例年、12月に多くの掃除中の事故が発生

12月に入ると、今年はいつから、どこから大掃除をはじめようかとスケジュールを考える人も多いだろう。日ごろ気になってはいるが、なかなか掃除ができないエアコンやレンジフードなども大掃除で時間をかけてすっきりしておきたいものだ。

大掃除をすることが多い12月は、例年掃除中の事故が増加する。東京消防庁によれば、過去5年間で、3,909人が掃除中の事故により救急搬送されており、令和元(2019)年においては836件と前年の790件と比較して増加している。さらに、過去5年間の救急搬送人員を月別に見ると、大掃除をすることが多い12月は643人と、ほかの月と比較して2倍ほど多いのだ。さらに、搬送時の初診の程度の割合を見ると、生命の危険はないが、入院の必要がある中等症の人の割合が約4割と、決して軽症の人ばかりでないことがわかる。

東京消防庁 2015年~2019年の月別の救急搬送状況より東京消防庁 2015年~2019年の月別の救急搬送状況より

60~80歳代の事故が6割を占める

救急搬送人員を年代別に見ると、60歳代から80歳代が2,273人と全体の約6割を占める。最も多いのが「ころぶ」事故で41.0%、次に多いのが「落ちる」事故で25.2%とこの2つの事故で全体の7割を占めていることとなる。

「転ぶ」事故は「居室・寝室」で多く発生し、「落ちる」事故は「階段」や「脚立・踏み台・足場」、「椅子」で多く発生しているようだ。エアコンの掃除で脚立や踏み台などに立って掃除していて落ちる、滑りやすい場所で転ぶ、などの状況がうかがえる。

東京消防庁 2015年~2019年における年代別の救急搬送人員より東京消防庁 2015年~2019年における年代別の救急搬送人員より

掃除中の事故の危険箇所を確認

高所を掃除する際は安定した足場を選ぼう高所を掃除する際は安定した足場を選ぼう

せっかく家をきれいにしたいと取りかかった大掃除でけがをしないよう、あらためて危険箇所を確認しておこう。

居室内
「エアコンの掃除中に、高さ約1mの脚立から転落し、背部を受傷した(50代 中等症)」(東京消防庁)という事例も。エアコンの掃除や電球の交換、照明器具のカバーの取り外しなど、棚の高い部分の掃除など高所での作業をする場合は安定した椅子や踏み台を利用しよう。降りるときにもバランスを崩さないよう注意。窓ふきの際は安定した体勢で転倒を防止。

階段
物を持ちながら階段を移動するのは足元が見えにくく危険だ。スリッパで滑りやすくなることもある。掃除中は急いで移動することも多いが、特に物を持ちながら移動していて両手が塞がっているときなどは、階段ではより慎重になる必要があるだろう。

浴室や洗面所
浴室は足元が濡れていることが多く滑りやすい。「自宅の風呂場の掃除をしていたところ、タイル張りの床で滑って転倒し、浴槽に肩をぶつけ受傷した(70代 中等症)。」(東京消防庁)という事故の例も。転倒に気をつけて、またカビ取り剤などを浴室で使う場合は十分な換気もしよう。

台所
台所では、換気扇の羽根でのけがや、食器やガラスの破片によるけがが考えられる。包丁や換気扇など機器類を掃除するときは手袋をしておこう。前述したが、高所にある食器棚やレンジフードを掃除するときは安定した踏み台を使用したい。

トイレ
トイレでは、洗剤に関連した事故が多く発生している。安全上の注意書きを確認することと、換気を十分にすること、また目や皮膚などに洗剤が付着する事故例もあるため、手袋なども準備したい。

洗剤による事故にも要注意

洗剤の取り扱いには十分注意し、大掃除を安全に終わらせたい洗剤の取り扱いには十分注意し、大掃除を安全に終わらせたい

毎回の掃除で利用する洗剤は身近なものであるが、使用方法を誤ると有毒ガス事故発生の危険性がある。2012年には、アルミニウム製の飲料用容器に業務用洗剤を入れたことにより缶が破裂、複数の受傷者が出る事故が発生している。

カビ取りに有効なのが塩素系の洗浄剤だが、この塩素系と酸性タイプの洗剤を混ぜると有害な塩素ガスが発生し非常に危険だ。洗剤のラベルには、「まぜるな危険」の表示があるはずなので、使用前に確認しておきたい。混ぜるつもりはなくとも、塩素系のカビ取り剤を使用した後に、水で流さないまま酸性タイプの洗剤を利用するのも注意。必ず単独で使うようにしよう。

東京消防庁は事故防止のため、下記を広報している。
1 洗剤を別の容器に移し替えない
2 種類の違う洗剤を一緒に使わない
3 使う前に容器に書かれている注意事項を確認する

https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/topics/201212/detergent/index.html

新年を気持ちよく迎えるためにも、事故に気を付けながらの掃除を心がけたい。

2020年 12月22日 11時05分