婚姻届に記入する際などに目にする本籍地項目。アパートなどの賃貸物件に住んでいる場合、賃貸物件の住所を本籍にすることができるのか疑問に思う人もいるでしょう。また、普段あまり気にすることのない本籍だけに、そもそも本籍とは?戸籍ってなに?という人も多いはず。そこで今回は、本籍や戸籍についてわかりやすく解説します。本籍を決めるときの参考にしてみてください。
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はじめに、本籍や戸籍について簡単に理解しておきましょう。

 

まず、氏名や生年月日をはじめ、出生から死亡に至るまでの親族的身分関係をあらわした公証のことを「戸籍」と言います。少し難しく感じるかもしれませんが、簡単に言うと戸籍とは、日本人であることを証明し、誰と誰の間にいつ生まれ、誰と結婚し、いつ死亡したのかといった家族関係や個人の存在を証明するものです。1つの戸籍は、基本的に夫婦と未婚の子どもで構成されることが多いです。

 

「本籍」とは、この戸籍を保管している場所のことで、市区町村の役所で管理されています。

 

旧戸籍法(1947年まで)では基本的に家の所在地が本籍でしたが、現行の戸籍法では、本籍が現住所や出生地と一致していなくても構いません。基本的に日本国内で地番がある場所であれば、どこにでも本籍を置くことができます。

 

たとえば、一度も行ったことのない地でも、公の施設であってもOKです。同じ場所に家族以外の複数人の本籍が置かれていることもあります。

 

本籍はいつでも自由に変更することができますが、一般的には結婚して新たな戸籍をつくったり、養子縁組で戸籍を移したりする際に本籍を変更するケースが多いです。

また、戸籍書類は、本籍を保管している市区町村役場でしか取得することができません。

本籍地をアパートにできるのか

結婚すると親の戸籍から抜けて、夫婦で新しい戸籍をつくることになります。新たに戸籍をつくった際には本籍も決める必要があるため、二人の新居を本籍にしようと考える人も多いでしょう。では、新居がアパートなどの賃貸物件の場合でも本籍にできるのでしょうか。

 

前述した通り、本籍は日本国内であれば基本的にどこにでも置けるため、もちろんアパートを本籍地にすることも可能です。実際に住んでいない場所でも問題ないですから、アパートに引越す前に本籍の届出をしても構いません。

 

ちなみに、本籍の記入は基本的に番地までとなります。アパート名や部屋番号は記入せず、住所のみ記入すればOKです。

 

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戸籍謄本注意点

先述の通り、アパートなどの賃貸物件を本籍にすることは何ら問題ありません。戸籍書類は本籍のある市区町村役場のみで取得できるため、むしろ本籍を現住所と同じにすることで、戸籍謄本や戸籍抄本(戸籍謄本の簡易版)などの書類が取りやすくなるというメリットがあります。

 

ここで、戸籍書類が必要になるケースを簡単に紹介しましょう。

戸籍謄本などが必要になるケース

  • 婚姻届を出すとき
  • 婚姻して名義変更をするとき
  • 車を下取りに出すとき
  • パスポートを申請・変更するとき
  • 国家資格を登録するとき
  • 年金の請求をするとき
  • 保険金を請求するとき
  • 相続手続きをするとき

意外とたくさんあると感じた人も多いのではないでしょうか。本籍を置いている市区町村役場が家から近ければ、戸籍謄本などが必要になった際に便利です。

 

しかし、今後別の賃貸物件に引越したりマイホームを購入したりして本籍を移す可能性がある場合は、少し注意が必要です。

 

本籍が転々としていた場合、最も手間がかかるのが相続手続きのときです。相続手続きの際には、被相続人(財産を残す人)の出生から死亡するまでのすべての戸籍謄本が必要になることが多いです。戸籍謄本は本籍を保管している市区町村役場でしか取得できないため、本籍がいくつもある場合はそれだけ役所での手続きが発生し、残された遺族に労力がかかってしまいます。

 

戸籍謄本や戸籍抄本は、代理人に頼んで請求することもできます。そのため、マイホームを購入して定住するまでは、夫あるいは妻の実家に本籍を置き、必要になった際に代理で取得してもらうというのもひとつの選択です。

 

ちなみに、戸籍謄本および戸籍抄本は、紙で管理されていた時代の名称。現在はデータで管理している市区町村が多く、戸籍謄本は戸籍全部事項証明、戸籍抄本は戸籍個人事項証明というのが正式な名称です。

本籍は日本国内であればどこにでも置けるという自由度が高いぶん、人それぞれの判断が重要になってきます。戸籍謄本の取得が便利なように、引越しをするたびに本籍を移すのもひとつの方法ですし、後々のことも考慮して、出来るだけ本籍を変えずにいるという選択肢もあります。

本籍を決めるときは、これらのことをトータルに考えて決めるようにしましょう。

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  • 本籍とは戸籍を保管している場所のこと。現住所と一致していなくてもよい
  • 本籍は日本国内であれば基本的にどこにでも置くことができる
  • アパートなど賃貸物件を本籍にすることは可能
  • 戸籍謄本・抄本は本籍のある市区町村役場でしか取得できない
  • 本籍を転々とすると相続手続きの際などに不便が生じることがある
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更新日: / 公開日:2019.10.07