2年時点で男性15.0%、女性22.1%まで上昇しており、令和32(2050)年には男性26.1%、女性29.3%に達すると見込まれています(出典:内閣府「令和7年版高齢社会白書」)。一人暮らしが「特別な状況」ではなく、ごく当たり前の選択肢になりつつある今、防犯対策は一部の人だけの課題ではなくなっています。

この記事では、統計データにもとづいて高齢者が狙われやすい実態を確認したうえで、今日からできる対策と、賃貸物件を選ぶ際に押さえておきたい防犯の判断軸を、チェックリストと比較表を交えて紹介します。
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特殊詐欺の被害は、ニュースで繰り返し報じられているにもかかわらず、増加傾向に歯止めがかかっていません。警察庁の発表によれば、2025年の特殊詐欺の認知件数は全国で2万7,832件、被害額は1,423億1,000万円に達し、いずれも過去最悪を更新しました。このうち65歳以上の高齢者被害の認知件数は1万4,273件で、法人被害を除いた総認知件数に占める割合は51.3%、被害総額に占める割合は59.2%にのぼります(出典:警察庁「特殊詐欺の認知・検挙状況等について」)。

 

犯行の手口も巧妙化しています。警察官をかたって「あなたの口座が犯罪に使われている」などと不安をあおる「ニセ警察詐欺」は2025年に1万1,014件と前年から倍増し、被害額は1,005億円に達しました。電話やメールで「今すぐ」「至急」と急かされる状況こそ、詐欺を疑うべきサインだといえるでしょう。

空き巣は下見を重ね、逃げやすく見つかりにくい家を選ぶ傾向があります。高齢者は体力的に「万が一見つかっても逃げ切れる」と判断されやすく、標的にされやすい面があります。

 

侵入窃盗にはいくつかの手口があり、留守中に侵入する「空き巣」、就寝中に侵入する「忍び込み」、在宅中の隙を突く「居空き」に分類されます。ALSOKが警察庁の統計を分析した資料によると、空き巣は日中(10〜16時頃)に多く発生する一方、居空きは12〜14時頃にピークを迎え、忍び込みは深夜0〜4時に集中する傾向があります(出典:HOME ALSOK研究所「空き巣の手口や被害に遭いやすい時間帯は?」)。在宅中であっても油断できない時間帯が幅広く存在していることがわかります。

 

侵入経路については、一戸建て住宅では窓からの侵入が5割を超え、手口としては「ガラス破り」が多い一方、共同住宅(マンション・アパート)では玄関などの表出入口からの侵入が半数を超え、鍵をかけ忘れた「無締り」が主な手口となっています(出典:同上)。集合住宅に住む場合でも、「オートロックがあるから安心」と思い込まず、玄関の施錠を徹底することが重要だとわかります。

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防犯対策というと「鍵をかける」「カメラを付ける」といった基本行動を思い浮かべがちですが、実際にはもう一段階踏み込んだ視点が必要です。ここでは見落とされやすい3つの落とし穴を紹介します。

強盗の中には、市の職員や警察官、宅配業者などを装って玄関から堂々と侵入する手口があります。インターホン越しの会話だけで安心し、来訪者の身元を確認せずにドアを開けてしまうケースは少なくありません。モニター付きインターホンやドアチェーンがあっても、「使う習慣」がなければ意味がないという点が見落とされがちです。

ATMの操作に不慣れなことや、通帳・キャッシュカードの管理を自分の目の届く場所で行いたいという心理から、高齢者の家庭では現金を自宅に保管している割合が比較的高い傾向があります。空き巣にとって、現金を自宅保管している家は「効率よく盗める家」であり、結果的に標的になりやすくなります。

対策を「知っている」ことと「実践できる」ことの間には距離があります。内閣府の「特殊詐欺に関する世論調査」では、「自分は被害に遭わないと思う」と回答した人の割合は70歳以上で50.7%と、全年代の中で最も高いという結果が出ています(出典:内閣府「特殊詐欺に関する世論調査」)。過信そのものよりも、いざというときに「誰かに相談する」というワンクッションを日常的に持てているかどうかが、被害を防ぐ分かれ目になります。

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高齢者本人と、離れて暮らす家族それぞれが実践できる対策を整理しました。すべてを一度に行う必要はありません。できるところから始めることが大切です。

  • 短時間の外出でも必ず施錠する:ゴミ出しや郵便受けの確認など、数分の外出でも鍵をかける習慣をつける
  • 在宅中もドアチェーンをかける:来訪者があっても、チェーンをかけたまま対応する
  • 窓の施錠も忘れずに行う:特に浴室やトイレの小窓は見落とされやすい
  • モニター付きインターホンで相手を確認してから応対する:身分証の提示を求めることに抵抗を持たない
  • 電話は「一度切って、家族や警察に確認してから折り返す」を徹底する:その場で即答・即送金をしない
  • 多額の現金を自宅に置かない:金融機関の窓口やATM利用に不安がある場合は、家族や地域包括支援センターに相談する
  • 近隣住民と日頃から挨拶や情報交換をしておく:不審者や見慣れない車両の情報を共有できる関係を築く
  • 一人で判断せず、家族や地域の相談窓口に確認する習慣をつける:判断を急がされたら、まず立ち止まる

 

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対策を積み重ねても、建物自体の防犯性能が低ければ限界があります。ここでは、賃貸物件を選ぶ・住み替える際にチェックしたい設備を、効果とコスト感の目安とあわせて比較します。

設備主な効果賃貸での導入しやすさ
オートロック建物入口での不審者の侵入を抑制物件自体の設備のため入居時に確認するのみ。追加費用は基本的に不要
モニター付きインターホン来訪者の顔を確認してから対応でき、詐欺・強盗の入口を減らせる設備がない場合、管理会社の許可を得て工事が必要になることが多い
防犯カメラ(共用部・玄関)抑止効果に加え、万一の際の記録として機能共用部設置は物件側の設備次第。個人での室内設置は管理会社への確認が必須
管理人常駐日中の不審者の出入りを把握しやすく、緊急時の対応も早い管理人常駐物件は家賃がやや高めの傾向。物件検索時に条件を絞って探せる
防犯フィルムガラス破りによる侵入を遅らせ、あきらめさせる効果原状回復可能なタイプを選べば賃貸でも比較的導入しやすい。事前確認は必須

セキュリティ設備が充実した物件を検討したい場合は、条件を絞って一覧で比較してみると選びやすくなります。▶ LIFULL HOME’Sでセキュリティ・防犯対策が充実した物件を見てみると、エリアや家賃と合わせて比較検討がしやすくなります。

図面や写真だけではわからない防犯ポイントは、実際に内見して確認することをおすすめします。以下の項目を意識してチェックしてみてください。

  • 共用玄関のオートロックは実際に作動するか(形だけ設置されているケースもある)
  • モニター付きインターホンの映像はどの範囲まで映るか
  • 部屋の窓が人通りの少ない路地や隣接する建物の足場に面していないか
  • 1階の場合、窓に面格子や防犯フィルムが施されているか
  • 共用部の照明は夜間も十分に明るいか、死角になりやすい場所がないか
  • 宅配ボックスの有無(不在時の対面受け取りを減らせる)
  • 最寄りの交番・病院までの距離と、夜間の道の明るさ

高齢者向けの物件選びでは、防犯面に加えてバリアフリー対応や生活動線の使いやすさも重要な判断材料になります。より詳しい住まい選びのポイントは、関連記事もあわせてご確認ください。

Q1. 賃貸物件でも防犯カメラや防犯フィルムを自分で設置できますか?

A. 物件によって可否が分かれます。防犯カメラの設置や防犯フィルムの貼付は、原状回復が可能なタイプであっても、事前に管理会社や大家さんへの確認が必要です。無断での設置はトラブルの原因になるため、必ず契約前後に確認しましょう。

 

Q2. 一人暮らしの高齢者向けの物件はどこで探せますか?

A. LIFULL HOME’Sには、シニア・高齢者歓迎の物件やバリアフリー賃貸物件を条件で絞り込めるページがあります。管理人常駐やオートロックなどの設備条件と合わせて検索すると、防犯面での比較がしやすくなります。

 

Q3. 「自分は大丈夫」と思っていても特殊詐欺は防げますか?

A. 過信は禁物ですが、対策自体は難しいものではありません。電話でお金や個人情報の話が出たら一度切ること、即答せず家族や警察に確認することを習慣化するだけでも、被害リスクは大きく下げられます。留守番電話設定や迷惑電話防止機能付き電話機の活用も有効です。

 

Q4. 家族が離れて暮らしている場合、防犯面で何ができますか?

A. 定期的な連絡はもちろん、地域の民生委員や自治会との関係づくりを一緒に進めておくと安心につながります。また、物件を見直すタイミングでは、オートロックや管理人常駐など設備面の条件を一緒に検討することも、有効なサポートのひとつです。

一人暮らしの高齢者を狙う犯罪は、特殊詐欺・空き巣ともに減る気配がなく、むしろ被害額は過去最悪を更新し続けています。「今のところ何も起きていないから大丈夫」という現状維持の感覚こそが、実は一番のリスクになりかねません。

 

すべてを一度に変える必要はありません。まずは今日からできる施錠や電話対応の習慣を見直すこと、そして住まいそのものの防犯性能を見直すタイミングがあれば、設備面から底上げすることの両輪で考えることが、無理なく続けられる防犯対策につながります。

 

物件の防犯性を見直したい、あるいはご家族の住み替えを検討したいという場合は、専門的な視点で相談できる窓口を頼るのもひとつの方法です。▶ LIFULL HOME’Sで高齢者に理解ある不動産会社を探してみると、物件選びの段階から防犯面を含めて相談しやすくなります。

 

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更新日: / 公開日:2024.03.21