賃貸物件への入居を検討している場合に、一番気になるのが多いのは“月額家賃“ではないでしょうか。しかし賃貸に暮らす際は、毎月の家賃を支払う前に、「初期費用」としてある程度まとまったお金が必要であることも忘れてはいけません。
今回は、「これから初めての一人暮らしを始める」「同棲を始めたい」など賃貸物件への入居を考えている方へ、初期費用とは何か、その内訳と相場、また安く抑える方法などの情報をご紹介していきます。
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賃貸物件における初期費用とは?

賃貸物件への入居を希望する場合、大家さんや管理会社と、賃貸借契約を結びます。その契約金としてかかるのが、敷金や礼金などを含めた“初期費用”です。
初期費用を支払うタイミングは、入居審査後、賃貸借契約の前後で支払うのが一般的です。支払い方としては現金のほか、指定された口座への振り込みや、クレジットカード払いです。支払いは期日が設けられることが多く、もし遅れた場合は契約取り消しや違約金が発生する恐れもありますので、期日は厳守しましょう。
賃貸物件における初期費用の内訳相場

部屋を借りる際は、物件の契約費用として以下の初期費用がかかることになります。費用の目安は月額家賃の5~6ヶ月分程度です。ただし、この他に引越し費用や家具・家電の購入費用が必要となることも考慮しておきましょう。
では、初期費用の内訳と相場を詳しくみていきましょう。以下でいう“月額家賃”とは、管理費・共益費を含んだ金額を指しています。
基本的に必要となる費用
賃貸物件に暮らす際に最低限必要となる初期費用は、以下の6つです。
敷金
滞納家賃が発生した場合の担保として、また退去時の原状回復費用として、大家さんあるいは管理会社に預けておくお金です。西日本での“保証金”と似た性質をもちます。家賃の滞納がなく、退去時に原状回復が不要な状態であれば、全額返金されることが多いでしょう。
敷金の相場は、一般的に“月額家賃の1ヶ月~2ヶ月分”です。なかには、敷金がかからない物件も存在します。
礼金
礼金とは大家さんへの謝礼金のことです。こちらは日本独特の慣習であり、返還されない費用です。礼金の相場は地域によっても変わりますが、目安としては “月額家賃の0~2ヶ月分”程度でしょう。
仲介手数料
物件を紹介・仲介してくれた不動産会社へ支払う手数料です。仲介手数料の上限は月額家賃の1ヶ月分(+消費税)と決められています。相場は上限額の1ヶ月分、あるいは0.5ヶ月分ですが、不動産会社によっては営業努力により仲介手数料をゼロに設定しているところもあります。
日割り家賃・前家賃
契約月の賃料として、入居日~月末までの分を日割り計算して支払うお金が“日割り家賃”です。前家賃とは、賃貸借契約時に前もって支払っておく、翌月分の家賃1ヶ月分のことです。前家賃については、月の前半に入居した場合は不要となるケースもあります。
ちなみに日割り家賃と前家賃は、管理費・共益費を含めた金額で計算します。
火災保険料
火災を起こしてしまった際、大家さんへの賠償責任や他のお部屋への損害賠償を補償するために加入する任意保険です。任意保険であるものの、賃貸借契約の条件として加入が義務付けられていることがほとんどです。契約期間は2年が基本で、相場は1万5,000~2万円です。
なお、火災保険の補償範囲は火災だけでなく、落雷や破裂、爆発、風災、水害、雪害など多岐にわたり、自分が所有する家財も補償の対象となります。
鍵の交換費用
鍵の交換については、新入居者が防犯上必要と考えた場合に、大家さんや管理会社に依頼して自費負担で行うものです。退去した人が合鍵を持っているケースもありますので、鍵の交換は必ずしたいところです。鍵の交換費用は1万~2万円ほどが相場です。
物件によって必要となる費用
物件によっては、以下の初期費用もプラスされます。
保証料
親や親族が定年後・高齢の場合は、連帯保証人として認められない場合もあります。連帯保証人をたてられない際は、家賃保証会社へ加入する必要が出てきます。
家賃保証会社への保証料については、初回のみ固定金額(1万~3万円)、または月額家賃の0.3ヶ月~1ヶ月分ほどを支払うケースが多いです。契約更新時に再度支払いが必要となるケースもありますので、注意しましょう。
クリーニング費用
“敷金ゼロ”の物件を選択した場合、その代わりとして、物件のクリーニング費用を前もって請求されることがあります。クリーニング費用の相場は、1R~1DKで約3万~5万円、1LDK〜2DKで約5万円です。
室内の消毒費用
室内の消毒費用とは、入居前に害虫駆除や消毒殺菌を行う場合にかかる費用です。昨今のコロナ禍では特に、オゾン除菌を行うケースも増えてきています。1R(~30m2未満)の室内をオゾン除菌、脱臭、除菌拭きした場合の相場は、約1万2,000円~です。
賃貸物件を探す【賃料別】賃貸物件における初期費用のシミュレーション

それでは、月額家賃(管理費・共益費を含む)を6万円~16万円まで想定し、それぞれで最低限かかる初期費用をシミュレーションしてみましょう。前提として部屋の広さは1R(~30m2未満)、入居日は21日に設定、前家賃はなし、保証料は月額家賃によるとします。
<家賃6万円の場合>
・基本的に必要となる初期費用
項目 | 金額 |
|---|---|
敷金(1ヶ月分) | 6万円 |
礼金(1ヶ月分) | 6万円 |
仲介手数料(0.5ヶ月分) | 3万円 |
日割り家賃・前家賃 | 2万円 |
火災保険料 | 1万5,000円 |
鍵の交換費用 | 1万円 |
合計 | 19万5,000円 |
・物件によってプラスされる費用
項目 | 金額 |
|---|---|
保証料(0.3ヶ月分) | 1万8,000円 |
クリーニング費用 | 3万円 |
室内の消毒費用 | 1万2,000円 |
合計 | 6万円 |
家賃が6万円の場合は、合計で19万5,000円の初期費用が最低限かかります。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
【家賃6万円の初期費用はいくら? シミュレーションから安く抑える方法まで紹介】
<家賃8万円の場合>
・基本的に必要となる初期費用
項目 | 金額 |
|---|---|
敷金(1ヶ月分) | 8万円 |
礼金(1ヶ月分) | 8万円 |
仲介手数料(0.5ヶ月分) | 4万円 |
日割り家賃・前家賃 | 2万6,666円 |
火災保険料 | 1万5,000円 |
鍵の交換費用 | 1万円 |
合計 | 25万1,666円 |
・物件によってプラスされる費用
項目 | 金額 |
|---|---|
保証料(0.3ヶ月分) | 2万4,000円 |
クリーニング費用 | 3万円 |
室内の消毒費用 | 1万2,000円 |
合計 | 6万6,000円 |
家賃が8万円の場合は、少ない場合でも合計で25万1,666円の初期費用が必要です。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
【家賃8万円の初期費用はいくら? シミュレーションから安く抑える方法まで紹介】
<家賃12万円の場合>
・基本的に必要となる初期費用
項目 | 金額 |
|---|---|
敷金(1ヶ月分) | 12万円 |
礼金(1ヶ月分) | 12万円 |
仲介手数料(0.5ヶ月分) | 6万円 |
日割り家賃・前家賃 | 4万円 |
火災保険料 | 1万5,000円 |
鍵の交換費用 | 1万円 |
合計 | 36万5,000円 |
・物件によってプラスされる費用
項目 | 金額 |
|---|---|
保証料(0.3ヶ月分) | 3万6,000円 |
クリーニング費用 | 3万円 |
室内の消毒費用 | 1万2,000円 |
合計 | 7万8,000円 |
家賃が12万円の場合は、合計で36万5,000円の初期費用が最低限かかります。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
【家賃12万円の初期費用はいくら? シミュレーションから安く抑える方法まで紹介】
<家賃14万円の場合>
・基本的に必要となる初期費用
項目 | 金額 |
|---|---|
敷金(1ヶ月分) | 14万円 |
礼金(1ヶ月分) | 14万円 |
仲介手数料(0.5ヶ月分) | 7万円 |
日割り家賃・前家賃 | 4万6,666円 |
火災保険料 | 1万5,000円 |
鍵の交換費用 | 1万円 |
合計 | 42万1,666円 |
・物件によってプラスされる費用
項目 | 金額 |
|---|---|
保証料(0.3ヶ月分) | 4万2,000円 |
クリーニング費用 | 3万円 |
室内の消毒費用 | 1万2,000円 |
合計 | 8万4,000円 |
家賃が14万円の場合は、合計で42万1,666円以上の初期費用が必要です。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
【家賃14万円の初期費用はいくら? シミュレーションから安く抑える方法まで紹介】
<家賃16万円の場合>
・基本的に必要となる初期費用
項目 | 金額 |
|---|---|
敷金(1ヶ月分) | 16万円 |
礼金(1ヶ月分) | 16万円 |
仲介手数料(0.5ヶ月分) | 8万円 |
日割り家賃・前家賃 | 5万3,333円 |
火災保険料 | 1万5,000円 |
鍵の交換費用 | 1万円 |
合計 | 47万8,333円 |
・物件によってプラスされる費用
項目 | 金額 |
|---|---|
保証料(0.3ヶ月分) | 4万8,000円 |
クリーニング費用 | 3万円 |
室内の消毒費用 | 1万2,000円 |
合計 | 9万円 |
家賃が16万円の場合は、合計で47万8,333円の初期費用が最低限かかります。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
【家賃16万円の初期費用はいくら? シミュレーションから安く抑える方法まで紹介】
基本的には、月額家賃によって初期費用も大きく変わってくることが分かります。
初期費用を抑える4つの方法

初期費用を抑えるには、家賃が安い物件を選ぶことが一番効果的です。ただし物件によっては築年数が経過していたり、駅から遠かったりなど、希望する条件に当てはまらないことも考えられます。
立地や築年数などにもこだわり、少しでも初期費用を抑えたい場合、以下の4つの方法があります。
1.敷金・礼金なしの物件を選ぶ
敷金や礼金がゼロの物件を選んだ場合は、合計で家賃2ヶ月~4ヶ月分に抑えられます。ただし上記で解説したように、入居前に別途でクリーニング費用を請求されることもありますので注意しましょう。
2.仲介手数料なしの物件を選ぶ
仲介会社が受け取れる仲介手数料は、「貸主(大家さん)+借主(入居者)=家賃1.1ヶ月分」が法律上の上限です。貸主・借主の承諾があった場合を除いては、貸主および借主それぞれから受け取れる仲介手数料の額は、家賃0.55ヶ月分以内とされています。
3.フリーレント物件を選ぶ
フリーレント物件とは、入居後に一定の期間は家賃が発生しないという、特典付きの物件のことです。その期間は一般的に1ヶ月~3ヶ月ですが、物件によっては半年間という物件もあります。ただし、フリーレント後の契約期間が条件に組み込まれている場合があります。フリーレント物件を選ぶ際は契約条件をしっかり確認しましょう。
4.大家さんに交渉する
2、3月の繁忙期に比べると、物件探しをする人が落ち着く時期があります。特に決まった入居時期がなければ、時期をずらして、物件を探してみましょう。その時期であれば、大家さんに値下げを相談すると受けてくれやすくなることもあります。
賃貸物件を探すまとめ

賃貸物件へ入居する際は、賃貸借契約時に初期費用を支払う必要があります。大きな金額となるため、家賃によってどのくらいかかるのか、予算を立ててから物件探しをすることが大切です。
今回ご紹介した4つの方法で初期費用を抑えることもできます。賃貸物件への入居を考えている方は覚えておきましょう。
賃貸物件を探す更新日: / 公開日:2021.07.29










