敷金・礼金は、部屋を借りる際に支払う初期費用のひとつです。敷金・礼金ゼロ(不要)という場合もありますが、多くの物件で両方あるいはどちらか一方が設定されています。
2019年10月より消費税が10%に引き上げられましたが、敷金・礼金にも増税の影響はあるのでしょうか? そもそも、敷金・礼金は消費税の課税対象なのか気になる方もいるのでは。
そこで今回は、敷金・礼金に消費税がかかるのか、ケースごとに詳しく解説します。
目次
敷金礼金は賃貸物件の使用用途によって消費税がかかる
敷金・礼金とは?
まず、敷金・礼金はどのような目的で支払うものなのか確認しておきましょう。
敷金とは、初期費用のひとつとして、事前に担保としてオーナーに預けておく費用です。家賃の滞納や、借主の故意または不注意による破損があった場合の修繕費用に充てられます。
敷金は退去時に返還されますが、借主が負担しなければいけない原状回復費用がある場合は、その金額が差し引かれて返還されるのが一般的です。
一方、礼金とは、賃貸物件を所有するオーナーに対し、お礼の意味を込めて支払う費用です。礼金は退去時に返還されません。
居住用として借りる場合、敷金・礼金に消費税はかからない
居住用として賃貸物件を借りる場合は、敷金・礼金に消費税はかかりません。
また、法人が社宅や寮として賃貸物件を借りる際も、「従業員の居住用として借りる」と見なされるため同様です。
敷金・礼金に消費税がかかるケースとは?
居住用として借りる場合には消費税はかかりませんが、どのような場合に敷金・礼金に消費税がかかるのでしょうか? 敷金と礼金で異なるため、それぞれの特徴を把握しておきましょう。
敷金の場合
敷金のなかでも、部屋の退去時に家賃の滞納や修繕費が発生しなかった場合、それらの額を差し引いて残額があれば返してもらえるものに消費税はかかりません。
礼金の場合
礼金は敷金と違い、退去時に返還されない費用です。賃貸物件を借りて事業を行ううえで“対価”として見なされるため、賃貸物件を事業用として契約した場合には、礼金は課税対象となります。
一般的に事業用として契約を行うのは法人が多いですが、個人で契約した場合にも、事業用や事務所として使用する場合は、同じく課税対象となります。
また、事業用兼自宅として使用する場合には、事業用のスペースのみ課税対象となるので、一部消費税がかかることになります。
途中で事業用に変更した場合にも課税対象となる
契約時は居住用として賃貸契約を行ったとしても、途中で事業用として使用する場合や契約変更を行った場合には、課税対象となってしまいます。
今は居住しているが、将来、事業用として部屋を利用しようと検討している場合は、あらかじめオーナーに相談しておくといいでしょう。
敷金・礼金以外にも…消費税がかかる住宅費用とは?
敷金・礼金以外にも、以下の費用は課税の対象となります。
- 鍵の交換費用
- 保険料
- クリーニング代
基本的に、住宅の賃料以外の費用や、家賃に含まれておらず別々に支払っているものは消費税の課税対象となります。
駐車場代や土地代など、条件により課税対象となるケースも
駐車場代は車の保有にかかわらず1戸1台以上の駐車場が付属する場合で、家賃とは別に駐車場使用料がかからない場合は、非課税となります。
しかし、別途駐車場代を支払っている、利用したい人だけが利用できるシステムになっている場合などは課税対象となります。
また、国税庁によると土地の貸し付けも非課税取引とされていますが、貸付期間が1ヶ月未満の場合や、施設に伴って土地が利用される場合は課税対象となるので注意が必要です。
土地や倉庫、駐車場代などの賃料も、事業用の貸し付けによる収入の場合は、消費税の課税取引となります。
マンションやアパートに備え付けられている家具・家電や倉庫などの使用料に関しては、入居者の選択によらず備え付けられている場合は非課税ですが、入居者が使用または不使用を選択できる場合は課税対象となります。
消費税の課税対象となるものは契約時にチェックしておこう
敷金・礼金は消費税の増税と無関係だと無意識に捉えている人も多いかもしれません。しかし、賃貸物件の使用用途によっては消費税がかかり、増税による影響を受ける場合があります。
部屋を借りる際は、敷金・礼金が課税対象となるかどうか、しっかりと確認しておくようにしましょう。
公開日: / 更新日: