賃貸物件を探していると「分譲賃貸」という言葉を見かけることがあります。分譲賃貸には一般的な賃貸物件と比べて、いくつか異なる特徴があります。
今回はメリットとデメリットの両面から分譲賃貸の特徴と借りる際の注意点を見ていきましょう。
分譲賃貸物件
分譲賃貸とは?

一般的な賃貸物件では、1人のオーナーや不動産会社が1棟まるごと建物を所有して経営を行うケースが多いです。
それに対して分譲賃貸は、本来分譲マンションとして一戸ごとに購入されていた物件が、何らかの理由で賃貸に出される形態を指します。
つまり、101号室と102号室で所有者が別となるのが、分譲マンションの特徴です。
もともとマイホームとして購入されていた物件のため、家賃は一般の賃貸物件より価格が高い、いわゆる「高級賃貸」として扱われることが多いです。
分譲賃貸のメリット

分譲賃貸には、一般的な賃貸物件にはない、さまざまなメリットがあります。ここでは、3つのポイントに分けて見ていきましょう。
物件のクオリティが高い
通常の賃貸マンションは、もともと他者に貸し出して利益を得る目的で建てられているため、価格を抑えた設備で構成されるのが一般的です。
たとえば、バスルームやキッチンなども、賃貸仕様の大量生産型の製品が用いられることが多いです。
それに対して、分譲賃貸はマイホーム用として建てられているため、物件のクオリティや導入されている設備の仕様が賃貸専用のマンションよりもワンランク上となることが多いのが魅力です。
分譲賃貸なら標準でついていることの多い設備例として、以下のようなものがあります。
室内の設備例
- お湯張り機能、追い焚き機能
- 床暖房
- ディスポーザー
- 人造大理石の天板キッチン
- LL45等級の遮音性が高いフローリング
共用部分の設備例
- 広いロビー
- コンシェルジュサービス
- 宅配ロッカー
- 駐車場、バイク置き場完備
管理体制やセキュリティが充実している
分譲賃貸のもうひとつのメリットは、優れた管理体制とセキュリティにあります。
分譲マンションでは、オートロックや防犯カメラといった基本的なセキュリティ設備に加えて、防犯性の高いディンプルキーやガラスが使用されているなど、グレードの高い設備が備わっていることも多いです。
また、管理人が常駐している物件も多く、管理体制に優れるのも特徴です。
居住者のマナーが比較的よい
一般的な賃貸物件とは違い、分譲賃貸にはマイホームとして購入している入居者も数多くいます。
長期的な居住を前提としている人が多いため、自然とルールやマナーを守って生活する人の割合も高く、子育て世帯でも安心して住みやすいと感じられるのがメリットです。
分譲賃貸物件
分譲賃貸のデメリット

続いて、分譲賃貸のデメリットも見ていきましょう。
家賃が高額になりやすい
分譲賃貸の多くは、ローンを組んで購入した所有者がオーナーとなっています。月々のローン返済額をベースに賃料設定が行われることも多いため、家賃はやや高額になる傾向があります。
また、物件のクオリティ自体が高いのも、家賃が高額になる要因のひとつです。
物件数が少ない
分譲賃貸は、一般的な賃貸マンションと比べると物件数が少ないため、目当ての立地条件では見つからないケースもあります。
人気のエリアで気に入った物件が見つかったときには、できるだけ時間を置かずに入居申し込みを済ませた方がいいでしょう。
定期借家の場合に注意が必要
「定期借家」とは契約期間に定めがあり、期間満了後に更新ができない契約方法を結ぶ物件のことです。
一般的な物件では、2年程度の契約期間が設けられるものの、自由に更新ができる「普通借家契約」を結びます。
普通借家契約では、家賃滞納や著しいマナー違反といった特別な事由がない限り、原則として貸主から更新を拒むことはできません。
そのため、一度借りることができれば、基本的には長く居住を続けられるのがメリットです。
一方、分譲賃貸には「オーナーが海外転勤の間のみ貸し出したい」など、いずれ所有者が戻ってくることを前提とするケースも少なくありません。
この場合は、オーナーが戻ってくるタイミングで確実に明け渡してもらうためにも、定期借家契約が用いられます。そのため、分譲賃貸を借りるときには、必ず契約方法もチェックしておきましょう。
分譲賃貸特有のトラブルがある
分譲賃貸では、不動産賃貸業の経験がない個人のオーナーが貸主になるケースも多いです。
もともと賃貸することを想定して建てられているわけではないため、通常の賃貸物件にはないトラブルのリスクも考えられます。
ここからは、具体的な注意点とトラブル事例を見ていきましょう。
分譲賃貸を借りるうえで知っておきたい注意点とトラブル事例

分譲賃貸を借りるうえでは、いくつか押さえておきたい注意点があります。
分譲マンションであるため、管理組合が設立されており、個々のマンションの実情に応じた使用に当たってのルールが存在します。
ここでは、それらに関する具体的なトラブル事例とともに見ていきましょう。
マンション全体のルールとオーナーが独自で決めるルールが二重に存在する
マンションやアパートなどの集合住宅では、どの入居者も一律で守らなければならないルールとして、管理組合が定めた「管理規約」や「使用細則」が設けられています。
これらについては、一般的な賃貸物件でも決められている場合が多く、借主はきちんと守らなければなりません。そのうえで、分譲賃貸では物件全体のルールとは別に、オーナーが独自で決めているルールもあります。
たとえば、物件自体はペットの飼育が認められていても、オーナーの考え方によって、その部屋では飼育が禁止されているケースがあります。
この場合、借主はオーナーを相手に賃貸借契約を結ぶことになるため、オーナーが設けたルールも守らなければなりません。
つまり、ほかの入居者がペットを飼育しているにもかかわらず、自分だけが禁止されてしまうという可能性も十分に考えられるということです。
反対に、動物が苦手という人がペット不可という条件を前向きに捉えて入居すると、ほかの居住者のペットに建物内で遭遇してしまう可能性もあります。
設備交換の対応が遅れてしまう
普段から賃貸物件を取り扱っているオーナーであれば、設備の故障について連絡をすれば、すぐに対応してくれます。
管理会社や水道設備会社などとの付き合いも深いため、トラブルへの対処はスムーズです。
それに対して、不慣れなオーナーが貸主の場合、突然のトラブルにはすぐに対応してもらえないケースもあります。
不安な人は、契約を結ぶ前にトラブルの際の対処法について相談しておくといいでしょう。
駐車場が所有者優先になる場合がある
駐車場や駐輪場にゆとりがない物件では、借りている人より購入している人の方が優先になってしまうケースもあります。
駐車台数が少ない物件を借りる際は、近隣の駐車場をセットで探しておくことも大切です。
マンション独自の行事があるケースがある
マンションによっては、敷地内の清掃を居住者同士で行うなど、その建物独自の行事があるケースもあります。
分譲賃貸では、借りている人にも参加義務が生じる可能性があるので、事前に確認しておくといいでしょう。
分譲賃貸物件
分譲賃貸を探す方法

分譲賃貸は物件数が多くないため、探し方には工夫が必要となります。主な探し方としては、不動産ポータルサイトで、分譲賃貸というキーワードを入力して検索する方法が挙げられます。
また、LIFULL HOME’Sの「分譲賃貸ページ」からなら、エリアを絞り込むだけで簡単に該当する物件を見つけることができるので、ぜひ活用してみてください。
そのうえで、物件情報を見るときには、定期借家かどうかも忘れずにチェックしておきましょう。
まとめ

- 分譲賃貸とは、分譲用に建てられた物件が賃貸として取り扱われている状態を指す
- 一般的な賃貸物件と比べて建物や設備のグレードが高いのが特徴
- 家賃が割高な点や定期借家が多い点に注意
- 不慣れなオーナーが貸主になる場合も多いので契約上のトラブルにも注意
- 物件の利用ルールや独自の行事の有無もあらかじめチェックしておこう
分譲賃貸物件
更新日: / 公開日:2017.12.14










