ユニットバス
賃貸物件で生活していると、その物件にもともとあった設備が壊れてしまうケースもあるでしょう。もしそれが「お風呂の浴槽」であった場合、浴槽ごと交換する必要も出てくるかもしれません。こういったケースにおいて、浴槽を使っていた借主に負担は発生するのでしょうか? 負担が発生するとして、どの程度の割合になるのでしょうか。この記事では、賃貸物件で浴槽の交換が必要になった際の対応についてご説明します。

浴槽が交換になるケースというのは、浴槽そのものが故障しなければそれほど多く起きることではありません。例えば、次のようなケースにおいては、浴槽の交換は不要と考えられます。

 

・風呂場の蛇口から水漏れが起きている
⇒蛇口の修理や交換で済みます

 

・シャワーヘッドが割れた、水漏れがある
⇒シャワーヘッドの交換や、接続部の修理で済みます

 

・排水口に水がつまる、異臭がする
⇒排水口から異物を取り除く、手が届かない場所を掃除するなどで済みます

 

・浴槽に水垢がついた、強い汚れがある
⇒クリーニングで対応できることがほとんどです

 

一方、浴槽の交換が必要になるのは次のようなケースです。

  • 浴槽が割れた、ひびが入った(重いものを落とした、老朽化など)
  • 浴槽にクリーニングで対応できないほどの汚れがある(一般的な使い方をしなかった)

浴槽を交換することになった場合、借主の負担はどうなるのでしょうか?「完全な新品と入れ替える」までが借主の費用で行うとすると、非常に大きな負担となってしまいます。どこまでの対応が必要なのか、国土交通省による「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に基づいてご説明します。

「原状回復」の考え方

賃貸借契約が終わる際には「原状回復」が必要となります。しかし、これは「借りた状態に戻す」というわけではありません。新築物件を2年間借り、契約が終了したときに新築と同じ状態に戻すことは不可能です。必要なのは「本来あり得る状態に戻すこと」であり、「一般的な生活を送った場合の2年後の状態」になっていれば問題ないのです。
通常の使い方をしていた場合、経年による変化、自然損耗、通常損耗による変化については、借主が負担するものではありません。

借主の負担にならない例

  • 耐用年数経過により、浴槽が故障した
  • 耐用年数経過により、浴槽がひび割れた

浴槽の耐久年数は?

「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によれば、浴槽やユニットバスの耐久年数は、「建物と同じ」とされています。木造建築であれば22年、鉄骨・鉄筋コンクリート造のマンションであれば47年です。この年数を配慮し、借主の負担割合は考慮されるという考え方があります。

ただし、ガイドライン上の話であり、法的な拘束力はありません。また、あくまでも一般的な使い方をし、浴槽が自然に老朽化した場合の話です。もし借りていた人の過失によって浴槽が壊れたり、回復できないほど汚れたりした場合には、それに応じた負担が求められます。
(参照:国土交通省『「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について』)

2012年、貸主が借主に浴槽の交換費用の「折半」(50%支払い)を求めた裁判がありました。

 

(参照:『バスタブの原状回復費用は、老朽化などを理由に交換費用を貸主と折半すべきとして、賃借人及び連帯保証人に対する賃貸人の請求を認めた事例』)

 

以下、簡単にまとめると、次のようになります。

  • バスタブは設置されてから20年経過していたため、借主に半額負担の義務はなかった
  • しかし、借主は髪染溶剤を落として浴槽の床を汚してしまっていた
  • 貸主は「本来であれば浴槽を交換する必要は発生しなかった」と主張したものが、認められた

つまり、「耐久年数による負担割合としては50%でなくとも、借主側に問題があればそれだけ支払い義務が発生することもある」という例となります。借主として一般的な使い方は守るようにしましょう。

浴槽の点検
以上、賃貸物件で浴槽が壊れた場合、借主の負担が発生するかどうかを判断するためのポイントを3つご紹介しました。
「なにか重いものを落として浴槽を割ってしまった」「通常の使い方以外で汚してしまった」「あまりにも管理を怠っていた」といった場合には、借主に負担が発生する可能性が高くなることを理解しておきましょう。

 

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