日本全国の物件を網羅した国内最大規模の物件データベースを持つHOME'S。不動産広告掲載に関して日々厳しい審査をしていますが、それでも業界的に「おとり物件」と言われる不動産広告が掲載されているケースもあります。
「おとり物件」とは、不動産会社が実際と異なる条件の物件を架空で掲載したり、既に埋まってしまった物件を敢えて集客のためにネット上に掲載したままにしたりなど、“意図的に”人を店舗に呼ぶ方法で使われる物件のことを言います。そういう物件を掲載している広告のことを「おとり広告」とよんでいます。
部屋探し、家探しをするとき、私たちのほうでも万が一のトラブルを避けるために、不動産広告を見るときに注意意識を持つことが重要です。
今回、HOME'Sが今まであった実例から、こんな表記にも注意したい!こんなところには気をつけて!というポイントをお届けします。
賃貸物件を探す
おとり広告の特徴とは?
では実例の前に、「おとり広告」について整理しましょう。
おとり広告とは大きく分けて下記3つに分かれます。
- 物件は存在するが取引できない
- 物件は存在するが取引対象となりえない
- 物件は存在するが取引する意思がない
では、具体的におとり広告はどんなケースで載っている場合が多いのでしょうか?HOME’Sの過去20年のデータから精査すると下記のようなケースが多かったです。
- その物件は、その会社以外は掲載しておらず、かつ賃料が相場より安い
- 入居時期が「相談」となっていて、いつ入居できるのかが広告上読み取れない
- 契約期間が著しく短い(3か月程度)
- 引渡時期が明確ではない、契約期間がブランクのもの、物件そのものの画像がなく、間取り図のみのものなど、情報量が少ない
→本来、物件を成約させるためにより多くの情報を載せたいはず。それなのに、情報自体が不明確なものは「おとり広告」であるケースがある。
こうした内容の広告を知らず知らずに目にしている方が多いはず。とはいえ、具体的にどういう記載のものなのでしょうか?
では今まであったケースの中から④についての具体例を見てみましょう。
相場より安いが、実は・・・
場所の相場に対して安い物件は注意したいところ。
相場に対して安い物件は、例えば人が亡くなっているなどの事故物件のケースがありますが、今回のケースはおとり広告の中でも悪質な「貸す意思がないのに掲載していた物件」と判断したものです。
下記はある都内の人気駅から徒歩数分の賃貸マンション。同じ建物の他の部屋の賃料と比べると、2万円程度安い物件でした。
詳細を見ても心理的瑕疵物件や事故物件といった表記はなく、そのためか短期間の間に問い合わせが多数集まった物件だったようです。
このケースでの「おとり広告」にひっかからないポイントは、右の図の赤囲みの箇所です。契約形態・契約期間のところに、定期借家、3ヶ月間と書かれています。
一般的に賃貸物件は2年の契約で更新というケースが多いのですが、契約期間が貸主にて指定できる定期借家契約というのもあります。
そしてもう一つの赤囲みを見ていただくと、4ヶ月目から当初の5.5万円ではなく7.9万円に賃料はあがります。長期間住むのであれば、再度契約を行う必要があります。

定期借家契約を巧妙に使ったおとり広告事例
定期借家物件のチェックポイント
物件を探す際は家賃だけではなく、契約期間や契約形態をしっかり確認する事が重要です。備考欄に契約に関する注意事項が書かれているケースがあるので、隅々まで見た上で問合せをしてほしいと思います。
今回のケースのように3か月程度の短期定期借家契約を結び、4か月目から正規賃料で再契約を行うので成約に至らない、という掲載手法は、おとり物件掲載手法として用いられている手段の一つです。
例:3か月間は賃料3万円、4か月目からは普通賃貸借契約を再度締結し、賃料10万円、更に再契約料を別途要する、など。
例え相場よりも賃料が安くても、4か月目に賃料が3倍程度に跳ね上がると分かったら、実際に借りたいと思うでしょうか?
たとえニーズがあったとしても、再契約時に再度不動産屋に足を運んで契約をする手間もあります。このような物件は、主に客寄せとしての「おとり広告」である可能性が高いと考えられます。
このケースは、HOME’Sでは貸す意思がない「おとり広告」と判断し、掲載していた不動産会社に対して通知をしました。

だまされないためのチェックポイント!
ちょっとでもおかしいと思ったら・・・
住まい選びはやはり信頼のある不動産会社を通してやりたいものです。住んでいる間にも様々なことが発生する可能性もあり、こうした手法をとる不動産会社は避けたほうがいいでしょう。
まずは借りようとしている地域の相場感を知ることが重要です。LIFULL HOME’Sでは簡単に駅や市区町村の家賃相場を調べることができます。気になる地域の情報をまずは事前に知っておくことでトラブル回避を心がけましょう。
家賃相場を調べる 賃貸物件を探す
更新日: / 公開日:2016.08.04










