消費税とは「商品や製品の販売」「サービスの提供」などの取引に対して、課される税のことです。サービスの提供も課税対象となることから、不動産取引においても消費税が発生するものがあります。
そこで気になるのが「家賃に消費税はかかるのか」といった問題ではないでしょうか。今回は賃貸物件に住むうえで、消費税がかかるものとかからないものの違いについて解説します。
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家賃に消費税はかからない

結論からいうと、現在の税制においては、家賃に消費税がかかることはありません。国税庁のホームページ(※)によれば、「住宅用の建物」として借りる場合は消費税がかからないとされています。
ただし、以下のような場合は消費税が発生します。
消費税がかかるケース ・事業用や店舗として借りる場合 ・1ヶ月未満の短期で借りる場合(1ヶ月以上借りる場合の日割り家賃にはかからない) |
消費税がかからないのは、あくまで住宅用の建物であり、国税庁のホームページにのっとってより厳密にいえば「契約において住宅用であることが明らかにされているもの」あるいは「明らかに居住用として利用されている場合」のみとされています。
つまり、事業用や店舗として借りる場合の家賃は、課税の対象ということです。
また、契約期間が1ヶ月に満たない場合は、居住用であっても課税対象となります。ただし、1ヶ月以上借りる場合の初月などに発生する日割り家賃は対象となりません。
もともと家賃も課税対象だった…!
なお、もともと消費税が導入された1989年時点では、税率が3%と今よりも低く、家賃も課税対象になっていました。しかし、1991年の10月から、住宅用として借りる場合に限り、非課税になったという経緯があります。
このように、税制の仕組みは経済情勢に応じて変化していくものですから、今後は家賃が課税対象になる可能性もないとはいえません。
※ 国税庁「No.6225 地代、家賃や権利金、敷金など」
初期費用に消費税はかかる?

賃貸物件を借りる際には、初期費用としてまとまったお金を用意する必要があります。初期費用にはさまざまな項目がありますが、なかには消費税の対象となるものもあります。
ここでは、消費税がかからないものとかかるものについて見ていきましょう。
消費税がかからないもの
初期費用のうち、消費税がかからないのは以下の項目です。
・敷金 ・礼金 ・保証会社の利用料 ・火災保険料 ・日割り家賃、前家賃 |
また、物件の賃貸借契約を更新する際の、更新料や更新手数料も課税対象ではありません。
消費税がかかるもの
一方、以下の項目には消費税がかかります。
・仲介手数料 ・ハウスクリーニング費用 ・鍵交換代 |
仲介手数料は「事業として対価を得て行うサービス」で発生する費用なので、消費税の課税対象となります。不動産会社では、仲介手数料として「家賃の0.5ヶ月分~1ヶ月分」と説明されるケースも多いですが、実際には消費税が加わる点に注意が必要です。
また、ハウスクリーニング費用や鍵の交換費用も同様の性質を持っているので消費税がかかります。
賃貸物件を探す 引越し料金の見積もりをする管理費や駐車場代に消費税はかかる?

物件によっては、家賃のほかに管理費や共益費がかかることもあります。また、自家用車を利用する場合には、駐車場代にも目を向けておく必要があります。
管理費・共益費にはかからない
管理費や共益費など、入居者が共通に使用する部分の費用については、その名称にかかわらず非課税とされています。また、その他共用設備の使用料についても、あらかじめ賃料あるいは管理費・共益費に含まれているのであれば、基本的には非課税です。
駐車場代は条件による
駐車場代の課税要件はやや複雑であり、以下の条件を満たしている場合のみ非課税となります。
・駐車場代があらかじめ家賃に組み込まれている ・家賃以外に駐車場代として徴収されていない ・車所有の有無にかかわらず、1戸につき1台分以上の駐車場が設けられている |
要件は少し複雑ですが、駐車場付き一戸建てを賃貸物件として借りるケースを想定してみると理解がしやすいです。
敷地内に駐車場がついている場合は、特に意識をしなくても、家賃として支払う金額のなかに駐車場代も含まれていると考えるのが自然です。この場合の駐車場代は、上記の条件を満たしているので、消費税の課税対象になりません。
一方、マンションなどで総戸数分の駐車台数が確保できていない場合や、家賃とは別に駐車場代が徴収される場合は、課税対象になるということです。
事業用の場合は注意が必要

事業用の賃貸物件では、居住用の場合と消費税のとらえ方が異なるので注意が必要です。ここでは、事業用途で賃貸物件を借りる際の消費税の仕組みについて解説します。
消費税がかかるもの
事業用途で物件を借りるときには、以下の項目が消費税の課税対象となります。
・家賃 ・前家賃 ・礼金 ・管理費、共益費 ・駐車場代 ・仲介手数料 |
住居用と比べると、基本的に貸主や不動産会社に支払う費用のほとんどが課税対象になると考えて問題ありません。これについては、むしろ生活に必要な住居用物件の費用が例外的に非課税とされていると考えるほうが自然です。
消費税がかからないもの
一方、消費税がかからないものには、以下のような項目が挙げられます。
・敷金 ・保証金 |
これらはどちらも「いずれ返還される預かり金」としての性質を持っています。簡単にいってしまえば、どちらも何かを消費するときに発生するお金ではないため、消費税が課税されることはありません。
ただ、敷金や保証金のうち、返還されないものについては課税対象となります。
途中で事業用に変更した場合の取扱い
個人事業などを営む人のなかには、当初は居住用として賃貸借契約を行い、途中から事業用に切り替えるといったケースもあります。
この場合、契約変更を行うことで、家賃や管理費などの費用が課税対象となるので、事前に仕組みを理解しておきましょう。
店舗兼住宅を借りた場合の取扱い
賃貸物件のなかには、1階部分が店舗で2階部分が住居になっている店舗併用住宅もあります。このように、「半分が居住用、もう半分が事業用」となっている物件では、消費税がどのように扱われるのでしょうか。
この場合は、店舗と住宅を面積で区分して、それぞれの金額を別々に計算することになります。具体例を基に計算すると、以下のとおりです。
物件の条件 家賃:20万円 区分:1階部分が店舗、2階部分が住居 面積:1階と2階ともに同じ
家賃と消費税の関係性 1階部分:家賃10万円+消費税(10%)=11万円 2階部分:家賃10万円(非課税) |
単純計算すると、建物全体の家賃は消費税を含めると21万円になります。店舗部分と住居部分をどのように分けるかについては、事業用経費の計算時にも重要なポイントとなるので、あらかじめ明確にしておくことが大切です。
賃貸物件を探す 引越し料金の見積もりをするLIFULL HOME’Sで快適に部屋探しをしよう
賃貸物件を借りるときには、あらかじめ費用を明確にしたうえで資金計画を立てることが大切です。家賃や管理費・共益費のように、毎月かかる固定費については、収入とのバランスを十分に考慮しながら無理のない範囲で設定しましょう。
また、意外と見落としてしまいがちなのが「初期費用」に関するポイントです。初期費用の目安は「家賃の4~6ヶ月分」とされていますが、物件によって費用には大きな差が生まれることもあるので、あらかじめ注意しておきましょう。

不動産情報ポータルサイトLIFULL HOME’Sでは、物件ページの下部に「めやすを見る」というボタンがあり、簡単に初期費用や月額費用の目安を確かめることができます。
とても便利な機能なので、部屋探しの際にはぜひ活用してみてください。
まとめ
- 居住用物件の家賃と管理費には消費税はかからない
- 初期費用のうち、仲介手数料や鍵交換費用、ハウスクリーニング代には消費税がかかる
- 駐車場代は契約形態によって消費税がかかる場合とかからない場合がある
- 事業用は居住用とは大きくルールが異なるので、事前に把握しておこう
- LIFULL HOME’Sの物件ページでは初期費用や月額費用の目安がチェックできる
更新日: / 公開日:2018.11.15










