アパートの1階は、上階よりも家賃が安く設定されていることが多いです。コストを抑えつつ立地や条件のいい部屋に住めるのが魅力ですが、一方で注意しておきたいデメリットもいくつかあります。

今回はそのなかの一つである「湿気」について、日常生活に与える影響や注意点、自分でできる対策方法などを見ていきましょう。

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アパートの1階

 

アパートやマンションの1階は、上階と比べて湿気がこもりやすい場合があります。湿気対策を考えるうえでは、まずその原因について正しく理解しておくことが大切です。

 

1階に湿気がこもってしまう原因には、以下のようなものがあります。

湿気がこもってしまう原因

  • 地下からの湿気を取り込みやすい
  • 外からの湿度の影響を受けやすい
  • 換気が不十分になりやすい

1階の床面は地上に近い位置にあるため、地面が濡れているとその影響を強く受けてしまいます。特に雨や雪が降った後は、地下や地面の湿気によって、1階の湿度も高くなりがちです。

 

また、1階は空中階と比べて、防犯やプライバシーなどの観点から窓を開ける回数が少なくなってしまう傾向があります。換気が不十分になりやすいことも、1階に湿気がこもりやすくなる要因の一つです。

部屋干し

 

これまで見てきたように、1階はさまざまな要因によって上階よりも湿気がこもりやすいとされています。では、湿気がこもることで具体的にどのような影響が生まれるのでしょうか。

 

ここでは、3つのポイントから解説します。

 

湿度が必要以上に高くなると不快に感じるだけでなく、カビやダニなどによる健康への悪影響も懸念されます。壁や畳などにカビが発生すると、感染症やアレルギーなどを引き起こす原因になることも。

 

また、湿気が多い室内は、通常の住環境よりも食中毒の原因となる細菌が発生しやすくなります。通常以上に調理環境や食材の保管方法に気を配る必要があります。

 

カビの発生が引き起こすデメリットは、健康面への影響だけではありません。壁や床に発生したカビを放置することによって、退去時のクリーニング費用が高額になってしまうリスクもあります。

 

賃貸物件では、「通常の使用と考えられる範囲」を超えた使い方によってキズや損傷が発生した場合に、借主が原状回復の費用を負担しなければならないケースがあります。

 

カビが発生したにもかかわらず、適切な処理をしないまま放置すれば、借主の責任として費用を請求されてしまうこともあるのです。

 

湿度の高い環境では、部屋干しをしても十分に衣類が乾燥されず、生乾きになってしまいやすいです。

 

湿気を放置することで、ニオイの原因となる雑菌が繁殖してしまうため、梅雨どきなどには洗濯物の取扱いに困ってしまう場面も少なくありません。

 

特に1階で女性が一人暮らしをする場合には、防犯上の観点から衣類を室内に干すケースも多く、洗濯時に不便に感じられやすい面があります。

 

マンション1階の物件

サーキュレーター

 

1階に住むのであれば、湿気がこもることによるデメリットを理解したうえで、適切な対処法を知っておく必要があります。

 

根本的な湿気対策としては、何よりもまず「こまめな換気」が基本となりますが、ここではそれ以外に意識すべきポイントを見ていきましょう。

 

家具のレイアウトによっても、室内の通気性に大きな差が生まれます。湿気が気になる部屋では、家具を壁にぴったりつけてしまうと、逃げ道を失った湿気が背面にこもりやすくなります。

 

壁から5cm程度開けて家具を配置するように意識すると、通気性が確保されて湿気がこもりにくくなります。

 

湿度が高くなりやすい部屋ではこまめな換気を行うことが大切ですが、窓の位置や大きさによっては、通常の換気だけで十分に空気の入れ換えができないケースもあります。

 

また、1階の場合は人目が気になりやすいことから、あまり窓を広く開けられないといったこともあるでしょう。そうしたときにはサーキュレーターを活用して、空気を上手に外へ送り出す方法もあります。

 

サーキュレーターは扇風機のように「直接涼をとるため」ではなく、「空気を循環させるため」の機器であり、直線的に遠くまで風を送れる機能を備えています。

 

そのため、換気が難しい部屋でも、効率的に空気の入れ換えができるようになります。

 

クローゼットや押し入れ、シューズボックスなどの収納場所は、室内のなかでも特に湿気がこもりやすいスペースとされます。

 

大切な衣類などがダメになってしまわないよう、特に湿気がこもりやすい場所には除湿剤を設置するといいでしょう。

結露を拭く

 

基本的な湿気対策とともに、カビが発生しやすい場所と対処法についても押さえておくと安心です。

 

バス・トイレや洗面所などの水回りは湿度が高くなりやすく、カビが発生しやすいスペースです。

 

特に入浴後は湿気が脱衣所や洗面所に移りやすくなるので、すぐに換気をするとともに、必要に応じてタオルなどで水気を拭き取ることも大切です。

 

窓の周辺は外の湿気や結露などで濡れやすく、カビが生えやすい場所の一つです。結露が発生しているときには、ガラス面やサッシの水滴をこまめに拭き取りましょう。

 

そして、意外に見落としてしまいがちなのがカーテンのカビです。カーテンがガラス面に接していると、湿気がたまってカビが発生する原因に。窓との隙間をある程度確保し、床に裾がぴったりつかないように設置するとカビ対策になります。

 

また、水洗いできるタイプのカーテンを選び、こまめに洗濯をして汚れを落とすのもポイントです。

 

前述のとおり、空気が停滞しやすい収納や押し入れは湿気がこもりやすい場所です。特に洗面所などの水回り空間に隣接している収納は、背面からの湿気に影響を受けてしまうケースがあるので注意しましょう。

 

収納スペースは定期的に扉を開けて空気の入れ換えを行い、すのこなどで荷物と床の間に隙間を設けておくことが大切です。

 

マンション1階の物件

 

ここまで、1階のデメリットである湿気について詳しく解説しました。しかし、1階にもさまざまなメリットがあるので、適切な対処法を知っていれば、住みやすいと感じる人もいます。

 

ここでは、1階のメリットに触れながら、1階に住むのに適した人の特徴について見ていきましょう。

 

1階のメリットは、冒頭でも触れたように「2階よりも家賃が安い」ところにあります。同じ家賃設定でも、より好立地の部屋や設備の充実した部屋に住めるのは大きなメリットです。

 

また、階段を使わずに外へ出られるので、「日常の買い物やゴミ出しが楽」「荷物の搬入がしやすい」「災害時に避難しやすい」といったメリットもあります。さらに、「階下への足音を気にせずに済む」点も1階ならではの魅力です。

 

アパートの1階に向いているのは以下のような特徴を持った人です。

アパートの1階に向いている人

  • 家賃を抑えたい男性
  • 小さなお子さんがいる世帯
  • 庭を広く使いたい人

1階は防犯面に不安を感じやすいことから、一人暮らしであれば女性よりも男性のほうが適しているといえます。また、一般的に低層階は虫が入りやすいとされているため、虫がそれほど苦手でなければ、家賃の安い1階は有力な選択肢となるでしょう。

 

また、部屋の中を走り回るような小さなお子さんがいる世帯では、どうしても騒音トラブルが気になるので、1階のほうが住みやすいと感じるケースがあります。1階であれば、小さなお子さんを連れて外出するときもスムーズです。

 

物件によっては、1階の居住者だけが使える専用庭が整えられていることも。家庭菜園やガーデニングなどを楽しみたい人にも向いています。

アパート

 

  • 1階は地面の湿気に影響を受けやすく、換気の頻度も少なくなりがちなため湿気がこもりやすい
  • 湿気がこもると不快感を覚えるだけでなく、健康面に悪影響を及ぼしたり退去時のクリーニング費用が高額になったりする可能性がある
  • こまめな換気と風通しを考慮した家具配置が換気対策の基本
  • 必要に応じてサーキュレーターや除湿剤を活用しよう
  • 湿気がこもりやすい場所を把握して、重点的にカビ対策を行うことがポイント
マンション1階の物件

更新日: / 公開日:2022.02.24