賃貸物件を探す際は、家賃や間取り、周辺環境など考慮すべき条件が多くあります。中でも「通勤にどのくらいの時間がかかるか」を重視する人も多いのではないでしょうか。
今回は、賃貸物件に住んでいる人の通勤時間の傾向や、通勤時間以外にも考慮したいポイントなどについて解説します。
LIFULL HOME'Sで実施した、通勤時間に関するアンケート調査の結果も交えながら説明しますので、ぜひ参考にしてください。
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賃貸物件に住んでいる人の通勤時間はどのくらい?

まずは、賃貸物件に住んでいる人の通勤時間がどの程度なのか、国の調査結果を基に紹介します。
通勤時間の全国平均は片道39.5分
2021年「社会生活基本調査」を基に総務省統計局が作成した「47都道府県ランキング」によると、平日一日当たりの通勤・通学にかける時間の全国平均は、片道換算すると39.5分(往復1時間19分)という結果でした。
通勤・通学時間が最も長いのは神奈川県で、片道50分(往復1時間40分)。次いで、千葉県と東京都が同率で片道47.5分(往復1時間35分)、埼玉県が片道47分(往復1時間34分)となっています。
一方で、通勤・通学時間が片道30未満と短いのは、鳥取県(29.5分)、愛媛県(28.5分)、山形県(28分)、宮崎県(28分)の4県でした。
このように、通勤時間の長さは居住エリアによっても異なります。全体的な傾向として、地方よりも都市部のほうが通勤時間は長くなりやすいといえるでしょう。
賃貸物件の通勤時間は片道30分未満の世帯が多い
先ほど紹介した通勤時間の全国平均値には、「賃貸物件に住んでいる人」と「持ち家に住んでいる人」の両方が含まれます。では、住宅の所有状況によって、通勤時間の傾向は変わるのでしょうか。
総務省統計局が実施した2018年「住宅・土地統計調査」では、住宅の所有状況別に世帯主の平均通勤時間を公表しています。

その内容を基にした上のグラフによると、賃貸物件(公営の賃貸物件等を除く)に住んでいる世帯では、通勤時間が片道30分未満の世帯数は全体の約61%に上ります。
一方、持ち家の場合では、通勤時間が片道30分未満の世帯数は全体の約48%です。
この結果を見ると、賃貸物件に住んでいる人は、持ち家に住んでいる人よりも通勤時間がやや短い傾向にあるといえます。
賃貸物件の場合は、予算や勤務先に合わせて引越すなどして比較的自由に立地を選べるのが、通勤時間を短縮できる一因でしょう。
これに対して、持ち家の場合は、通勤の都合だけでなく、子どもの通学の利便性や周辺環境なども考慮しつつ、予算や広さといった希望条件に見合う場所を選ぶ必要があります。
「通勤時間の短さをどれだけ重視するか」が、賃貸物件と持ち家を選択する際のポイントになるケースもあるでしょう。
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通勤時間から賃貸物件を選ぶメリット・デメリット

次に、賃貸物件を選ぶ際に通勤時間の短さを重視するメリット・デメリットを解説します。
通勤時間を重視するメリット
通勤時間を重視するメリットは、大きく分けて以下の2つです。
自由に使える時間が増える
通勤時間が短いと、自由に使える時間が増える点が大きなメリットといえます。通勤時間の短縮によって空いた時間を趣味や家族団らん、運動などに充てられるので、プライベートを充実させやすくなるでしょう。
また、朝の支度に余裕を持って一日をスタートさせたり、健康を維持するために睡眠時間を増やしたりすることも可能です。
通勤時のストレスを軽減できる
電車やバスといった公共交通機関を利用して通勤する場合は、ラッシュ時の混雑が心身への負担になるかもしれません。また、長距離の車通勤では、運転によって日々の疲労が蓄積しやすいでしょう。
勤務先に近い場所に住んでいれば、混雑した電車内で過ごす時間や運転時間が短くなるため、ストレスを軽減できます。また、少し早めに家を出て、徒歩や自転車で通勤するといった選択肢を検討することもできるでしょう。
通勤時間を重視するデメリット
勤務先や最寄り駅までの距離が近い賃貸物件を選ぶ場合、エリアによっては、家賃が高額になる可能性もあります。
特に、都心部で通勤時間を重視して物件を選ぶ際には、間取りや築年数、日当たりなどの条件を妥協せざるを得ないケースもあるでしょう。毎月の家賃の支出が大きくなれば、貯蓄や趣味に回せるお金も減ってしまいます。
また、家と勤務先の距離が近いと行動範囲が狭くなってしまう点も、人によってはデメリットに感じるかもしれません。行動範囲が狭いと日々の生活にメリハリがつきにくく、意識的に体を動かさないと運動不足になりやすい点も懸念されます。
希望するライフスタイルを基に、通勤時間を優先するのか、それともほかの条件を優先するのかを、慎重に考えてみましょう。
物件選びで通勤時間にこだわったのかをアンケートで聞いてみた!

LIFULL HOME’Sでは、全国の男女300人を対象に、「賃貸物件選びと通勤時間」に関するアンケート調査を行いました。
調査によると、「賃貸物件選びの際に通勤時間を考慮した」と回答した人は全体の68%(204人)という結果になりました。このことからも、多くの人が通勤時間を意識して賃貸物件を選んだことが分かります。
さらに、通勤時間を考慮した人が特に重視したポイントは、以下のとおりです。

具体的な意見は、以下のとおりです。
- 朝は落ち着いて動けるよう、最寄り駅までの時間がかからない場所にした
- 乗車時間を短くするため、職場から一駅の場所で物件を選んだ
- 本数が多い路線を選択すれば、満員列車を避けたり、出発が遅れても影響を最小限に抑えられたりするため考慮した
一方で、通勤時間以外に重視したポイント(複数回答可)を尋ねたところ、以下のような結果となりました。

なかには、「駅に近いほど家賃が高くなるため、駅から離れつつも、職場までの距離が遠くなりすぎないように調整した」「(通勤時間は重視したうえで)夜に暗い道を通らずに帰宅できることを条件にした」といった声も聞かれました。
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通勤時間以外に見ておきたいポイント

先ほどのアンケート結果からも、通勤時間を重視する人は多いものの、それぞれこだわるポイントは多岐にわたることが分かります。
ここからは、通勤時間の短さ以外にも、賃貸物件を選ぶ際に押さえておきたいポイントを解説します。
乗車駅から座って通勤できるか
公共交通機関を利用して通勤する場合は、座って通勤できるかどうかで負担が大きく変わります。
朝の通勤ラッシュ時に座って体力を温存したいなら、電車やバスの始発駅(または始発駅に近い駅)を選ぶとよいでしょう。
また、座っていると情報収集や読書などがしやすく、通勤のわずかな時間も有効活用できます。そのため、多少勤務先から離れていても、始発駅付近の最寄り駅を選ぶのもひとつの方法です。
乗り換えの回数は少ないか
乗り換え回数が少ないと、通勤のストレスが軽減されるでしょう。
路線図上では乗り換えが不要に見える場合でも、通勤時間を短縮するためには、特急・快速列車などへの乗り換えが必要なケースもあります。そのため、乗り換え回数は事前に確認しておくことが重要です。
なお、先述のアンケート調査結果では、「乗り換え後の乗車時間が長いと疲れるので、乗り換え自体は避けられなくても、せめて乗り換え後の停車駅数が少ない立地を選んだ」という意見もありました。
自宅から最寄り駅までの道のり
自宅から最寄り駅までの距離やルートも、通勤の負担を左右するポイントです。
不動産会社や不動産情報サイトでは、徒歩所要時間を「80m=1分」に換算して記載しています。ただし、この時間には坂道や階段、踏切・信号待ちなどにかかる時間は加味されていません。
たとえば、運行本数の多い路線の踏切を通らなければならない場合、遮断機が下りている時間が長く、時間を大幅にロスする可能性もあります。
また、歩く速さには個人差があるため、「記載されていた徒歩所要時間よりも実際には時間がかかった」といったケースは珍しくありません。物件から最寄り駅まで実際に歩いて確かめてみると、正確な所要時間や距離感が分かるでしょう。
現地を歩いて確かめるのが難しい場合は、インターネットの地図サービスを活用して道のりのイメージをつかんでおくことも大切です。
通勤時間は「ドアtoドア」で考える
また、会社と自宅の最寄り駅までの距離だけでなく、通勤時間は「ドアtoドア」で考えることも重要です。
電車の移動時間より徒歩の所要時間を削りたいという場合は以下の例のように、勤務先から遠い駅(都心から離れた駅)も視野に入れると、駅近の物件を見つけやすくなるのでおすすめです。
例
A…自宅から最寄り駅まで徒歩10分、会社の最寄り駅まで電車で30分、会社まで徒歩10分=合計50分
B…自宅から最寄り駅まで徒歩3分、会社の最寄り駅まで電車で35分、会社まで徒歩10分=合計48分
まとめ
通勤時間を重視して賃貸物件を選べば、自由な時間が増えたり、通勤時のストレスが軽減されたりするメリットがあります。
一方で、エリアによっては通勤時間を重視すると、家賃や希望条件(間取り、築年数、日当たりなど)を妥協しなければならない可能性があります。
本記事で紹介したメリット・デメリットやアンケート調査結果などを参考に、自分にとって何が重要かを考えてみることが大切です。

なお、LIFULL HOME’Sでは、通勤・通学時間から賃貸物件を絞り込めます。駅や希望の所要時間、乗り換え回数を入力し、交通利便性の高い物件を探してみてください。
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