部屋探しをするときには、立地や周辺環境もあわせて考えることが大切です。建物や室内の条件は理想的でも、周辺環境によっては住み心地が大きく低下してしまうこともあります。

今回は「線路沿いの物件」のメリットやデメリットについて、特に騒音に関する問題を詳しく掘り下げながら解説します。

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線路沿いの物件に住むメリット

 

まずは、線路沿いの賃貸物件を借りるメリットを見ていきましょう。

 

線路沿いの賃貸物件の多くは駅から近く、交通アクセスに優れるのが特徴です。また、駅近でありながら、通常のエリアと比べると家賃が安いことが多く、お得に借りられます。

 

線路沿いで駅から近い立地の場合は、電車を利用する人の通り道になり、人通りが自然と多くなる場合があるのも特徴です。

 

また、一般的な住宅街と比べると街灯の数も多いため、夜でも比較的安心して帰宅できるのがメリットといえます。

 

線路沿いの敷地は、安全を確保するために線路から一定のスペースが空けられています。そのため、線路側の空間は開放されており、日当たりが確保されやすいのも特徴です。

 

部屋を借りる人にとっては「線路沿いは騒音が気になりやすい」というのが一般的な認識といえます。

 

列車や人の往来によって頻繁に大きな音が発生するため、自分自身が出す生活音が目立ちにくく、ほかの居住者からも気にされにくいという面もあります。

線路沿いの物件に住むデメリット

 

続いて、線路沿いの物件のデメリットも見ていきましょう。

 

もっとも気になるデメリットは、やはり列車の通行による騒音と振動に関する問題です。

 

基本的に音は、発生源からの距離が近いほど大きく伝わってくるため、線路沿いの物件に住むのであれば、騒音は決して無視できないデメリットとなります。

 

特に、運行本数の多い路線や貨物列車の運行がある路線では、騒音が発生する頻度が高くなり、時間帯も深夜にまで及ぶ可能性があります。

 

建物の構造によっては、振動が気になってしまう場合もあるので、人によっては強いストレスを感じるでしょう。

 

線路沿いの物件では、線路と部屋の位置関係によって、電車から室内やバルコニーが見えてしまうこともあります。

 

また、線路沿いで駅から近い立地の場合には、人通りが多いというメリットの裏返しで、往来する人の視線が気になってしまうケースもあるでしょう。

 

そのため、線路沿いの物件を借りるうえでは、部屋の階数やバルコニーの向き、塀や柵の高さをチェックしておくことも大切です。

 

バルコニーが線路側にある場合、電車が巻き上げた砂ぼこりや鉄粉によって、洗濯物が汚れてしまう恐れがあります。

 

線路からの距離が近く、部屋の階数も低い場合は、部屋干しせざるを得ないこともあります。

 

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線路沿いには利便性が高い物件も多いため、デメリットさえ解消できれば有力な選択肢になり得ます。

 

ここでは、実際に騒音がどのくらい気になるのか、具体的な数字を基に見ていきましょう。

 

環境基本法では、騒音に関する環境基準が具体的なデシベル数で示されています。実際に多くの自治体で採用されている基準なので、騒音のレベルを知るうえでは重要な指標といえます。

地域の類型

基準値

昼間

夜間

AA

50デシベル以下

40デシベル以下

AおよびB

55デシベル以下

45デシベル以下

C

60デシベル以下

50デシベル以下

※面する道路の条件によって一部例外あり

地域の類型

  • AA:療養施設、社会福祉施設などの特に静穏が必要な地域
  • A:住居専用地域など
  • B:主に住居としての利用が多い地域
  • C:住居だけでなく商業、工業に利用される地域

この基準を踏まえると、居住をメインの目的とした地域(AおよびB)では、「昼間55デシベル以下、夜間45デシベル以下」がひとつの目安と判断できます。

 

一方、環境省の基準によれば、在来線の等価騒音レベルは「昼間60デシベル以下、夜55デシベル以下」が基準とされています。

 

この基準を環境基本法の基準に照らし合わせると、おおむね商業・工業にも利用される地域(C)の基準と同じくらいの程度と考えることができます。

 

商業・工業にも利用される地域とは、たとえば大通り沿いや大型商業施設の近くなどの物件が該当します。

 

ただし、電車の騒音は常に発生するものではなく、あくまでも断続的に発生するものです。そのため、騒音計算の際に「等価騒音レベル」という指標が用いられる点には注意が必要です。

 

等価騒音レベルとは、騒音レベルが時間とともに不規則かつ大幅に変化する場合に、一定時間内で変動する騒音レベルのエネルギーに着目して時間平均値を算出したものを指します。

 

列車通過時には、もっと大きな音がするので、やはり騒音対策は重要な課題となります。

線路沿いの物件選びで押さえておきたいポイント

 

ここまで解説したように、線路沿いの物件に住むのであれば、防音性を意識した部屋選びが重要となります。

 

ここでは、3つのポイントから物件選びで意識したいポイントを見ていきましょう。

 

集合住宅の場合、一般的に防音性は木造よりもRC(鉄筋コンクリート)造やSRC(鉄骨鉄筋コンクリート)造のマンションの方が高いです。

 

また、マンションの方が振動も抑えられやすいため、線路沿いの物件を借りるなら、アパートよりもマンションの方がベターといえます。

 

線路沿いの賃貸物件は騒音対策のために、もともと窓の防音性が高められているケースも多いです。具体的には、防音ガラスや二重窓、防音用サッシの導入が挙げられます。

 

窓の防音性が高ければ、列車通行時でもそれほど音が気にならない場合も多いので、内見時にはきちんと確かめておきましょう。実際に列車が通過するまで待ち、騒音や振動の度合いをチェックすることが大切です。

 

線路沿いであっても、きちんと建物の防音対策が行われていれば、騒音の影響をある程度のレベルまで下げることは可能です。

 

しかし、踏み切りの近くの物件は、警報音や停止する車のエンジン音などにより、騒音の影響を強く受けやすい面があります。

 

家賃設定にゆとりがある場合は、同じ線路沿いであっても、なるべく踏み切りから離れた物件を選ぶといいでしょう。

 

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自分でできる防音対策

 

線路沿いの物件に住むのであれば、自分で実践できる防音対策にも目を向けておくことが大切です。ここでは、3つの方法に分けて見ていきましょう。

 

防音カーテンは、通常よりも音が通りにくい素材や織り方でつくられており、音をある程度遮断する効果があります。

 

防音カーテンの多くは、遮光性や遮熱性にも優れているため、室温を一定に保つうえでも効果を発揮します。

 

防音カーテンよりも手軽に試せるのが、窓に市販の防音シートを貼る方法です。また、音は隙間から抜けてしまう性質があるので、市販の遮音テープでサッシの隙間をふさぐことも有効です。

 

家具のレイアウトによっても、騒音をある程度シャットアウトできるケースがあります。背の高い家具や家電を線路側の壁に配置すれば、室内に音が入ってくるのをある程度防ぐことができるのです。

 

このとき、壁にピッタリと家具を寄せるのではなく、1cmほどの距離を空けるのがコツとされています。カビ対策にもなるので、設置する際には心がけてみるといいでしょう。

線路沿いの物件

 

  • 線路沿いの物件は、利便性の割に家賃が安いことが多いのがメリット
  • 日当たりが良い物件も多い
  • 電車の通過による騒音・振動が大きなデメリットのため対策を
  • 物件選びでは、建物の構造や種類、窓の防音性をチェックする
  • 自分でできる騒音対策も押さえておく

 

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更新日: / 公開日:2017.09.18