最近、賃貸でも既存の壁紙に手を加えて、お部屋を自分らしくレイアウトする人が増えてきています。しかし、一般的に賃貸住宅では、退去時に入居した当時の状態に戻してから部屋を明け渡す「原状回復」が原則です。ここでは、賃貸で壁の模様替えを楽しむにはどんなクロスを選んだら良いのか等、賃貸の壁紙DIYにおいて気をつけるべき点について解説します。
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クロスって何? 種類や入手方法について
近年、テレビの番組等で「賃貸住宅でもおしゃれにDIY」といった特集を見る方も多いのではないでしょうか。100均アイテムでDIYや賃貸でもできるプチリフォームなど、賃貸DIYに関連した雑誌や本なども数多く販売されています。賃貸DIYの中でもクロスの模様替えは、貼っても剥がせることから気軽にできるうえ、張り替えるだけで簡単に部屋のイメージを変えられるという理由で、人気があるようです。

クロスで部屋の雰囲気は変わる
クロスとは部屋に貼る壁紙のことです。素材は紙・布などさまざまなものがありますが、日本ではビニールクロスが主流です。耐久性・吸湿性に優れていて、扱いやすい素材で、色やデザインの種類も豊富に揃います。一方海外製のクロスは、不織物性のものが多く、日本製ではみないような、個性的なデザインが多いのが特長です。
クロスは、ネット通販やホームセンターで販売されています。ネット通販は、「ネットで気にいった柄のクロスを見つけたけど、実物は素材感や色合いが想像と全然違っていた」という失敗がないように、購入前にメーカーからクロスのサンプルを取り寄せて、確認すると安心です。
また、クロスの種類は業務用かDIY用かに分かれます。自分で施工することに慣れていない場合は、初心者でも比較的取り扱いやすいDIY用のクロスを選ぶといいでしょう。

壁紙の種類が豊富になってきた
原状回復のオーナー負担と入居者負担について
賃貸住宅では、賃貸借契約終了後、部屋を契約前の状態に戻す「原状回復」の義務が発生します。通常敷金は、原状回復するための費用を差し引いた額が退去時に返金されます。しかし、退去の立会いの際、本来は入居者負担にならないはずのキズや汚れまで担当者から指摘され、戻ってくるはずの敷金が全く戻ってこないというケースもあるようです。
そういったトラブルが多発していることから、国土交通省は「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」にて、原状回復の範囲やオーナーと入居者の負担割合を明確に定めています。
ガイドラインによると、普通に日常生活を送っている上で自然についた汚れ・傷・経年劣化などは入居者が負担する必要はないとされています。これは、時間が経つと物の価値は減少していくという減価償却に則った考え方です。

原状回復に関するトラブルは多い
オーナー負担と入居者負担、クロスの場合
では、クロス・壁紙の場合、どの程度のキズや汚れが通常消耗だとみなされるのでしょうか。負担割合の目安を、国土交通省のガイドラインを参考にまとめます。
【オーナー負担とするもの】
・テレビ・冷蔵庫等の黒ずみ
・日照などにより自然にできたクロスの変色
・壁に刺した画鋲やピンの穴(下地ボードの張り替え不要な程度のもの)
・壁に貼った絵画やポスターの跡
【入居者負担とするもの】
・喫煙によりクロスに変色や臭いが生じた場合
・重量物を支える際に使用したくぎ・ネジ穴(下地ボードの張り替えが必要なもの)
・故意にした落書きの跡

経年変化による壁紙の変色はオーナー負担
退去費用は、借主の過失によって生じた壁紙を補修する場合、経年劣化も考慮して判断されるため、物件に長く住み続けていた方が入居者の負担が少なくなります。
また、きちんとしたガイドラインがあるにもかかわらず、費用負担の判断基準は、退去立会いの担当者によって差があるのが現状です。不動産仲介業の中には、必要以上に退去費用を請求してくる悪質な会社もあるので、入退去時に、原状回復確認リスト(※1)を使用して、担当者と一緒に物件状況をしっかり確認し、請求された費用がおかしいと思ったら、行政の相談窓口か国民生活センターに相談しましょう。
※1「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」-国土交通省(改訂版)

原状回復費用に疑問を感じたら相談を
原状回復できるクロスで自分好みの部屋にしよう
昨今のDIYブームを受けて、日本で扱われるクロスの種類が増えてきました。壁の面によってクロスの色や柄を変えたり、コンクリート打ちっぱなしの柄で素材感を出したりして、まるでインテリアのような楽しみ方が可能です。古い壁紙をはがさなくても、繰り返し貼り直せるシールタイプの壁紙や、壁紙を貼っても跡を残さず剥がせる糊など、飽きても次のクロスに変えられるように、賃貸住宅向けにさまざまな商品が展開されています。
釘やネジではなくホチキスで留めると、原状回復の範囲で壁紙を固定することができます。マスキングテープの上から両面テープを貼り、その上から壁紙を固定していく方法もあるようです。

賃貸向けの壁紙も増えてきた
近年、築年数の経過した物件を中心に、空き家問題が深刻化しています。民間の賃貸物件や公団住宅では、原状回復の義務を負わせないとする「DIY可能物件」に変更して、入居者を確保しようとする動きが出てきているようです。気兼ねなく壁紙の張り替えができるのがメリットであるDIY可能物件ですが、原状回復が免除される範囲は物件によって異なるため、注意が必要です。賃貸住宅を借りるときには、クロスの原状回復義務はどの程度あるのか、入居前に大家さんに確認してからにしましょう。

DIY可能物件も視野に入れてみては?
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更新日: / 公開日:2017.05.10









